NIRA Case Study Series No.2007-05-AA-2

自治体改革と地域の活性化
−北海道ニセコ町の事例から−

片山健也

【要 約】

 北海道ニセコ町においては、「住むことが誇りに思えるまちづくり」をテーマに、1.町民と行政の情報の共有、2.行政の透明性の確保、3.住民主体の町政の実現を目標に、各種の取り組みが行われてきた。

 1994年の改革型首長の誕生後、まず、1995年より「予算説明書」が全戸に配布されるようになった。これによって、まちづくり議論の土台となる町政情報が住民の手に届き、町のおかれている行財政の現状や課題が住民により明確になり、住民と町の課題を共有化する第一歩となった。今では予算説明書は各種のまちづくり活動や住民検討会の参考書として幅広く活用されるようになっている。

 また、住民と自治体職員の多様な話し合いの場が積極的に提供されるようになった。「まちづくり町民講座」などに代表される各種懇談の場は、住民とともに議論をし、政策意思形成過程を共有する中からより良い政策を作ることこそ自治体職員の役割との考えに基づき、これまで頻繁に開催されている。

 同時に、住民が主体となった積極的な取り組みも行われるようになってきた。1998年には国道と観光地区を結ぶニセコ大橋が開通した。この開通にあたり、商工会青年部や沿線住民は、道路沿線の景観を守るため、沿線住民が自ら作った住民組織と各事業主や個人が建築協定・ガイドラインを結ぶ事に成功した。こうした住民主体の活発な取り組みと歩みを合わせるように、国の補助事業や電力・電話等の関係機関の協力も得て、景観の一体的な整備事業を実現することが可能となっている。

 こうした住民主体のまちづくり・景観づくりを土台とし、また豊かな自然環境を活かし、近年では、海外旅行客が急増しており、スキーを中心とした世界的なリゾート地としても認識されるようになっている。2000年には観光協会の株式会社化も行われ、こうした組織による自律的な地域活性化の取り組みによる地域経済の振興も見られるようになってきた。

 情報共有や住民参加によって住民活動が活発となり、住民自らの手で地域の資源や魅力が発見・再構築されるという好循環が形成されている。

 今後の課題としては、環境や景観での取り組みが先駆的に進んでいる反面、地下水や水道水源の保全、防災対策など不十分な問題もあり、これらに対する一層の取り組みが必要となっている。またオーストラリアからの観光客の増大による地価の高騰、海外資本による不動産売買やリゾート開発に伴う景観条例や建築規制、環境保全等への対策も直面している課題である。


 札幌大学大学院法学研究科非常勤講師

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