NIRA Case Study Series No.2007-06-AA-6

市民生活・市民運動
−静岡県三島市NPOによる地域おこし−

渡辺豊博

【要 約】

 グラウンドワーク三島は、市民・NPO・行政・企業の中間に位置する、市民内発型の仲介的市民団体である。この組織は、「水の都・三島」の水辺自然環境の改善・再生を、総合的・総括的に進めるために1992年に設立された。従来は、さまざまな団体がバラバラに問題や街づくりにかかわり、経費的な無駄や散発的かつ非効率な活動が行われていた。これを、「グラウンドワーク」という手法を用いて解決しようとした。

 1980年代に英国で生まれたグラウンドワークのスキームは、市民・NPO・行政・企業がパートナーシップを組み、地域の環境改善活動を行うが、その際に、「トラスト」と呼ばれる専門組織が関係者間の仲介役・調整役を勤めるというものである。グラウンドワーク三島は、この関係者間の仲介・調整を行う組織である。

 グラウンドワーク三島は、20の団体から構成されており、複数の団体がひとつのネットワークを形成することにより、資金的・人的・専門的な支援や最新情報の集積、さらには人的ネットワークや信用力などの相乗効果をもたらすことができる。

 グラウンドワーク三島の取り組みを成功に導いた方法としては、@構成団体間での共通の理念や目標を構築、A実践の継続と成果の蓄積、B環境保護から環境マネジメントへの視点の転換、Cパートナーシップの形成、D短・中・長期プランの策定、E実践的な環境教育の場づくりがある。

 特に、関係者(市民団体・地域住民・行政・企業)が活動へコミットしパートナーシップを結ぶために、さまざまな取り組みが行われている。市民団体に対しては、目的およびメリット・デメリットの認識の共有化が重要な取り組みとなる。市民に対しては、街づくり勉強会の開催やイベントの企画を行っている。行政に対しては、行政の遊休地の環境改善をきっかけとして自立性を保った上での役割分担が行われるようになった。また企業からは、資金的支援、専門的技術支援、人的支援、機材等の提供を受けている。

 こうした活動をこれまで続けることができた最大の要因は、継続への「執念」にある。また、新たな潮流の発生、創造の連続によってもたらされる、多様な人々との絆が、よりいっそう創意工夫に満ちた市民活動を支えている。

今後の課題としては、組織基盤の強化、NPOのノウハウの蓄積、事業内容の多様性、人材の発掘、地域活動から広域的な活動への展開などがあるが、これらに対応した活動を行っていく予定である。


 NPO法人グラウンドワーク三島事務局長

[本文へ] (PDF形式 2,076KB)


NIRALogo
トップページ
 
[ 戻 る ]

Copyright (c) National Institute for Research Advancement (NIRA)
Copyright (c) 総合研究開発機構 (NIRA)