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シンクタンクの動向2006 【データ編】

3 研究

 ここでは『シンクタンク年報2006』に掲載した296機関(大学附属政策研究機関、地方公共団体内政策研究機関を除く)の主要な専門分野、ならびに収録した研究成果について時系列での比較も加味しながら、分析を試みた。

3-1 専門分野

 『シンクタンク年報2006』に収録した296機関の主な専門分野についてみると(優先順位の高い順に3分野まで選択)、最も優先順位の高い分野の割合は、依然として「国土」が高く、次いで「経済」「産業」と続き、この割合については例年とほぼ同じである。3分野の合計でみても、昨年とほぼ同様の結果となった。

図3-1 主な専門分野(最も優先順位の高い分野)
(有効回答:296機関)
図3-1 主な専門分野(最も優先順位の高い分野)

図3-2 主な専門分野
(有効回答:296機関、延べ795)
図3-2 主な専門分野

3-2 研究分野

 『シンクタンク年報2006』に収録した研究成果(2004年度終了分)は4285件で、これらを研究分野別(大分類)の割合でみると表3-1のような結果となった。「国土開発・利用」の割合が前年比マイナス4.0ポイントと大きく割合を減らしことが特徴である。この分野は1990年代前半まで常に25%を超える割合を占めていたが、1993年度を境に徐々に減少し、今年度は14.9%にとどまった。そのほか、「資源・エネルギー」がマイナス1.2ポイント、割合が増えたのは「国際問題」がプラス1.8ポイント、「産業」がプラス1.5ポイントとなった。小分類については図3-3にまとめた。

 地域別については、東京が総件数の59.5%を占め、東京への一極集中は相変わらず顕著である(表3-2)。なお、研究分野の集計については、研究成果で選択された2分野のうち優先順位の高い分野にて集計した。

表3-1 研究分野(大分類)にみる研究件数の割合とその推移(%)
研究実
施年度
国土開
発・利用
国民
生活
福祉・医
療・教育
交通 通信・
情報
資源・エ
ネルギー
環境
問題
政治・
行政
経済 産業 国際
問題
文化・
芸術
科学
技術
1987 25.4 8.6 4.4 3.7 5.6 3.8 6.3 3.8 13.2 15.5 5.7 1.4 2.6
1988 28.9 6.6 5.4 5.1 5.8 3.6 5.5 4.2 11.5 13.1 5.7 2.3 2.3
1989 32.4 5.5 6.2 4.7 4.7 2.1 5.6 4.0 13.5 11.7 5.6 2.5 1.5
1990 27.9 6.4 5.3 5.3 5.1 3.3 5.1 2.8 16.8 14.6 4.0 1.4 1.9
1991 25.1 6.2 6.2 6.0 6.1 3.3 7.0 2.4 16.2 12.9 5.1 1.5 2.1
1992 25.6 6.6 6.1 6.7 4.6 3.8 7.5 2.8 15.6 12.6 5.3 1.6 1.3
1993 24.6 6.4 6.8 7.7 5.4 3.3 7.4 3.6 15.5 12.0 4.6 1.4 1.5
1994 20.6 7.3 6.4 6.6 4.9 3.1 7.8 4.0 15.7 14.4 5.1 2.1 2.1
1995 19.3 6.7 6.6 6.6 6.0 3.2 8.0 3.7 15.4 14.6 5.3 2.1 2.4
1996 18.1 7.3 6.3 7.1 6.4 3.4 8.7 4.1 14.8 14.7 5.0 1.8 2.4
1997
件数
19.2
839
5.8
253
8.1
351
7.7
334
5.5
239
3.9
169
9.4
410
4.0
176
15.8
690
14.1
613
3.6
159
1.5
65
1.4
61
1998
件数
20.9
873
6.9
288
8.5
357
7.1
298
5.6
234
3.0
124
8.7
366
4.9
206
16.0
670
11.2
468
4.2
176
1.4
57
1.6
66
1999
件数
19.4
1092
6.0
336
9.0
508
7.9
443
4.8
273
3.5
195
8.6
482
5.2
295
14.0
790
12.1
683
6.2
347
1.6
90
1.7
96
2000
件数
20.2
1066
5.9
310
7.2
377
8.1
425
4.7
249
4.4
232
10.6
556
7.6
398
12.3
645
11.2
591
5.1
266
1.3
68
1.4
72
2001
件数
18.7
917
5.9
287
8.5
416
8.2
403
4.7
230
3.7
181
10.5
514
7.4
363
14.3
700
10.6
521
5.0
245
1.2
60
1.2
57
2002
件数
17.1
815
5.2
247
10.2
489
7.8
371
4.0
192
4.4
212
9.6
461
8.2
389
16.2
773
10.1
480
4.5
215
1.4
65
1.4
66
2003
件数
18.9
802
5.9
249
10.1
426
7.1
302
3.7
155
5.4
227
9.0
380
7.3
310
16.5
700
9.9
421
3.7
156
1.3
54
1.3
55
2004
件数
14.9
639
5.6
242
10.7
460
7.9
340
3.0
130
4.2
181
9.4
403
8.1
345
16.1
689
11.4
489
5.5
234
1.6
67
1.5
66

