総合研究開発機構(NIRA) : 出版物情報
NPOの資金循環システムの構築

概要開始情報終了情報研究要旨目次
題 名NPOの資金循環システムの構築
副 題
機 関総合研究開発機構
発 行平成16年9月
版 頁A4・117P
種 別自主研究
分 野国民生活(国民生活一般)、経済(経済一般)
ISBN4-7955-2449-1

【 概 要 】
近年、新たな公共としてのNPOに対する社会的期待は高まっているものの、その活動を支える資金的基盤は我が国ではいまだ脆弱であり、NPOが十全の活動を展開する妨げとなっている。
本書では、企業、個人からNPO活動を支える資金循環の全体像と、その実現に向けての課題を体系的に整理し、従来我が国では欠如していたNPO活動を支える企業、個人からの寄付の文化を創造するために、コミュニティファンドの実現に向けたステップ、条件等を明らかにし、これらの過程を通じて自立的市民セクター育成に向けた可能性について検討を行い、官民を含めた今後の対応について包括的な提言を行っている。

【 研究開始情報 】
20世紀末から21世紀初頭にかけてさまざまな改革が行われているが、グローバル化が世界を覆う中、わが国においても伝統的な日本型政治経済体制の急激な転換が迫られるようになった。特に、社会的使命に関しての市民意識の高まりにより、非営利組織(NPO)、地域コミュニティ等の新しい社会的活動体(アクター)に対して、企業セクターとともに、社会的貢献の役割についてニーズが高まりつつある。
また一方で、国・地方を通じる厳しい財政再建に向け、政府機能のダウンサイジングおよび民営化などの行政改革が進められている。そこにおいては、政府機能の経済市場化等の課題に加え、パブリック・ノンプロフィット関係とも言うべき政府セクターと多様な市民セクターとの新しい協働関係を樹立する必要がある。
市民セクターのうちNPOについては、その活動の促進に資するために法人格を付与する等を内容とする「特定非営利活動促進法」(いわゆるNPO法)が議員立法により1998年3月に成立し、同年12月より施行されている。また、その活動の財政基盤の強化を目的とした税制改革についても、2001年10月より実施されている。NPOの活動に関する法的・税制上の制度は、一応整備されたが、緒に就いたばかりの状況である。
NPOにおける、その活動のための経営資源(パブリック・リソース)は、個人・行政・企業からの資源を還流する方法で集められているが、その基盤はいまだ脆弱(ぜいじゃく)であり、経済的な条件から当初の目的を果たせない組織も多々あるのが現状である。
一方、NPOサイドでは、資金や人材等の資源を有効に活用するマネジメント能力や、協力者や関係者、一般市民に対する情報発信・ディスクロージャーの能力を拡充することが急務となっている。今後は、組織力を高めるキャパシティ・ビルディング(能力構築)を通じ、アカウンタビリティも高めると同時に、NPOを客観的に評価していくことが重要になると思われる。
本研究においては、NPOの実践者・財界・マスコミ等の広範囲のメンバーから成る研究会を組織し、企業および個人からNPO活動を支えるための資金循環の全体像と、その実現に向けての課題を体系的に整理する。
特に、企業および個人がNPO活動を資金面から支えるといったような、従来、わが国では一般的でない寄付の文化を創造するため、中間組織(市民社会ファンド)の創設という一つの仮説を立てることによって、実現に向けたステップ・条件等を明らかにする。これらの過程を通じて、自立的市民セクター育成の可能性について検討を行うものである。


