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シンクタンクの動向2007 【データ編】

5 人的資源からみたシンクタンクの動向

 「シンクタンク年報1992」〜「シンクタンク年報2007」調査時に行った「シンクタンクの動向」調査の15年間の集計データを基に、職員・研究者という人的資源の側面からみたシンクタンクの動向について分析を試みた。「はじめに」で触れたとおり対象年は1992〜2006年で、このうち『シンクタンク要覧』の発行年に当たる93、96、99年については対象機関を広げて調査を行っているため除外した。また調査日については各年の4月1日現在を基準としたものであるが、一部前年度実績となっている調査項目もある。

 なお各調査年の有効回答機関が異なり正確な実態把握は難しいため、おおまかな傾向を掴み取ることに終始したことをあらかじめお断りしたい。

5-1 職員数・研究者数の推移

 まず、職員数と研究者数の推移を見ると(図5-1)、職員数は1997、98年の約1万7000人程度をピークに徐々に減少し、2006年では7000人程度まで落ち込んでいる。一方、研究者数については職員数ほどの急激な変化はないが、同様に減少傾向にあると言える。

図5-1 職員数と研究者数の推移
図5-1 職員数と研究者数の推移

 続いて、男女別の割合の推移について見てみる(図5-2)。機関数については図5-1と同様である。98年を境に男性職員数が急激に落ち込んでおり、また女性職員数もなだらかに減少している。研究者についてみると、男性研究者は2000年をピークに減少に転じているが、女性研究者数はほぼ横ばいである。

図5-2 男女別にみる職員数・研究者数の推移
図5-2 男女別にみる職員数・研究者数の推移

5-2 研究者の年齢層

 研究者の年齢層については、年々20歳代が減少し、40歳代、50歳代の割合が増加している。やはり1998年を境に20歳代と40歳代の割合が逆転しており、したがって研究者の平均年齢は上昇していると推測できる。団塊世代の定年退職により大きく変化するといわれる2007年問題以降、シンクタンクにおける年齢構成比がどのような構造になるのか、興味深いところである。

図5-3 研究者にみる年齢層の推移
図5-3 研究者にみる年齢層の推移

5-3 研究者の採用・退職

 続いて研究者の採用・退職の実績についてその推移を見てみる(図5-4)。1992年には500人近くの新卒採用があったが、その後は大きく落ち込み、99年あたりまで再び増加したものの、それ以降は減少の一途をたどっている。また中途採用者については2001年までは増加傾向にあったが、徐々に減少していると言ってよいだろう。一方で、定年退職、中途退職者についてはいずれも97年以降、増加している。また、採用者総数と退職者総数を比較すると、01年を境に逆転している(図5-5)。

 さらに、総収入、調査研究収入の側面を重ね合わせてみると(図5-6)、やはり00年をピークに総収入が減少していることがわかる。調査研究収入については総収入ほどの変化はないものの、やはり減少傾向にあると言ってよいだろう。91年の大量の新卒採用については、恐らくシンクタンクが調査研究以外に事業を拡大し、収入を確保し成長していったことに呼応するものではないかと推測できる。

図5-4 研究者の採用者数と退職者数の推移
図5-4 研究者の採用者数と退職者数の推移

図5-5 研究者の採用者総数と退職者総数
図5-5 研究者の採用者総数と退職者総数

図5-6 総収入と調査研究収入の推移
図5-6 総収入と調査研究収入の推移

5-4 まとめにかえて

 以上のことから、シンクタンクにおける人的資源は減少する傾向にあり、そのターニングポイントは2000年前後にあると言える。シンクタンクの第2次設立ブームは、1980年代後半から90年代前半の日本経済がバブル景気に湧き、その余韻を残している最中であり、今回の集計データから見る限りでは、その後のバブル経済崩壊による直接的な影響はさほど受けなかったのではないかと推測する。

 前述のターニングポイントは、インターネットバブルの崩壊の時期と重なる。そしてこの時期を境に、合併、統合が相次ぎ、さらに2004年以降は解散、廃止となった機関も数多くある(詳細については巻末の「政策研究機関(大学附属、地方公共団体内を含む)における最近の主な動き」を参照いただきたい)。また一方で、研究機能を大学に移管した機関もある。「シンクタンク業界」という括りでとらえれば、その規模が縮小傾向にある感は否めない。さらにここ数年のこうした動きを見ても、シンクタンクは再編期に突入していると言っても過言ではないだろう。

 日本における政策研究の中心的役割を担ってきた人的資源はどこにシフトしているのだろうか。内外に大きな政策課題を抱える日本にあって、シンクタンクはその存在価値をいかにして高め、政策市場における役割を確固たるものとしていくのか。次年度以降の調査から、シンクタンクとそれを取り巻く環境に少しでも明るい兆しが見えてくることを期待したい。

総合研究開発機構(NIRA)政策研究情報センター
島津千登世


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