図3-3 研究分野別(小分類)にみる研究件数(4285件)
図3-3 研究分野別(小分類)にみる研究件数(4285件)

表3-2 地域別にみる研究分野の内訳(%)
  北海道 東北 関東 東京 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄
国土開発・利用 16.9 3.6 7.8 13.8 21.0 24.4 14.8 9.1 9.6
国民生活 8.8 7.3 3.9 5.1 8.2 6.8 2.3 8.2 4.6
福祉・医療・教育 14.9 9.1 8.9 10.7 6.8 11.2 1.1 17.3 14.9
交通 3.4 7.3 5.6 7.0 20.2 10.7 2.3 4.5 3.0
通信・情報 3.4 0.0 0.6 3.8 0.5 3.9 0.0 0.0 1.7
資源・エネルギー 2.7 1.8 0.6 6.1 0.8 0.8 1.1 1.8 3.3
環境問題 7.4 3.6 4.4 12.1 4.1 5.6 2.3 16.4 4.0
政治・行政 5.4 12.7 6.1 7.5 5.4 9.9 4.5 10.9 14.9
経済 14.2 41.8 20.0 13.3 18.0 10.3 51.1 20.9 28.1
産業 17.6 10.9 20.0 10.3 12.0 10.7 15.9 10.9 12.2
国際問題 3.4 1.8 20.0 6.8 1.4 0.8 2.3 0.0 2.6
文化・芸術 1.4 0.0 0.0 1.6 1.1 2.9 2.3 0.0 1.0
科学技術 0.7 0.0 2.2 1.9 0.5 1.9 0.0 0.0 0.3
(件) 148 55 180 2550 367 484 88 110 303

3-3 研究の形態、内容等

 収録した4285件について、研究形態や公開の程度、研究手法、研究成果の公開等をまとめた。

 研究形態別にみると(図3-4)、依然として受託研究の割合が高いが、自主研究の割合は昨年同様増加した。自主研究について研究分野別からみると、「経済」では5割を占めており、国際問題でも4割を超え、昨年と同様であった。割合が少ない分野としては、「国土開発・利用」「交通」でいずれも全体の1割未満である(図3-5)。

図3-4 研究の形態
図3-4 研究の形態

図3-5 総件数にみる自主研究の研究分野別内訳(総件数4285件、うち自主研究987件) 図3-5 総件数にみる自主研究の研究分野別内訳(総件数4285件、うち自主研究987件)

3-3-1 自主研究

 自主研究の割合について、過去5年(2004、2003、2002、2001、2000年度)と10年前(1994年度)を時系列で比較したところ、その割合は2000年度以降増加していることが明らかとなった(図3-6)。また組織形態別の比較として、(1)「非営利法人・団体」、(2)「営利法人」の観点から集計し、図3-7にまとめた。(1)については年々その割合は増加し、2002年度以降は3割を超えているが、(2)については10年前の17.6%から減少し、1割強にとどまっている。