【 研究終了情報 】
20世紀末から21世紀初頭にかけてのさまざまな変革により、わが国においても伝統的な日本型政治経済体制の急激な転換が迫られるようになった。特に社会的使命に関する市民意識の高まりにより、非営利組織(NPO)等の新しい社会的活動体(アクター)による社会的貢献へのニーズが高まりつつある。
市民セクターのうちNPOについては、特定非営利活動促進法(NPO法)の施行および税制改革の実施により、一部の機関では先駆的な取り組みがなされており、資金需要は多様化しているものの、その財源確保はまだ脆弱(ぜいじゃく)な状況である。
本研究では、国内NPOの資金調達の実態等を調査するとともに米国の先進事例を収集・分析し、NPOの資金循環促進に関する各種提言を取りまとめた。
提言では、資金循環に関して多面的かつきめ細かな対応を取り上げているほか、日本型の地域再投資法(CRA)を導入することによって金融機関の社会的投資を促すという大胆な提案も含まれている。NPO自身の情報整備、マネジメント能力の向上も含めた、総合的な施策の実施による戦略的なプロジェクトが求められる。


【 研究要旨 】
個々のNPOにおける組織運営上の最大の課題が資金源の限界であることが指摘されて久しい。NPOの資金源が極めて脆弱で限られている現状は、各団体の個別の努力によって解消されるものではない。NPOの資金基盤そのものが発達することなくしては、限られた資金源をめぐる団体間の争奪戦が起きるのみである。今後、公共サービスの担い手としてまた、多様な社会参加のルートを提供して社会の安定と活性化に寄与する機構として、NPOの役割が重要になると想定されるため、NPOの資金基盤の拡充に本格的に取り組む必要がある。こうしたなか、NPOのパブリックリソースの整備について、資金源の充実に焦点をあてて研究を行い、具体的な方策を提案した。おもな結論は以下の通りである。
第一に、資金基盤形成を目的とする新たな法制度等を整備する必要がある。そのためには、寄付金を、政府セクターによって管理される税以外の公的資金としての奨励し、その支出を所得税の対象から控除する優遇税制を拡大することに取り組むべきである。また、非営利活動を支える資金循環の仕組みづくりに対する金融機関の関与を義務付け、社会的責任を果たした金融機関に対して報奨金等で応える日本型CRA(地域再投資法)の導入の検討していくべきである。
第二に、寄附と融資の側面から資金循環の促進を支援すべきである。そのためには、寄付開拓に専門に取り組むコミュニティファンドを設立し、民間、特に個人からNPOへの寄付の習慣をつくり定着させる戦略が必要である。コミュニティファンドは、全国にひとつ大規模なものをつくるのではなく、多様な組織を各地に、またテーマに応じて設立し、地域内に資金循環を作り出すことが望ましい。また、地域で行政、NPO、生協、労働組合などが共同で出資して「金融プラットフォーム」を設立し、NPOに対して地域密着型の融資を行うとともに、融資先のNPOの経営に関し助言を行う技術的支援(テクニカルアシスタンス)の仕組を確立すべきである。NPOに関する情報の不足や審査コストの点からNPO融資に取り組みにくい一般金融機関も、金融プラットフォームを経由して融資を行うなど、柔軟なスキームを確立することが望まれる。
第三に、SNA、労働統計、事業所統計などの既存統計におけるNPOの扱いを明確にすると同時に、現在認証官庁に提出されている報告書類の統計化を進め、NPOに関する統計年鑑として集約し、NPOの情報基盤も充実すべきである。


【 目 次 】
エグゼクティブ・サマリー
Executive Summary
第1章 調査研究の概要
第2章 日本におけるNPOの現状
 第1節 市民活動団体全般およびNPO法人の財政規模と収入構造
 第2節 多様化するNPOの資金ニーズ
第3章 資金的支援の現状
 第1節 民間助成組織
 第2節 個人寄付
 第3節 行政系資金支援
 第4節 地域金融機関
 第5節 社会的責任投資(SRI)
第4章 海外の動き
 第1節 米国のコミュニティ・インベストメント
 第2節 コミュニティ・ディベロプメント・ローンファンド(CDLF)
 第3節 地域金融を支える仕組み
第5章 課題解決の基本的方向
 第1節 資金基盤をめぐる課題の整理
 第2節 課題解決における将来フレーム
 第3節 課題解決の方向性
 第4節 資金基盤の拡充に向けた政策および戦略プロジェクトの提言
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