NIRALogo
シンクタンクの動向2007 【データ編】

3 研究 *7

3-1 専門分野

 「シンクタンク年報2007」調査に協力いただいた271機関(大学附属政策研究機関、地方公共団体内政策研究機関は除く)の主な専門分野についてみると(優先順位の高い順に3分野まで選択)、最も優先順位の高い分野の割合は、依然として「国土」が高く、次いで「経済」「産業」と続き、この割合については例年とほぼ同じである。3分野の合計でみても、昨年とほぼ同様の結果となった。

図3-1 主な専門分野(最も優先順位の高い分野)
(有効回答:271機関)
図3-1 主な専門分野(最も優先順位の高い分野)

図3-2 主な専門分野
(有効回答:271機関、延べ725)
図3-2 主な専門分野

3-2 研究分野

 「シンクタンク年報2007」調査で収録した研究成果(2005年度終了分)は3993件で、これらを研究分野別(大分類)の割合でみると表3-1のような結果となった。1990年代前半まで常に25%を超える割合を占めたが1993年度を境に徐々に減少し、2004年度に14.9%とその割合が減少した「国土開発・利用」は今回調査でも同程度にとどまった。そのほか、「福祉・医療・教育」がマイナス1.6ポイントとなった。割合が増えたのは「経済」でプラス2.2ポイント、「交通」でプラス1.3ポイントであった。小分類については図3-3にまとめた。

 地域別については、東京が総件数の61.3%を占め、東京への一極集中は相変わらず顕著である(表3-2)。なお、研究分野の集計については、選択された2分野のうち優先順位の高い分野にて集計した。

表3-1 研究分野別(大分類)にみる研究件数の割合とその推移(%)
研究実
施年度
国土開
発・利用
国民
生活
福祉・医
療・教育
交通 通信・
情報
資源・エ
ネルギー
環境
問題
政治・
行政
経済 産業 国際
問題
文化・
芸術
科学
技術
1987 25.4 8.6 4.4 3.7 5.6 3.8 6.3 3.8 13.2 15.5 5.7 1.4 2.6
1988 28.9 6.6 5.4 5.1 5.8 3.6 5.5 4.2 11.5 13.1 5.7 2.3 2.3
1989 32.4 5.5 6.2 4.7 4.7 2.1 5.6 4.0 13.5 11.7 5.6 2.5 1.5
1990 27.9 6.4 5.3 5.3 5.1 3.3 5.1 2.8 16.8 14.6 4.0 1.4 1.9
1991 25.1 6.2 6.2 6.0 6.1 3.3 7.0 2.4 16.2 12.9 5.1 1.5 2.1
1992 25.6 6.6 6.1 6.7 4.6 3.8 7.5 2.8 15.6 12.6 5.3 1.6 1.3
1993 24.6 6.4 6.8 7.7 5.4 3.3 7.4 3.6 15.5 12.0 4.6 1.4 1.5
1994 20.6 7.3 6.4 6.6 4.9 3.1 7.8 4.0 15.7 14.4 5.1 2.1 2.1
1995 19.3 6.7 6.6 6.6 6.0 3.2 8.0 3.7 15.4 14.6 5.3 2.1 2.4
1996 18.1 7.3 6.3 7.1 6.4 3.4 8.7 4.1 14.8 14.7 5.0 1.8 2.4
1997 19.2 5.8 8.1 7.7 5.5 3.9 9.4 4.0 15.8 14.1 3.6 1.5 1.4
1998 20.9 6.9 8.5 7.1 5.6 3.0 8.7 4.9 16.0 11.2 4.2 1.4 1.6
1999 19.4 6.0 9.0 7.9 4.8 3.5 8.6 5.2 14.0 12.1 6.2 1.6 1.7
2000
件数
20.2
1066
5.9
310
7.2
377
8.1
425
4.7
249
4.4
232
10.6
556
7.6
398
12.3
645
11.2
591
5.1
266
1.3
68
1.4
72
2001
件数
18.7
917
5.9
287
8.5
416
8.2
403
4.7
230
3.7
181
10.5 7.4
363
14.3 10.6 5.0
245
1.2
60
1.2
57
2002
件数
17.1
815
5.2
247
10.2
489
7.8
371
4.0
192
4.4
212
9.6
461
8.2
389
16.2
773
10.1
480
4.5
215
1.4
65
1.4
66
2003
件数
18.9
802
5.9
249
10.1
426
7.1
302
3.7
155
5.4
227
9.0
380
7.3
310
16.5
700
9.9
421
3.7
156
1.3
54
1.3
55
2004
件数
14.9
639
5.6
242
10.7
460
7.9
340
3.0
130
4.2
181
9.4
403
8.1
345
16.1
689
11.4
489
5.5
234
1.6
67
1.5
66
2005
件数
15.1
602
5.3
213
9.1
362
9.2
369
2.2
88
3.5
138
9.0
360
9.1
363
18.3
729
10.6
425
6.0
238
1.5
60
1.2
46

