NIRALogo
シンクタンクの動向2007 【動向編】
シンクタンクを軸としたネットワーク活動

 2006年度の「シンクタンクの動向―特定課題調査」は、シンクタンクによるネットワーク形成に着目し、「シンクタンクを軸としたネットワーク活動」をテーマとして、その現状についてアンケート調査を実施した。本稿はその調査結果を集計したものである。  本調査については、「シンクタンク年報2007」調査協力機関271機関(大学附属政策研究機関、地方公共団体内政策研究機関は除く)のうち、202機関からの回答を得たものである。  なお、回答をいただいた202機関について、組織形態別では非営利法人111機関、営利法人91機関。所在地域別では東京103機関、東京以外99機関である。

1.シンクタンクが行っているネットワーク活動

(1)シンクタンクが現在行っているネットワーク活動(有効回答:202機関)
 各シンクタンクが現在どのようなネットワーク活動を実施しているかについてたずねたところ、次のとおりであった(表 1-1)。
 回答された202機関のうち64%の機関がネットワーク活動の一環として「会議・セミナー・シンポジウム等の開催」を位置づけていることがわかる。また、「共同研究の実施」についても、半数に近い48%の機関が現在実施している。
 「出向者の受け入れ」「会員制度の実施」については、それぞれ40%を超えた機関が実施しているものの、これらを営利、非営利の組織形態別に見ると、非営利法人における「出向者受け入れ」は54%、「会員制度」は64%の機関が実施している。一方、営利法人については、それぞれ27%及び19%であった(図 1-1)。
 同様に東京及び東京以外の所在地域別では、「出向者の受け入れ」東京34%、東京以外50%、「会員制度」東京34%、東京以外54%と差異がみられる(図 1-2)。

表 1-1 現在各シンクタンクが行っているネットワーク活動(複数回答)
項 目 回答数 ※ 割合
(1)共同研究の実施 97 48%
(2)団体・学会への加盟・所属 124 61%
(3)出向者の受け入れ 85 42%
(4)会員制度の実施 88 44%
(5)会議・セミナー・シンポジウム等の開催 130 64%
(6)教育プログラムの実施 33 16%
(7)SNSの開設・運営 4 2%
(8)その他 18 9%
(9)特になし 21 10%
注) ※印欄は、回答機関202機関を母数としてそれぞれの回答数の割合を示す。

図1-1 組織形態別に見るシンクタンクが行っているネットワーク活動

 
図1-2 地域別(東京・東京以外)にみるシンクタンクが行っているネットワーク活動

 なお、「(8)その他」の具体的事例としては、

等が回答されている。

(2)ネットワーク活動を行う理由、期待する効果
 表 1-1 において、現在いずれかのネットワーク活動を実施していると回答した181機関に対し、ネットワーク活動を行う理由、期待する効果について伺った。
 ネットワーク活動を通じた「情報収集・交換」と回答した機関が40%、次に「研究の質の向上」という回答が36%であった(表 1-2)。
 なお、回答項目について、「(6)その他」と回答された機関以外にも、一つの理由に特定し難いという意見が多く寄せられた。以上を踏まえると、情報収集あるいは交換といった活動を一義的目的(手段)として、最終的には研究の質の向上を図ることを期待しているということが推測できるのではないだろうか。

表 1-2 ネットワーク活動を行う理由、期待する効果(有効回答 140機関)
項 目 回答数 割 合
(1)研究の質の向上 50 36%
(2)ステータスの向上 7 5%
(3)経済性の確保 7 5%
(4)情報収集・交換 57 40%
(5)広報活動の一環 15 11%
(6)その他 4 3%

(3)ネットワーク活動を現在行っていない理由
 表 1-1 において、ネットワーク活動について「(8)特になし」と回答した21機関に対し、ネットワーク活動を積極的に行わない理由を伺った。

(4)効果的なネットワーク活動
 各シンクタンクが現在行っている、あるいは将来行おうと考えている効果的なネットワーク活動について自由記述形式で回答を求めたところ、ネットワークを展開する対象としては、大学等教育研究機関、行政機関、民間企業、NPO、他のシンクタンク、あるいは海外の大学、研究機関等との間で、共同研究、セミナー、シンポジウム、意見交換・交流等を通じた活動・連携が回答の多くを占めていた。

