第3回 NIRA大来政策研究賞表彰作の紹介

社会福祉と家族の経済学

岩本 康志 編著

 

[本書の概要]

 介護保険の施行をはじめ、社会福祉政策の領域では現在、大きな制度的変化が起こっている。その背景には女性の社会参加、高齢者人口の増加、核家族化の進展などにより、家族の保育・介護サービスの提供能力が低下し、家族と社会福祉の役割分担の見直しが迫られていることがある。本書は、マイクロデータの分析を踏まえて、世帯が出産、育児、介護、就業の問題にどのように対応しているのかを検証し、育児支援策は出生率に影響を与えることができるのか、また、公的介護保険の導入により介護者は介護の負担から解放されるのか、などの児童・高齢者福祉政策に関わる政策課題について、家族の経済学の視点から検討している。7名の経済学者による共同研究の成果である。(185ページ、東洋経済新報社刊)

[選考者評]

 本書は、ミクロ経済学の新しい精緻な分析手法に基づいて、社会福祉と家族の領域における諸制度・政策の効果を解き明かした堅実な実証研究の成果である。経済学者のグループによる論文集であるが、各論文が相互によく噛み合って全体的にレベルの高い著作に仕上がっており、新たな中堅世代の台頭を印象付けている。政策や制度の効率性、有効性、実効性が厳しく問われる時代に入っている現在、本書で示された実証分析は、今後の児童福祉政策や高齢者福祉政策の展開にきわめて有益な示唆を与え得るものである。

[著者紹介]

編著者 岩本 康志(いわもと やすし)

共著者浦坂 純子 同志社大学文学部助教授
 大日 康史 大阪大学社会経済研究所助教授
 小原 美紀 政策研究大学院大学助教授
 齊藤 誠 一橋大学大学院経済学研究科教授
 滋野由紀子 大阪市立大学経済学部助教授
 山内 太 横浜国立大学経済学部助教授

[目 次]

序 章 社会福祉と家族の経済学
第I部 児童福祉政策
 第1章 育児支援策の結婚・出産・就業に与える影響
 第2章 保育政策が女性の就業に与える影響
 第3章 子どもの健康資本と親の時間配分行動

第II部 高齢者福祉政策
 第4章 介護場所の選択と介護者の就業選択
 第5章 要介護者の発生にともなう家族の就業形態の変化
 第6章 世帯構成員の長期療養に起因する経済厚生の損失
 第7章 高齢者福祉サービスにおける自治体間格差と現金給付


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