図3-3 研究分野別(小分類)にみる研究件数(3993件)<2005年度>
図3-3 研究分野別(小分類)にみる研究件数(3993件)2005年度

表3-2 地域別にみる研究分野の内訳(%)<2005年度>
  北海道 東北 関東 東京 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄
国土開発・利用 17.4 10.7 11.8 13.8 20.5 18.5 22.3 20.2 10.0
国民生活 12.8 12.5 1.2 4.5 7.8 6.7 4.9 3.6 6.6
福祉・医療・教育 11.9 5.4 5.3 9.4 3.2 13.4 1.9 16.7 9.0
交通 4.6 8.9 4.1 7.7 24.5 12.3 3.9 4.8 6.6
通信・情報 3.7 0.0 0.6 3.1 0.3 0.6 1.0 1.2 0.9
資源・エネルギー 0.9 0.0 0.6 4.8 1.2 1.9 2.9 1.2 0.5
環境問題 4.6 0.0 4.1 10.5 5.2 11.0 2.9 14.3 2.8
政治・行政 12.8 5.4 15.3 8.9 8.4 9.9 6.8 2.4 8.5
経済 16.5 46.4 20.6 16.7 17.9 13.6 35.0 16.7 31.3
産業 12.8 8.9 17.1 10.1 7.5 8.0 16.5 19.0 15.6
国際問題 1.8 0.0 15.9 7.5 2.6 0.6 1.0 0.0 5.7
文化・芸術 0.0 1.8 1.2 1.6 1.2 1.9 1.0 0.0 2.4
科学技術 0.0 0.0 2.4 1.4 0.0 1.5 0.0 0.0 0.0
(件) 109 56 170 2449 347 464 103 84 211

3-3 研究の形態、内容等

 収録した3993件について、研究形態や公開の程度、研究手法、研究成果の公開等をまとめた。  研究形態別にみると、依然として受託研究の割合が高いが、自主研究の割合は引き続き増加傾向にある(図3-4)。自主研究について研究分野別からみると、「国際問題」で6割を超え、「経済」で5割となった。割合が少ない分野としては、「国土開発・利用」「科学技術」「環境問題」「交通」でいずれも1割未満である(図3-5)。

図3-4 研究の形態 <2005年度>
図3-4 研究の形態 <2005年度>

図3-5 総件数にみる自主研究の研究分野別内訳 <2005年度>
(総件数3993件、うち自主研究939件)
図3-5 総件数にみる自主研究の研究分野別内訳 <2005年度>

3-3-1 自主研究

 自主研究の割合について、過去5年(2005、04、03、02、01年度)と1990、95年度を時系列で比較した。その割合は95年度を以降17〜18%台で推移してきたが、2001年度を境に増加し、05年度では23.5%となった(図3-6)。また組織形態別に、(1)「非営利法人・団体」、(2)「営利法人」の観点から集計し、図3-7にまとめた。(1)については1990年度以降常に20%台で推移しているが、98年度より年々その割合は増加し、02年度以降は3割を超え05年度には37.0%となった。一方(2)について1990〜92年度までは20%台であったが、93年以降減少傾向に転じた。02年度には12%程度となったが、以降微増となり05年度は14.0%となった。

図3-6 研究件数の推移と自主研究の割合
図3-6 研究件数の推移と自主研究の割合

図3-7 組織形態別にみる研究件数の推移と自主研究の割合
図3-7 組織形態別にみる研究件数の推移と自主研究の割合

3-3-2 受託研究

 受託研究については依然として総件数の4分の3を占めており、政策研究機関の多くがこれに依存していることは明らかである。そこで、委託者の内訳、ならびに組織形態別にみる委託者の割合について分析を試みた。対象としたのは1995、2001〜05年度である。

