2006年1月5日実施

〔ケーススタディA〕構造改革−民と公の挑戦

第9A回 官製市場の改革と市場化テスト
       −官から民への具体的な手法
<要約>

八代 尚宏 国際基督教大学教養学部教授

 
 日本では、製造業の空洞化、社会保障負担の増加が進んでいる。当面の景気は回復しているが、経済の不均衡な状況は解消されておらず、1990年代以来の長期経済停滞も持続したままである。社会環境の変化に対応していない制度の改革や、官業の民間開放などを進めることによりサービス市場を発展させ、こうしたことを通じて補助金削減・税収増による財政再建を図るべきである。

 日本は、例えば、株式会社の参入が禁止されている分野が多いなど「政府の関与」が大きい。経営形態などでの参入規制はやめるべきである。政府が行うべき事業であっても公務員が自ら行う必要はない。例えば、公営住宅よりも家賃補助の方が効率的。政府の役割を限定し、効率的な政府を目指すべきである。

 市場化テストとは、民間開放の是非を官民競争入札という客観的な基準で決定するものである。対象になると想定される業務には、ハローワーク、社会保険料などの徴収業務、国の指定統計の作成業務、公的書類の作成・交付業務などがある。民が行うことにより、規模や範囲の利益、補助金削減、税収増等の効果が期待できる。

 官民競争入札の導入に当たっては、(1)民間参入を制限する規制の改革(2)官民の対等な競争条件(税・補助金)の確保(3)所管官庁での発注部門と実施部門との分離(4)市場競争の規律の維持のためのモニタリングの仕組み(第三者機関)の整備――が必要である。

 政府は、市場化テストの実施に関する基本方針などを定めた「公共サービス効率化法」(仮称)の法制化作業を進めている。民間提案の活用、情報開示、規制の特例措置など、構造改革特区制度での経験が盛り込まれる。市場化テストは万能ではなく、その導入を契機とした各種評価の実施、官と民との競争状況の第三者機関によるチェックも重要である。

(文責・田中啓之/受講者)


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