NIRALogo
シンクタンクの動向2006 【動向編】

ヒアリング調査−シンクタンク経営者に聞く(2)

 (財)ながさき地域政策研究所
  専務理事兼事務局長 田中 嘉昭 氏

 近年、シンクタンクの解散が目立つ九州地方において、ながさき地域政策研究所(以下、シンクながさき)は、長崎県、県内市町村、民間団体により2002年10月に設立された。広範なネットワ−クを最大限活用しながら、地域の課題を地域の視点から解決することを基本方針とし、調査・分析のみならず、コンサルティングや政策提言にも積極的に取り組んでいる。設立から約3年が経過するが、経営面も比較的順調である。そこで、同研究所の専務理事兼事務局長を務める田中氏よりお話いただいた。

――順調な経営の秘訣
 シンクタンクは地方の課題の解決にそれなりに貢献してきたと思っているが、地方シンクタンクは地方の実情に詳しい反面、グロ−バルな視点やネットワ−クに弱点があり、一方、中央のシンクタンクはグロ−バルな知見が豊富な反面、地方の実態に即した改善策という点では隔靴掻痒の感があったように思う。地方の自立が叫ばれ、地方の役に立つ知恵袋の存在を求める機運が急速に高まっている今日、シンクながさきは地方シンクタンクとしてこうした弱点を克服した組織づくりを目指しました。すなわち、地方の実態を熟知した人材を主体にしつつ、グロ−バルな知見とネットワ−クを持つ民間の人材を上層部に据える組織体制とした。また、地域振興という課題を例に考えてみてもわかるように、地域が実利という果実を手にするためには問題解決の処方箋に加え、実際にモノを動かす物流部門やモノを生産するプロダクト部門とのつなぎおよびその継続的な支援が欠かせません。シンクながさきは広範なネットワ−クを活かし、このようなコンサルティング業務も併せ行ってきました。・お陰で、県下全域で、役に立つシンクタンクとしてのイメ−ジが徐々に浸透しており、困った時にはシンクながさきに相談するという機運が定着しつつあります。

――知名度向上のための取り組み
 農業振興、対中国関係施策等々、時々の重要性の高いテ−マについて県知事に対し政策提言を行っている。また、シンクながさきの顔である理事長、常務理事が県および市町村の審議会、委員会の委員長等の就任要請に応じ中立的立場からの意見具申活動も行っている。

――経営の財政面
 現状では、基本財産の運用益確保は望むべくもない。このため、受託事業収入を経営の柱と考えている。地方自治体も財政難が続き、1件当たりの受託金額は減少しているが、自治体内部の政策志向はむしろ高まっており、シンクながさきに対するニ−ズは拡大している。このような外部環境を積極的に受け止めるとともに、受託内容の質的充実を図ることによって収入の確保に努めることとしている。また、官公庁からの受託をメインとしている関係上、 毎年度予算の付き具合で事業の繁閑が避けられない面もあり、経営基盤安定化のためには指定管理者制度等を活用し、シンクながさきのノウハウが求められるような業務を積極的に管理受託していくこととしている。

――今後の経営の方向性
 地方の知恵袋として役に立つシンクながさきを目指し、コンサルティング機能のさらなる充実と人材の確保、安定財源の確保に努めていきたい。

――地方シンクタンクのあり方
 発足後日も浅い当研究所が言及すべきことではないとは思うが、 分野を問わず調査・分析だけでは競合相手も多く、また、差別化も難しいのではないか。従って、コンサルティング機能等の充実を図る一方、自治体や民間よりも具体的かつ中立的立場からの政策を打ち出せる組織体制を整えていくことが必要ではないか。

(2005年11月16日実施)


NIRALogo
トップページ
 
[ 戻る ]

Copyright (c) National Institute for Research Advancement (NIRA)
Copyright (c) 総合研究開発機構 (NIRA)