 図3-8は、各年度に実施された受託研究について、委託者の割合をみたものである。

図3-8 受託研究にみる研究件数と委託者の割合
図3-8 受託研究にみる研究件数と委託者の割合

 委託者については「(1)中央省庁・政府機関」「(2)公益法人(財団、社団、特殊、認可、独立行政など)」「(3)地方公共団体等(都道府県、市区町村、およびその関連機関等)」「(4)営利法人」「(5)その他(国際機関・海外政府機関、大学、その他団体等)」の5項目に分類し、複数の機関が委託者になっている場合はそれぞれについて集計した。いずれの年度についても「(3)地方公共団体等」が全体の約4割を占め、政策研究機関にとっての貴重な調査研究収入源となっていると推測できる。また、「(1)中央省庁・政府機関」については01年度以降増加傾向にある。

 次に同じく委託者の割合について、受託者(研究実施機関)側の組織形態別(「非営利法人・団体」「営利法人」)にそれぞれの特徴を見てみる。

 「非営利法人・団体」についてみると(図3-9)、2002年度では「(3)地方公共団体等」が40.6%と大きな割合を占めていたが、徐々に減少し05年度は昨年度とほぼ同様で36.8%にとどまっている。その一方で、「(1)中央省庁・政府機関」からの受託は増加傾向にあり3割を超えている。

 「営利法人」についても(図3-10)、「(1)中央省庁・政府機関」からの受託は増加傾向にある。「(3)地方公共団体等」からの受託は微減となったが、「非営利法人・団体」に比べると高水準を維持している状態であると言える。一方で、「(4)営利法人」からの受託割合は減少の一途をたどっている。

図3-9 非営利法人・団体が実施した受託研究にみる委託者の割合
図3-9 非営利法人・団体が実施した受託研究にみる委託者の割合

図3-10 営利法人が実施した受託研究にみる委託者の割合
図3-10 営利法人が実施した受託研究にみる委託者の割合

 他方、受託調査研究1件あたりの平均受託額を見てみると(表3-3)、受託研究件数において大きな割合を占める地方公共団体からの平均受託額は2004年度に比してさらに減少する結果となった。地方財政が厳しい状況にある中で受託単価の減少には歯止めがかからず、また「民間系列」の受託額も年々減少傾向にある。一方で、国からの平均受託額は年々増加しているが、国からの受託額の7割近くをわずか10機関が占めているところから、多くの政策研究機関の財源不足というマイナス要素を解消するには至っていないと言える。

表3-3 受託調査研究1件あたりの平均受託額
(百万円)
  特殊・
公益法人
地方公
共団体
民間研究・
助成団体
民間系列 民間
その他
マルチ 海外 その他 平均
2000年度 12.5 10.3 4.6 5.0 9.3 2.5 11.8 5.1 7.6 6.0
2001年度 15.2 8.1 4.6 6.3 10.4 1.9 14.2 6.5 3.6 5.9
2002年度 12.0 6.1 4.1 6.7 8.2 1.9 4.1 13.2 2.9 5.2
2003年度 14.4 7.0 4.0 6.3 7.5 2.6 9.8 7.0 3.4 5.6
2004年度 16.0 6.4 3.7 5.0 6.1 2.0 11.7 8.7 4.6 5.1
2005年度 16.4 7.1 3.3 4.5 6.1 1.9 15.4 4.5 5.6 5.1

 さらに、調査研究収入に占める上位10機関の割合について過去7年間を調べたところ、平均すると上位10機関が5割以上を占めており、2004、05年度では6割近い割合となっている(図3-11)。依然として寡占市場とも言うべき状況にあり、小規模の政策研究機関にとっては非常に厳しい経営状況であることは想像に難くない。

 なお、表3-3、図3-11については、いずれも定点観測調査結果に基づくものである。

図3-11 調査研究収入にみる上位10機関の割合
図3-11 調査研究収入にみる上位10機関の割合

3-3-3 研究期間

 調査研究の期間については、6カ月未満が全体の約4割近く、1年未満でみると8割強を占め、例年にたがわず短期、単年度の研究形態となっている(図3-12)。

 また今回収録した3993件のうち受託研究について開始年月・終了年月からその内訳をみると、年度末の3月に終了した研究が73.4%を占めており、単年度単位でかつ一時期に集中している傾向は変わらない(表3-4)。

