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シンクタンクの動向 2004

まえがき

 総合研究開発機構(NIRA)では、毎年、シンクタンクの機関情報と当該年度終了の研究成果を収録するとともに、「シンクタンクの動向に関する調査」を行い、『シンクタンクの動向』として公表している。

 本編は2部構成となっており、第1部は、「政策形成過程における人材育成とその課題」と題し、大学教育、自治体行政、日米比較の視点から、政策形成にかかわる人材にまつわるさまざまな課題を抽出していただいた。

 加藤秀樹氏・近藤学氏は、「現在は、政治家、霞ヶ関の官僚、地方自治体の職員、政策秘書、シンクタンクの研究員等のいずれもが、政策形成のために必要な何らかの資質や条件を欠いてしまっている」と鋭く指摘し、政策形成能力に優れた人材の育成機関として大学が果たすべき役割に言及している。

 梅田次郎氏は、「自治体行政のあり方が変革を迫られているとすれば、当然人材育成のありようも変革しなければならなくなる。(中略)職員がナレッジやスキルを共有化して相互に学び合う学習環境づくりが重要となる」とした上で、こうした改革が進展しても役所内で終始する政策形成には限界があるため、政策形成にかかわるアクターのネットワークの構築が必要であると締めくくった。

 青山公三氏は、日米のシンクタンクにおける人材育成システムを比較し、「研究員を中心に見た場合、受け身的なシステムが日本で、アメリカは能動的である」と述べる。人材育成システムについて言えば、シンクタンクが用意するのではなく、社会が環境を用意し研究者はそこから自分に合ったシステムを選択する。アメリカの政策形成過程においてシンクタンク、あるいはシンクタンクの研究者が大きな役割を果たしている実情がうかがえる。

 いずれも示唆に富んだ提言をいただき、興味深い内容となっている。

 第2部では、研究者や財政等について例年同じ項目で定点観測を続けている動向調査A、特定課題を設定し行う動向調査Bで行った各調査結果をもとに、政策研究情報センターで取りまとめた。動向調査Bについては第1部のテーマ設定をふまえ、今年度テーマを「シンクタンクにおける人材育成とその課題」とした。

 『シンクタンク年報2004』は昨年同様、「公益的な調査研究を行う、政策指向型研究機関で研究の成果を公開している機関」を対象に、当機構の保有するリストの中から約400機関に調査を依頼し、311機関より回答をいただいた(大学付属政策研究機関、地方公共団体内政策研究機関を除く)。今回の調査では、昨年同様に解散した機関、該当する研究成果がないと回答した機関、あるいは業態変更のため調査研究業務を行っていないとした機関もあり、掲載機関は昨年に比べ減少した。ここ数年、合併、統合や解散など、政策研究機関にもさまざまな動きが見られる。こうした最近の主な動きについては、データ編(49ページ)に取りまとめたのでご参照いただきたい。

 この311機関のうち、動向調査Aについては265機関(回収率:85.2%)、動向調査Bについては244機関(回収率:78.5%)から回答を得た。

 これら調査の結果をふまえ、シンクタンクにおける人材育成、求められる能力等について集計・分析を試みた。なお、第2部で触れなかったそれぞれの調査項目の集計結果については、データ編に取りまとめた。

 シンクタンクが政策形成における「人材の宝庫」としての存在になることを期待するとともに、本編がシンクタンク発展の一助となれば幸いである。

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