総合研究開発機構(NIRA) : 研究テーマ
東アジア「海」の信頼醸成

開始情報終了情報



題 名東アジア「海」の信頼醸成
副 題
領 域アジアの地域協力
種 別自主研究 [研究体制
機 関総合研究開発機構(NIRA)
開 始2005年 6月
終 了2006年 3月
報告書報告書 編集中


【 研究開始情報 】

 北米自由貿易協定や欧州連合など地域統合が進む中で、今世紀初頭の課題として、東アジア海を取り巻く周辺各国において本格的な地域協力の実現とそのための枠組みづくりが求められている。こうした期待を醸成する視座として、これまでの陸地を中心とする見方から転じて東アジア海という「豊饒(ほうじょう)の海」を共有するという海洋史観に立って、研究することが必要である。

 本研究は、領土問題や歴史問題などを中心に時として緊張関係が先鋭化する東アジア地域において、「海」を共有するという視点から、それら地域の信頼醸成の必要性と可能性、そして、実現への方途を追究すべく、有識者への議論の場を提供することを目的としている。なお、3カ年度計画の初年度に当たる今期は、対象地域の社会・経済データの整備、それらデータに基づいた比較優位性や相互依存性などのマクロ経済分析、アジアバロメータなど既存世論調査を利用したミクロ・データ計量分析、各国の教科書などを利用した記述分析などを実施する。対象地域は、日本、中国、韓国、主要ASEAN諸国、オセアニア諸国などを想定している。


【 研究終了情報 】

 本研究は、領土問題や歴史問題などを抱える東アジア地域において、「海」を共有するという視点からそれら地域の信頼醸成の必要性と可能性、そして、実現への方途を追究すべく、有識者への議論の場を提供することを目的に、東アジア地域のマクロ経済分析、世論調査のクロス・カントリー分析(以下、アジア・バロメータ分析)、教科書分析など実証的な検証を行った。

1.研究手法と検証結果
 マクロ経済分析では、貿易財の比較優位構造、東アジア域内貿易の結合度、そして、貿易財の主要産品となる工業製品の雇用者数の変化を取り上げ、地域間の相互依存性・補完性や産業構造の変化を概観した。その結果、分析対象国間の貿易財から見た相互依存関係の高まりと産業内貿易という安定的な経済関係への進展が確認できた。

 世論調査分析では、アジア・バロメーターの2004年の調査の個票データを用いて、各国の国民性の相違や共通性、国民の効用水準の決定要因、政府に期待する役割に関するクロス・カントリー分析を行い、地域統合に向けた共通政策基盤の可能性を考察した。その結果、対象国間の対外的な印象に大きな差異が見られた。例えば、日中韓を含む北東アジア各国では双方の国々に対して好意的な印象を持つ人々が少ない一方、東南アジア各国では日中韓各国に対して好意的な印象を抱く人々が比較的多いことが浮き彫りとなった。

 教科書の記述分析では、東アジアの各国・地域におけるアイデンティティーの形成に重要な歴史・地理・国語の中等教育の教科書を取り上げ、「海」との距離感の把握を目的とした定性分析を行った。教科書分析は、「海」の概念には「領海」という対立的な概念を想起する記述が大半を占めるものの、一部の国々では環境保全・国際協調の場としての「共通の海」の役割にも触れている教科書も見受けられたことが報告された。

2.政策提言
 政策提言では、上記の検証結果を7人の学識経験者に提示し、東アジア地域における信頼醸成実現に向けた政策的な議論を行った、各学識経験者からは、東アジアにおける信頼醸成に向けて、以下の政策が提言された。

3.研究課題
 本研究では、分析手法と政策提言について、

  ・教科書分析では、新たな分析の切り口を提示したという点で評価されるものの、確立された手法ではないことから更なる手法の改善が求められること。
  ・政策提言においては、外部学識経験者の深い洞察に基づいたさまざまな提言を行っているものの、現実の政策を踏まえた具体的な政策提言にまで言及できなかったこと。

という2点を課題として、今後の研究に役立てていきたいと考えている。


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