図3-6 研究件数の推移と自主研究の割合
図3-6 研究件数の推移と自主研究の割合

図3-7 組織形態別にみる研究件数の推移と自主研究の割合
図3-7 組織形態別にみる研究件数の推移と自主研究の割合

3-3-2 受託研究

 受託研究については依然として総件数の4分の3を占めており、政策研究機関の多くがこれに依存していることは明らかである。そこで、委託者の内訳、ならびに組織形態別にみる委託者の割合について分析を試みた。対象としたのは1994、2000〜2004年度である。

 図3-8は、各年度に実施された受託研究について、委託者の割合をみたものである。

図3-8 受託件数にみる研究件数と委託者の割合
図3-8 受託件数にみる研究件数と委託者の割合

 委託者については「(1)中央省庁・政府機関」「(2)公益法人(財団、社団、特殊、認可など)」「(3)地方公共団体等(都道府県、市区町村、およびその関連機関等)」「(4)営利法人」「(5)その他(国際機関・海外政府機関、大学、その他団体等)」の5項目に分類し、複数の機関が委託者になっている場合はそれぞれについて集計した。いずれの年度についても「(3)地方公共団体等」が全体の約4割を占め、政策研究機関にとっての貴重な調査研究収入源となっていると推測できる。また、「(1)中央省庁・政府機関」については年々その割合が増加する一方で、「(4)営利法人」の割合は大きく落ち込んでいる。

 次に同じく委託者の割合について、受託者(研究実施機関)側の組織形態別(「非営利法人・団体」「営利法人」)にそれぞれの特徴を見てみる。「非営利法人・団体」についてみると(図3-9)、10年前の1994年度では「(3)地方公共団体等」が44.9%と大きな割合を占めていたが、徐々に減少し2004年度では36.7%となった。その一方で、「(1)中央省庁・政府機関」からの受託は増加し3割を超えている。「営利法人」については(図3-10)、「(3)地方公共団体等」からの受託が徐々に増加し、2004年度については10年前に比して8.8ポイント増となっており、「非営利法人・団体」の減少分に匹敵する割合である。また、「(4)営利法人」からの受託割合はマイナス12.4ポイントと大きく落ち込んだ。

図3-9 非営利法人・団体が実施した受託研究にみる委託者の割合
図3-9 非営利法人・団体が実施した受託研究にみる委託者の割合

図3-10 営利法人が実施した受託研究にみる委託者の割合
図3-10 営利法人が実施した受託研究にみる委託者の割合

 他方、受託調査研究1件あたりの平均受託額を見てみると(表3-3)、受託研究件数において大きな割合を占める地方公共団体からの平均受託額は年々減少していることが分かる。地方財政が厳しい状況にある中で受託単価の減少には歯止めがかからず、ひいては政策研究機関の財政基盤をも圧迫していると推測できる。

表3-3 受託調査研究1件あたりの平均受託額
  特殊・
公益法人
地方公共
団体
民間研究・
助成団体
民間系列 民間
その他
マルチ 海外 その他 平均
2001年度 12.5 10.3 4.6 5.0 9.3 2.5 11.8 5.1 7.6 6.0
2002年度 15.2 8.1 4.6 6.3 10.4 1.9 14.2 6.5 3.6 5.9
2003年度 12.0 6.1 4.1 6.7 8.2 1.9 4.1 13.2 2.9 5.2
2004年度 14.4 7.0 4.0 6.3 7.5 2.6 9.8 7.0 3.4 5.6
2005年度 16.0 6.4 3.7 5.0 6.1 2.0 11.7 8.7 4.6 5.1

 さらに、調査研究収入に占める上位10機関の割合を調べた過去5年間(いずれも調査年度であり、実績については前年度ベースとなる)を比較すると、上位10機関で5割以上を占め、高い割合となっていることが分かった(図3-11)。寡占市場ともいえる状況下にあって、多くの機関が残りのパイを分割している実態がうかがえることから、小規模の政策研究機関にとっては非常に厳しい経営状況であることは否定できない。

 なお、表3-3、図3-11については、いずれも各年度の定点観測調査結果に基づくものである。

図3-11 調査研究収入にみる上位10機関の割合
図3-11 調査研究収入にみる上位10機関の割合

3-3-3 研究期間

 調査研究の期間については、6カ月未満が全体の約4割近く、1年未満でみると8割を占め、例年にたがわず短期、単年度の研究形態となっている。関連して、今回掲載された4285件のうち受託研究について、開始年月・終了年月からその内訳をみると、およそ4分の3が年度末終了となっており、一時期に集中している(表3-4)。『シンクタンクの動向2003』調査時に、受託研究の受発注方式に関する問題点として挙げられた、「単年度単位の研究が多く継続性に欠ける」「研究期間が短い、あるいは一時期に集中する」といった点について、改善の傾向は見受けられない。

