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NIRA政策提言ハイライト

医療とまちづくりの一体化で日本の未来を先取りする復興を

NIRA政策提言ハイライト 2011/10発行

震災後のまちづくり
 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、 東北地方3県を中心に甚大な被害をもたらした。発生から7カ月目を迎えた10月11日には宮城県石巻市内の全ての避難所の閉鎖が報じられ、 今後は生活復興を支えるための新たなまちづくりを加速しなければならない。

医療とまちづくりの一体化
 NIRAでは2010年3月に 『 「まちなか集積医療」の提言-医療は地域が解決する』(小峰隆夫法政大学大学院教授他)を公表し、地域医療供給体制とまちづくり政策の一体化の必要性を提言した。 未曾有の超高齢時代を迎え、 医療サービスに対する需要は増え続ける一方、各地域は医療資源の不足、財政悪化といった大きな制約に直面し、 医療や公共サービスの安定的な供給に不安を抱えている。報告書は、このような状況下で医療の持続可能性を確保するためには、 必要な機能が不十分なままに点在している病院をまちなかに集積させ、相互に機能分化・連携を図りつつ、 関連するインフラと有機的に結び付けた形でまちづくりを行っていくことが望ましいと提言している。また、これにより著しい高齢化、 医師不足に苦しむ地域医療と衰退する中心市街地の双方にとっての活路となることが期待されるとしている。

「まちなか集積医療」 を通じた復興
 今回震災に見舞われた東北地方は、 もとより高齢化、医療・介護過疎の問題に苦しんできた。例えば、震災発生前(2010年3月31日時点) の岩手県の高齢化率は26.8%と全国水準 (22.7%) を4.1ポイントも上回り、 1985年をピークに人口も減少傾向へと転じている。 同県では賛否両論がある中で病院のサテライト方式の導入など県立病院の統合・ 再編も進められてきている。こうした状況は、近い将来に首都圏をはじめとするその他の地域が直面する課題を先取りしてきたともいえ、 東北はわが国全体の将来を暗示している。
 今後、人口減少、サードエイジと呼ばれる世代(子育てを終え引退期を迎えた世代)が全体の半数を占める社会が確実に進行する。 その克服には医療供給体制やまちづくりのあり方の大胆な転換が不可欠である。
 そのため、次世代を見据えた震災後のまちづくりでは「まちなか集積医療」のコンセプトを導入し、病院・医療機関の連携や機能分化、 関連施設の集積住宅整備などを図り、障害や疾病を抱えながらも質の高い生活が享受できるコンパクトなまちづくりに取り組む必要がある。 新しいまちづくりは一朝一夕に成就できるものではないが、日本の将来の縮図ともいえる東北において未来を先取りした復興を実現できれば、 それは国内のみならず、急速に高齢化するアジア諸国の都市にも格好のモデルと成り得るはずである。


         まちづくりと融合した医療政策のイメージ図

                                              出所: 報告書p.84図表5-1

まちづくりと融合した医療政策のイメージ図          














豊田 奈穂 NIRA主任研究員

<リンク>
NIRA研究報告書『「まちなか集積医療」の提言―医療は地域が解決する―

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