2.シンクタンクが行うネットワーク活動一般について

(1)今後ネットワーク活動を展開したいと考える対象
 各機関がネットワーク活動を積極的に展開したいと考えるシンクタンク以外の組織・団体についてたずねたところ「大学等教育研究機関」が27%、次に「国・地方自治体」が23%であった(表2-1)。「大学等教育研究機関」については、シンクタンクが公共政策研究機関として研究を進めるにあたって必要な「知」の集積地としての位置づけから、また「国・地方自治体」は公共政策の実施主体あるいはクライアントとしての位置づけからみれば、自然の結果といえるのではないだろうか。
 また、「企業」「地域社会・市民・NPO」についても、それぞれ19%、16%ではあるが、各機関の研究対象、専門分野によってネットワーク活動の対象組織・団体としての重要性は高いものになると考えられる。
 なお、「その他」として、組織・団体ではなく"個人"のネットワーキングを重視しているとの回答があった。

表 2-1 ネットワーク活動を展開したいと考える対象(有効回答 181機関)
項 目 回答数 割 合
(1)国・地方自治体 43 23%
(2)マスメディア 3 2%
(3)企業 34 19%
(4)地域社会・市民・NPO 29 16%
(5)大学等教育研究機関 49 27%
(6)その他 6 3%
(7)特になし・わからない 18 10%

(2)ネットワーク活動の対象−国内外の比較
 シンクタンクが効果的なネットワーク活動を行う上で、国内外どちらにより重点を置くかについてたずねたところ、どちらかといえばを含め「国内に重点を置く」との回答が56%を占め、海外については7%、また「どちらともいえない」が37%であった(表2-2)。

表 2-2 ネットワーク活動の対象−国内外の比較(有効回答 199機関)
項 目 回答数 割 合
(1)国内に重点 46 23%
(2)どちらかといえば国内に重点 66 33%
(3)どちらともいえない 74 37%
(4)どちらかといえば海外に重点 11 6%
(5)海外に重点 2 1%

 なお、表 2-2 において、「(4)どちらかといえば海外に重点」及び「(5)海外に重点」と答えた18機関に対して、ネットワーク活動を行う対象として重視する外国名・地域名を求めた結果、欧州11件、アジア9件、米国8件の回答を得た。

(3)他のシンクタンクとの協力と競合
 シンクタンクがネットワーク活動を行う上で、他のシンクタンクは有望な協力機関であると同時に競合(競争)する相手となる可能性もある。この両者を分ける決定的要素について自由記述形式で回答を求めた。自由記述のため表現が異なるものの、主な意見を整理すると次のとおりであった。

 (1)相互補完関係等に関するもの

 (2)信頼関係に関するもの

 (3)その他

(4)ネットワーク活動を行うための重要項目
 シンクタンクが効果的なネットワーク活動を行うためには、何が重要なのかについて伺ったところ、「高度な専門性」35%、「社会的使命の共有」26%とこの二つの項目で61%を占めた。しかしながら「限定された一項目だけでネットワーキングができるわけない。」とのご指摘があったことも併せて報告する(表 2-3)。

表 2-3 ネットワーク活動を行うための重要項目(有効回答 182機関)
項 目 回答数 割 合
(1)高度な専門性 64 35%
(2)中立性・独立性 14 8%
(3)健全な財政基盤 18 10%
(4)社会的使命の共有 48 26%
(5)高い社会的信用 16 9%
(6)事業展開の柔軟さ 18 10%
(7)その他 4 2%

 最後に、本調査に協力いただいたシンクタンクの皆様に厚くお礼申し上げます。

総合研究開発機構(NIRA)政策研究情報センター
佐藤敏広


NIRALogo
トップページ
 
[ 目次へ ]

Copyright (c) National Institute for Research Advancement (NIRA)
Copyright (c) 総合研究開発機構 (NIRA)