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データが語る被災3県の現状と課題Ⅲ―東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年3月更新)

NIRA研究報告書 2013/03発行
総合研究開発機構 発行

 東日本大震災から2年が経過した。NIRAは、この度、復旧・復興の状況の全体像を把握することを目的に公表してきた「東日本大震災復旧・復興インデックス」の改訂を行った。今回は、インデックスを2012年12月分まで延長し、震災発生後1年9か月間の復旧・復興状況の推移を把握するとともに、産業基盤・生活関連基盤の毀損の状況や、生活者の視点に立った復旧・復興の状況を概観した。

■ 概要 [PDF]

■ 研究報告書 [PDF]

■ 2011年9月のデータはこちら
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  2013 年6月のエータはこちら

1.東日本大震災復旧・復興インデックスで見た被災3県の状況

 本インデックスは、大震災で津波被害を受けた地域(被災37市町村)の復旧・復興の状況及びその推移を把握する次の2本の「指数」からなる。①被災地での生活を支えるインフラの総合的な復旧度を示す「生活基盤の復旧状況」指数、及び②被災した人々やその地域の生産・消費・流通などの状況を総合的かつ時系列に把握する「人々の活動状況」指数。いずれも、震災直前の状況を100とした指数である。

●被災3県の「生活基盤の復旧状況」:復旧の進捗テンポは緩やかなまま [PDF版(報告書p.5)]

 今回延長分(2012年4~12月分)をみると、宮城県と福島県では緩やかな進捗テンポは維持されているが、岩手県では進捗のテンポが更に緩やかになっている。
 瓦礫撤去・処理は改善がみられ、義援金支払済率の改善も指数の伸びに寄与した。岩手県と宮城県では、教育・医療基盤や交通インフラなど息の長い取り組みが必要となる分野の進捗が小幅にとどまった。福島県では、原発警戒区域等の見直しなどもあり、応急仮設住宅への移転や小中学校の復旧状況にも改善がみられ、人口移動の関係の指標も改善傾向を示した。

















●被災3県の「人々の活動状況」: 産業活動の全国的な弱さを受け、低下傾向 [PDF版(報告書p.6)]

 時系列でみると、全国の指数値が2012年初から低下傾向にある中、岩手県と福島県は、全国の動きと同様に低下し、宮城県は同年第2四半期以降に若干低下した。鉱工業生産や大口電力使用量など、世界経済の動向の影響を強く受ける指標の値が低下したことが、指数低下の主な原因である。消費、住宅着工や雇用は、2012年に震災前水準を回復した。
 活動水準でみると、岩手県と宮城県はほぼ同水準で、福島県の指数は低く推移した。






















●市町村別の「生活基盤の復旧状況」:義援金支給と瓦礫処理の進捗が復旧度を左右 [PDF版(報告書p.10)]

 被災37市町村の直近の動きをみると、義援金支給や瓦礫処理などの進捗を受け、復旧度は緩やかながらも着実に上昇している。被災3県の中で復旧度が高い市町村は、①全体的に着実な回復を維持している岩手県普代村・久慈市、宮城県利府町、②義援金支給と瓦礫処理の進展により復旧度の改善がみられた岩手県洋野町、宮城県多賀城市・塩竈市・仙台市・岩沼市・七ヶ浜町・名取市であった。

2.産業基盤・生活関連基盤はどの程度毀損していたか [PDF版(報告書p.11)]

 人々の活動が、中長期的な復興の中で回復を続けていくかどうかについては、被災地における関連の産業基盤や生活関連基盤がどのようになっているかを知る必要がある。
 岩手県と宮城県では、農林水産業、商工業とも、事業再開が進み、新たな事業者も増加している。福島県では、原発事故を受け、農業では復旧が遅れ、漁業はほとんど事業再開に至らず、事業を継続・再開できた商工業者も7割強にとどまる。
 教育の供給体制をみると、岩手県と宮城県では大きく動かず、福島県では施設修復が進んだものの教員数が減少している。医療施設・従業者数は岩手県と福島県で、介護施設・従業者数は宮城県と福島県で、それぞれ大きく落ち込んだことが、統計から確認された。

3.被災3県の生活者の状況  [PDF版(報告書p.17)]

 生活者の視点に立って居住・生活環境や健康状態などをみると、岩手県と宮城県の高齢者は、被災市町村から県庁所在地やその他の都市に向かう一方、福島県の高齢者は、被災市町村から、福島市以外の県内市町村や県外に移動している可能性が窺える。仮設住宅などでは一人暮らし高齢者が増加し、医療体制面での制約がある中で、生活への不安を抱えやすくなっている。女性の生活の状況をみると、精神的な健康状態を害しやすい状況にある。子どもの保育施設の供給は回復しつつあるが、保育ニーズが高まっている。女性の就労については、有効求職者数で見れば減少してきているが、管理・事務的職業への求職に対して求人が少ないなどのミスマッチが依然として存在する。また、福島県では、20~30歳代の女性の県外転出が顕著となり、県内で20~30歳代の男性が女性に比べ著しく多い状況となっている。

<復旧・復興インデックス検討チームメンバー>
市村英彦 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授
柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA理事
澤田康幸 東京大学大学院経済学研究科教授
和川 央 岩手県復興局産業再生課主査
神田玲子 NIRA研究調査部長
斉藤徹史 NIRA研究調査部主任研究員
江川暁夫 NIRA研究調査部主任研究員
辻 明子 NIRA研究調査部主任研究員
森 直子 NIRA研究調査部研究コーディネーター・主任研究員

≪関連記事≫
2013年3月16日 週刊ダイヤモンド「漂流するまちづくり『揺れ動く住民の心 立ちはだかる制度の壁』」に引用

≪関連頁≫
東北から生まれる日本の新たな成長―シンポジウムを終えて―
(NIRAオピニオンペーパーNo.9/2013年3月)

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