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2 研究分野別にみる受注者(研究実施機関)と発注者(委託・助成等機関)の関係

 今年度調査では5255件の研究成果(2000年度終了分)を収録したが、そのうち自主研究を除く4359件について、受注者(研究実施機関)と発注者(委託・助成等機関)の関係を見ることにした。受注者については公益法人等と営利法人に大別(「その他・特殊法人等」については公益法人に加算した)し、発注者については中央官庁・政府系機関、公益法人等、地方公共団体、民間(民間企業・民間団体・産業団体等)、海外政府・国際機関等、その他の要素に分類し、集計・分析した。

(1)受注者・発注者と研究分野別の研究件数との関係

 受注者について、組織形態別にどの研究分野での受託割合が高いかを調べた。公益法人等と営利法人で比較すると、営利法人の受託割合が高い分野は、「科学」「環境」「文化」「通信」でいずれも全体の75%以上であった。一方、公益法人等の受託割合が高い分野は、「国際」「経済」「交通」「国民」の順であった(表2-1)。

表2-1受注者からみた受託等研究件数の分野別割合

   公益法人等営利法人対象件数
(件)
国 土37.5%62.5%1017
国 民41.8%58.2%232
福 祉31.6%68.4%307
交 通44.3%55.7%409
通 信24.7%75.3%190
資 源40.5%59.5%210
環 境21.8%78.2%513
政 治41.5%58.5%323
経 済45.8%54.2%417
産 業34.2%65.8%473
国 際47.9%52.1%142
文 化22.4%77.6%58
科 学19.1%80.9%68
総 数36.3%63.7%4359

 一方、発注者はどの研究分野にどの程度発注しているのだろうか。総数でみると、「地方公共団体」からの発注が全体の38.0%を占め、次いで「公益法人等」26.3%、「中央官庁・政府系機関」が18.7%で、「民間」は14.2%となっている。研究分野別にみると、「政治」の分野では64.4%、「国土」「福祉」についても5割以上がいずれも「地方公共団体」からの発注となっている。「資源」「国際」の分野では、その4割弱が「公益法人等」からの発注である。「科学」「国際」の約3割が、「中央官庁・政府系機関」からの発注であった(表2-2)。

表2-2 発注者からみた発注研究件数の分野別割合

 中央官庁・
政府系機関
公益法人等地方公共
団体
民 間その他海 外対象件数
(件)
国 土14.2%22.1%53.6%8.0%2.1%0.1%1017
国 民12.1%24.1%47.8%12.5%3.0%0.4%232
福 祉5.9%24.1%53.1%13.0%2.9%1.0%307
交 通30.1%30.1%27.6%9.0%2.7%0.5%409
通 信15.8%31.1%18.9%31.1%3.2%0.0%190
資 源21.0%38.6%15.7%23.8%1.0%0.0%210
環 境26.1%23.2%38.6%9.4%2.1%0.6%513
政 治9.6%17.3%64.4%7.4%1.2%0.0%323
経 済23.0%25.7%20.9%26.4%3.4%0.7%417
産 業19.5%32.1%26.0%20.1%2.3%0.0%473
国 際31.7%38.0%7.7%18.3%1.4%2.8%142
文 化17.2%25.9%43.1%12.1%1.7%0.0%58
科 学29.4%36.8%7.4%20.6%1.5%4.4%68
総 数18.7%26.3%38.0%14.2%2.3%0.5%4359

(2)時系列でみる受注者と発注者の関係

 2000年度の研究件数について、受託割合でみると、63.7%を営利法人が、36.3%を公益法人等が受託している。

 さらにその内訳をみると、公益法人等は、そのうち27.9%を中央官庁や政府系機関から、24.4%を公益法人等から受託しており、合わせると全体の5割以上を公的機関から受託していることになる。地方公共団体からは35.7%であった。一方、営利法人は、約4割を地方公共団体から受託しており、公益法人からは27.4%、中央官庁・政府系機関からは13.5%であった(図2-1)。

図2-1 研究件数にみる発注者の内訳

 これについて、過去5年ごとにその割合の推移をみることにした。対象としたのは、「シンクタンク年報」2002(今年度調査)、01、1995、1990、1985-86年版で、研究終了対象年度はそれぞれ2000、1999、94、89、84-85年度である。発注者が複数にわたるときは、それぞれについて加算し集計した。

 公益法人と発注者との関係でみると、「中央官庁・政府系機関」からの発注は99、00年度いずれも30%弱で、「公益法人等」からの発注は増加傾向にある。公的機関から公的機関への発注の割合は高いと言える。「地方公共団体」からは、89、94年度では45%程度であったが、99、00年度では35〜36%程度に減少した。「民間」からの発注は、10%前後で推移。中央官庁・政府系機関や公益法人といった公的機関から公益法人への発注は99、00年度で50%を超えており、地方公共団体も合わせると、政策決定者からの発注が9割を占める。公的機関から公的機関への発注の割合は高い(図2-2)。

図2-2 公益法人等にみる発注者別受託件数の推移

 営利法人と発注者との関係でみると、「中央官庁・政府系機関」からの発注は、12〜16%程度で推移している。「公益法人等」からの発注は増加傾向で、99、00年度とも20%台後半であった。「地方公共団体」からの発注はほぼ40%程度で推移している。「民間」からの発注は、減少傾向にあり、99、00年度とも17%程度であった。公的機関から営利法人への発注は、99、00年度と40%を超え、地方公共団体を合わせると8割を占める(図2-3)。

図2-1 営利法人にみる発注者別受託件数の推移

 全体的に、公的機関からの件数が増加傾向、民間からの件数がやや減少傾向にあることがわかった。一方で、「1 シンクタンクにおける財政状況と公共政策の位置付け」の調査結果では、調査研究収入の割合における5年後の見通しとして、大半が現状維持としたものの、「公的機関からの調査研究事業の収入割合が減少」し、「営利法人からの調査研究事業収入割合が増加」するとの傾向もみられた。シンクタンクの将来像として、注目すべき点であろう。


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