図3-12 研究期間 <2005年度>
図3-12 研究期間 <2005年度>

表3-4 研究開始・終了年月からみる受託研究件数の内訳(2935件)<2005年度>
       終了
開始
2005年
4月
2005年
5月
2005年
6月
2005年
7月
2005年
8月
2005年
9月
2005年
10月
2005年
11月
2005年
12月
2006年
1月
2006年
2月
2006年
3月
2005年3月以前 5 14 15 6 7 4 3 3 5 3 2 23 90
2005年4月 2 7 1 5 11 28 5 4 14 8 13 242 340
2005年5月 - 1 5 6 5 15 6 5 12 10 13 162 240
2006年6月 - - 1 3 11 16 11 7 12 9 22 246 338
2005年7月 - - - 1 4 12 13 9 16 16 39 235 345
2005年8月 - - - - 1 6 10 11 16 13 43 195 295
2005年9月 - - - - - 0 4 5 15 14 42 186 266
2005年10月 - - - - - - 2 10 11 13 36 224 296
2005年11月 - - - - - - - 1 3 15 32 195 246
2005年12月 - - - - - - - - 0 5 20 166 191
2006年1月 - - - - - - - - - 0 6 164 170
2006年2月 - - - - - - - - - - 2 99 101
2006年3月 - - - - - - - - - - - 17 17
7 22 22 21 39 81 54 55 104 106 270 2154 2935

3-3-4 研究成果の公開の程度、研究方法

 2005年度に終了した3993件の研究成果における公開の程度は、「報告書による公開(有償・無償合わせて)」が3割を超え、「内容照会可」も合わせると72.6%となり、公開度はここ数年で高まりつつある(図3-13)。その一方で、図3-13について受託研究のみで集計すると、「非公開」が35.7%と全体より8.3ポイント程度高く、「報告書による公開(有償・無償合わせて)」は11.8%にとどまっている。

 研究方法は、「抄録あり」の2206件について複数回答可として集計した。

図3-13 研究成果の公開の程度<2005年度>
 
図3-13 研究成果の公開の程度<2005年度>
図3-14 研究方法<2005年度>
(抄録のみ2206件、複数回答可)
図3-14 研究方法<2005年度>

3-3-5 共同研究

 共同研究については、「あり」と回答したのは53機関(24.5%)で307件であった(図3-14、3-15)。なお対象は、動向調査に回答のあった216機関、336件である。

図3-15 共同研究実施の有無
(有効回答:216機関)<2005年度>
図3-15 共同研究実施の有無(有効回答:216機関)<2005年度>
図3-16 共同研究内容の内訳(336件)
 
図3-16 共同研究内容の内訳(336件)

3-4 研究成果の情報公開

 研究成果の情報公開について、研究報告書、定期刊行物、インターネットの3種類による公開の程度を調査した(対象は動向調査に回答のあった219機関)。いずれも2005年度実績である。

 (1)研究報告書による公開(有効回答:211機関)については、2005年度に発行された研究報告書の点数は8750点で、そのうち「公開」しているものは18.2%で、昨年(15.3%)に比してその割合は増加した。

 (2)定期刊行物による公開の程度(発行していると回答した機関:152機関)については、総点数は344点で、配布対象としては「一般」が70.9%、「会員」が22.7%、「その他」が6.4%であった。また発行頻度については、「年刊」が30.2%と最も多く、以下「月刊」(23.0%)「季刊」(22.7%)の順となっている。

 (3)ホームページを既設している機関は有効回答:218機関中210機関で、96.3%に上る。しかし、インターネットによる研究成果の公開については、「ある」と回答した機関は60.1%(131機関)にとどまっている。「なし」とした機関についてその理由を尋ねたところ、「受託研究のためクライアントとの守秘義務による」との回答が例年どおり多くみられた。


NIRALogo
トップページ
 
[ 戻る | 目次へ | 次へ ]

Copyright (c) National Institute for Research Advancement (NIRA)
Copyright (c) 総合研究開発機構 (NIRA)