図3-12 研究期間
図3-12 研究期間

表3-4 研究開始年月、終了年月からみる受託研究件数の内訳 (ただし研究期間不明を除く3189件)
       終了
開始
2004年
4月
2004年
5月
2004年
6月
2004年
7月
2004年
8月
2004年
9月
2004年
10月
2004年
11月
2004年
12月
2005年
1月
2005年
2月
2005年
3月
2004年3月以前 6 9 17 7 6 4 5 4 2 1 2 44 107
2004年4月 1 6 12 11 9 12 9 8 20 6 14 302 410
2004年5月 - 0 0 4 0 8 8 14 3 7 16 141 201
2004年6月 - - 0 10 12 12 5 12 16 14 26 259 366
2004年7月 - - - 0 5 20 9 11 21 13 36 256 371
2004年8月 - - - - 1 6 8 8 19 11 38 197 288
2004年9月 - - - - - 0 2 11 17 10 40 206 286
2004年10月 - - - - - - 0 10 14 4 44 236 308
2004年11月 - - - - - - - 1 6 11 32 209 259
2004年12月 - - - - - - - - 0 4 20 234 258
2005年1月 - - - - - - - - - 1 18 185 204
2005年2月 - - - - - - - - - - 2 110 112
2005年3月 - - - - - - - - - - - 19 19
7 15 29 32 33 62 46 79 118 82 288 2398 3189

3-3-4 研究成果の公開の程度、研究方法

 研究成果の公開の程度については、昨年度と比較して「非公開」が1.5ポイント減り、「報告書による公開(有償・無償合わせて)」は29.9%と2ポイント程度増加し、公開度はやや上がった(図3-13)。その一方で、図3-13について受託研究のみで集計したところ、「非公開」は37.0%と全体より10ポイント程度高く、「報告書による公開(有償・無償合わせて)」は13.2%にとどまっており、公開度はやや低い結果となった。研究方法については「抄録あり」の2201件について複数回答可として集計した。

図3-13 研究成果の公開の程度   図3-14 研究方法
(抄録のみ2201件、複数回答可)
図3-13 研究成果の公開の程度   図3-14 研究方法

3-3-5 共同研究

 共同研究については、定点観測調査に回答のあった243機関を対象に集計している。「あり」と回答したのは65機関(26.7%)で昨年に比べて増加している(図3-14、3-15)。

図3-15 共同研究実施の有無
(有効回答:243機関)
  図3-16 共同研究内容の内訳(407件)
図3-15 共同研究実施の有無   図3-16 共同研究内容の内訳(407件)

3-4 研究成果の情報公開

 研究成果の情報公開について、研究報告書、定期刊行物、インターネットの3種類による公開の程度を調査した。対象は定点観測調査に回答のあった247機関である。

(1) 研究報告書による公開(有効回答:233機関)については、2004年度に発行された研究報告書の点数は1万1430点で、そのうち「公開」しているものは15.3%で、昨年(15.4%)とほぼ同じ割合であった。

(2) 定期刊行物による公開の程度(発行していると回答した機関:170機関)については、総点数は467点で、配布対象としては「一般」が66.8%、「会員」が22.9%、「その他」が10.3%であった。また発行頻度については、「年刊」が27.2%と最も多く、以下「月刊」(24.6%)「季刊」(20.6%)の順となっている。

(3) ホームページを既設している機関は有効回答:247機関中234機関で、94.7%に上る。しかし、インターネットによる研究成果の公開については、「ある」と回答した機関は57.1%(141機関)にとどまっている。「なし」とした機関についてその理由を尋ねたところ、「公開予定・検討中」や「受託研究のためクライアントとの守秘義務による」との回答が例年どおり多くみられた。

[1〜3-3 担当:島津千登世]
[3-4 担当:齋藤智之]


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