NIRALogo

4.情報発信の性格・内容

 情報発信のためのインフラ整備が重要であるのと同時に、そのコンテンツについても明確化する必要があるだろう。そこで、シンクタンクが発信する研究成果がどういった性格のものとして分類されるかについて調査を試みた。「調査・分析」「ケーススタディ」「データ」「動向予測」「政策提言」「政策評価」「特定せず」「その他」という8項目のうち「最も重視したもの」を一つ選択するように求めたところ、次のような結果が得られた(表4-1)。最も重視した性格・内容として「調査・分析」(52.3%)、次いで「政策提言」(26.6%)となった。そのほかの項目については総じて低く、また「特定せず」が6.9%に及んだ。

表4-1 情報発信の性格・内容(最も重視したもの)

 
機関数
パーセント
有効パーセント
有効  








無回答
合計
調査・分析
ケーススタディ
データ
動向予測
政策提言
政策評価
特定せず
その他
合計
114
10
8
7
58
4
15
2
218
26
244
46.7
4.1
3.3
2.9
23.8
1.6
6.1
0.8
89.3
10.7
100.0
52.3
4.6
3.7
3.2
26.6
1.8
6.9
0.9
100.0

 さらに、「次に重視したもの」を2つまで回答可として加えると、図4-1に示す通りとなった(有効回答機関数218)。合計しても「調査・分析」と「政策提言」がやはり多くの回答数を得ているが、注目すべきは「ケーススタディ」、「データ」、「動向予測」がそれぞれ「次に重視したもの」として数多く挙げられている点である。すなわち、表4-1と併せて考慮すると、シンクタンクの研究において、まず調査や分析あるいは政策提言的な要素が第一義であるのに対し、事例研究やデータ計算、動向予測といった要素はむしろ研究の中核部分を補完する目的で用いられているというイメージが浮かび上がってくる。また、最近重要視されている「政策評価」の累計数が、むしろ未来指向的な「政策提言」や「動向予測」といった項目に比べ、なお低いことも注目されるだろう。

図4-1 重視した情報発信の性格・内容

 このような研究成果の性格・内容と設立年数を照らし合わせた場合、設立10年以上を経た機関が「調査・研究」を最も重視した性格・内容として多く挙げているのに対し、比較的新しく設立された機関については「政策提言」や「特定せず」の割合が若干高い(表4-2)。なお、「その他」を選択した機関に対し具体的な内容を求めたところ、「技術開発」や「住民参加による住民からの発信」などの回答が寄せられた。

表4-2 最も重視した情報発信の性格・内容と設立年数のクロス集計表

最も重視した研究成果の性格・内容
( % )
調査・
分析
ケース
スタディ
データ
動向
予測
政策
提言
政策
評価
特定
せず
その他
設立年数




全 体
5年未満
5年以上〜10年未満
10年以上〜20年未満
20年以上〜30年未満
30年以上
全体
40.0
41.2
59.7
58.9
45.2
52.3
10.0
5.9
0.0
3.6
8.2
4.6
0.0
0.0
1.6
5.4
5.5
3.7
0.0
0.0
1.6
1.8
6.8
3.2
40.0
35.3
29.0
23.2
23.3
26.6
0.0
5.9
0.0
0.0
4.1
1.8
10.0
11.8
8.1
5.4
5.5
6.9
0.0
0.0
0.0
1.8
1.4
0.9

 では、シンクタンクにおける役割の一つが「政策形成への影響力」を行使することであると想定した場合、どのくらいの機関がこのような実績があると考えているだろうか。そこで各機関に対し、研究成果がこれまで実際に何からの政策形成に決定的な影響を及ぼしたと考えられる事例があるかどうか尋ねたところ、それぞれ「ある」が28.5%、「ない」が20.8%、「どちらともいえない」が50.7%という結果となった(有効回答数221)。

 さらに、「ある」と回答した機関に対し、実際にどのような情報発信の仕方が有効だったと思われるかについて尋ねたところ、何らかの参考になると思われる具体的なアイデアがいくつか寄せられたので、ここで紹介したい。また一部では、いわゆる「フェイス・トゥ・フェイス」でのコミュニケーションといった類の回答も数多く見受けられた。調査分析や政策提言の内容自体もさることながら、ホームページなど間接的な媒体よりも直接的な方法のほうがやはり、いまなおものをいっている現状が垣間見られるだろう。ほかにもマスメディアの活用などその手法は多岐に及んでいるが、いずれの場合もやはり、客観的なアプローチ、長期的な展望、そして個別の手段を有機的に結び付けるための豊かな想像力がシンクタンク側に求められていることは確かなようである。さらに評価という観点から、シンクタンクがこれまで講じてきた情報発信の影響力について事後検証する必要性も高いと思われる。


NIRALogo
トップページ
 
戻 る目次へ 次 へ

Copyright (c) National Institute for Research Advancement (NIRA)
Copyright (c) 総合研究開発機構 (NIRA)