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データが語る被災3県の現状と課題Ⅱ―東日本大震災復旧・復興インデックス(2012年6月更新)―

NIRA研究報告書 2012/08発行

総合研究開発機構  発行

 東日本大震災からの復旧・復興を着実かつ重点的に進めるには、統計・データといった科学的証拠に基づき、政策を立案・ 推進することが重要である。そこで、NIRAでは、震災後1年間の復旧・復興状況の推移を客観的に把握するために「東日本大震災復旧・ 復興インデックス」を作成・更新し、インデックスから窺える今後の課題を整理した。
また、災害時の統計・データの活用のあり方については、利用ニーズの高い統計・データを整備し、統計・データの一元的・ 迅速な集約ルールの構築を進めるべきであると官民の有識者等の間でも意見が一致している。これらを踏まえ、 次の災害発生に備えた取組について提言した。

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第Ⅰ部 データが語る被災3県の現状と課題

1.東日本大震災復旧・復興インデックスで見た被災3県の状況 [PDF版(報告書p.3)]
 本インデックスは、大震災で津波被害を受けた地域(被災37市町村)の復旧・復興の状況及びその推移を把握する次の2本の「指数」 からなる。 ①被災地での生活を支えるインフラの総合的な復旧度を示す「生活基盤の復旧状況」指数、及び②被災した人々やその地域の生産・ 消費・流通などの状況を総合的かつ時系列に把握する「人々の活動状況」指数。いずれも、震災直前の状況を100とした指数である。

●被災3県の「生活基盤の復旧状況」[PDF版(報告書p.4)]
 昨年8~9月頃を境に3県ともに数値の伸びが鈍化し、その後の進捗は緩やかになっている。ただし、 生活再建や地域の本格復興に先立って行われる瓦礫処理、保険金・共済金支払い、融資については、これまで相対的に復旧が遅れていたが、 直近の3ヶ月間の動きに改善がみられた。一方、県内・県外避難者数が、岩手県と福島県では再び微増傾向になっており、 生活基盤の復旧の進捗が鈍化する中で、住民が地元を離れる動きとなっている。

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●被災3県の「人々の活動状況」 [PDF版(報告書p.6)]
 昨年8~9月ごろから年末にかけ、岩手県と福島県の指数は足踏み状態となっていたが、直近の3ヶ月間では、3県ともに改善した。しかし、 その改善幅には各県でばらつきがあり、岩手県では相対的に大きかったが、宮城県と福島県では小幅な持ち直しにとどまった。 鉱工業生産や大口電力使用量など、製造業をはじめとする産業活動の伸びが、活動状況指数の改善に寄与したが、これらは現時点でもなお、 震災前水準の操業体制までには回復していない。

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●市町村別にみた「生活基盤の復旧状況」 [PDF版(報告書p.9)]
 被災37市町村の直近の動きをみると、鉄道の復旧や瓦礫の撤去・処理などの進捗を受け、復旧度は足踏みしながら緩やかに改善している。 被災3県の中で復旧度が高い市町村は、①宮城県利府町、宮城県松島町、宮城県岩沼市、宮城県塩竈市、岩手県岩泉町 (全体的な着実な回復を維持)、②岩手県洋野町、岩手県久慈市(鉄道の復旧により復旧度が改善)、③宮城県名取市、宮城県仙台市、 福島県いわき市(瓦礫の撤去・処理の進展により復旧度が改善)であった。

2.データから見て取れる今後の復旧・復興における課題 [PDF版(報告書p.10)]
 住民にとっての復興ニーズは、住環境や交通網の復旧、教育・医療・介護環境の整備に関するものが高く、住民には、 とりわけ住環境や交通網の復旧が遅れているという感覚が強い。住環境については、瓦礫撤去・処理、 資金面での支援などによって復旧が進みつつあるものの、交通網(鉄道)については改善が鈍くなっている。教育・医療環境では、 施設の復旧が不十分ながらも進んでいる一方で、医師数の減少がみられる。
人々の活動状況に関しては、足元では改善しつつあるが、これは当面の公共事業や各種の支援制度に支えられている面がある。 こうした制度的な支援がなくなったときにも十分な雇用機会が確保されるよう、産業基盤の復旧・復興、高度化などに向けた取組が必要である。


第Ⅱ部 データを活用した復旧・復興期の政策形成に向けて [PDF版(報告書p.22)]

 官民の有識者や実務家等が一堂に会して議論したところ、災害等の緊急時においても科学的証拠に基づく政策立案を行うためには、 データの正確性や客観性を確保する必要があること、また、利用ニーズの高い統計・データを整備するとともに、緊急時には一元的・ 迅速に集約するルールの構築が重要となること、について意見が一致し、これらを平常時から行っておくべき、との共通理解を得た。
これらの議論や、インデックス作成におけるこれまでの経験を踏まえ、NIRAとしては、今後の取組に関する提案として、①国・地方自治体は、 今回の復旧・復興政策の企画立案における統計・データの利用のタイミングや目的、活用方法などの経験を早急に記録する、②被害状況・ 被害額は、算出根拠となる統計・データの精度が時間の経過とともに向上し、利用可能なデータも増えることから、 適切なタイミングで逐次改訂する、③官民が保有する統計・データで災害時の政策立案に不可欠なものについて、緊急時の一元的・ 迅速な集約ルールを構築するとともに、政策立案をはじめ公益の利用に供する、という3点を提案する。


<関連記事>
・2012年12月22日 週刊ダイヤモンド記事「震災復興『大きなインフラの復興だけでなく身近な分野の復興を加速できるか』」に引用
・2012年9月24日 東北復興新聞記事
・2012年9月8日 日本経済新聞記事「震災から1年半 復興の歩み 停滞」に引用
・2012年8月12日 日本経済新聞記事「経済解読」に引用
・2012年8月号  『福島の進路』(一般財団法人とうほう地域総合研究所発行)「『NIRA復旧・復興インデックス』 からみる福島県の復旧・復興の現状と課題について」(江川暁夫主任研究員執筆)掲載
・2012年6月12日 河北新報記事
・2012年6月11日 住宅新報社Webニュース記事

<復旧・復興インデックス検討チームメンバー>
市村英彦 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授
柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA理事
澤田康幸 東京大学大学院経済学研究科教授
米岡大輔 東京大学大学院医学系研究科(国際保健)修士課程
和川 央 岩手県復興局産業再生課主査
浜岡 誠 岩手県復興局企画課企画専門員
神田玲子 NIRA研究調査部長
斉藤徹史 NIRA研究調査部主任研究員
江川暁夫 NIRA研究調査部主任研究員
辻 明子 NIRA研究調査部主任研究員
森 直子 NIRA研究調査部研究コーディネーター・主任研究員

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