総合研究開発機構(NIRA) : 出版物情報
中国のWTO加盟と日中韓貿易の将来
3国シンクタンクの共同研究


概要開始情報終了情報目次
題 名中国のWTO加盟と日中韓貿易の将来
副 題3国シンクタンクの共同研究
機 関構阿部一知 浦田秀次郎 編著、日本経済評論社 刊(NIRAチャレンジ・ブックス)
発 行平成14年3月発行
版 頁四六判・291P
種 別単行本
分 野国際問題(国際経済)、国際問題(国際関係・外交)
ISBN4-8188-1404-0

【 概 要 】
中国の世界貿易機関(WTO)加盟を視野に入れ、3国の貿易関係の強化および貿易拡大方策について、中国・韓国における貿易投資分野の専門家・実務家により構成された国内研究会での研究成果として、その現状と課題および提言をまとめたものである。

【 研究開始情報 】
本研究は、マニラで開催されたASEAN+3(日・中・韓)首脳会合(1999年11月)における、日本、中国、韓国の首脳の合意に基づいて実施するものである。また、その主たる目的は、3カ国間の経済協力を強化するために3カ国の政府に政策提言等を行うことである。
国際経済環境を概観すると、グローバリゼーションが急速に進む中、欧州統合の拡大・深化をはじめ地域協力の枠組みの構築が進展している一方で、北東アジアについては、これまで、地域間協力の空白地帯ともいわれてきた。
同会合において、3カ国間の経済協力の強化について各国の研究機関の間で共同研究を行うことが合意され、中国国務院発展研究センター、韓国対外経済政策研究院およびNIRAにおいて、共同研究の基本的な枠組みについて合意した。さらに、その第1段階として、主として貿易分野について共同研究を進めることとなった。


【 研究終了情報 】
共同研究の背景
現在、世界経済においては、一定の地域における複数の国々が協定等を締結し、共通の経済圏や自由貿易圏を形成する顕著な潮流がある。こうした「世界経済の地域化」は、北東アジアにおいても、日中韓3国間における緊密な貿易・投資関係を背景として、日中韓3国間の協力関係を強化する動きに現れている。
こうした動きを受けて、1999年11月に行われた、ASEAN+3 会合において、中国の朱鎔基首相、韓国の金大中大統領、日本の小渕首相(当時)により初めての3国首脳会合がマニラで開催された。その際に、3国間の経済協力の強化について3国の研究機関が共同研究を行うことが合意された。
本研究は、上記合意に基づきNIRAが日本を代表する共同研究機関に選定されたことを受け、日本政府からの要請により、中国・韓国の研究機関と共同研究を実施するものである。他の2カ国については、中国は中国国務院発展研究中心(Development Research Center of the State Council)、韓国では韓国対外経済政策研究院(Korea Institute for International Economic Policy)が研究を担当している。
共同研究は、基本的に3年間とし、そのうち最初の2年は貿易・投資を研究課題とすることが合意された。本年は、その第1フェーズとして、貿易関係の強化を研究課題として、貿易円滑化に政策提言の焦点を当てて共同研究を行った。
共同研究の実施
共同研究は、3カ国の間では、共同ワークショップの実施(1月 韓国・ソウル、6月 日本・御殿場)、共通フォーマットを用いた3国間の貿易に関する企業アンケート調査の実施(4月実施)、および外部の専門家も交えた国際シンポジウムの開催(10月 韓国・ソウル)を中心として、緊密に連絡を取りながら進められてきた。
一方、こうした国際的な共同研究を進めるにあたり、日本国内においても、中国・韓国における貿易投資分野の専門家・実務家による研究会(座長・浦田秀次郎早稲田大学教授)を組織し、共同報告のとりまとめに資することとした。日本側の研究会は、今後、日中韓3カ国における貿易の現状と課題および提言をまとめた総合的な報告書を発表することとしている。
日中韓共同報告
共同研究の1年目の成果は、3機関の「共同報告書及び政策提言」としてとりまとめられ、11月5日にブルネイで開催された、3国首脳会合において報告された。その内容は、以下の2本柱の下に整理されている。
(1)貿易円滑化に直接関連する政策措置として、通関・検査・検疫システムに関する訓練プログラムの創設、貿易に関する苦情受付・処理機関の創設、民間事業者の移動性の改善、貿易摩擦の早期警戒システムなどを提言した。
(2)より幅広い政策措置として、3国の経済閣僚が定期的に会合を持ち、貿易円滑化措置やその他の重要な経済問題について議論すること、3国間対話の強化のため産官学を集めたフォーラムを開催すること、などを提言した。
3国首脳会合においては、金大中大統領より内容の紹介があり、小泉首相、朱鎔基首相ともに賛意を表明した。
共同研究の今後の課題
共同研究2年目となる来年は、貿易・投資に関するより包括的な報告と提言のとりまとめを行う予定である。また、来年は、より幅広く3国間の経済の協力関係に関する基本的な方向についても研究が行われる。さらに、それ以降、IT(情報技術)やエネルギー、環境保護への協力など、個別分野ごとの協力課題を含むように、テーマを広げることとしている。


【 目 次 】
はじめに
第1章 日中韓貿易の概観
第1節 日中韓貿易の推移−3国の結びつきの強さは?
(1)中国,韓国との2国間貿易の概観
(2)3国における域内貿易の結びつき
(3)3国の貿易構造の推移
(4)まとめ
第2節 貿易と直接投資
(1)政策的貿易障壁と非政策的貿易障壁
(2)貿易と直接投資
(3)実証分析−日中貿易
(4)実証分析−中韓貿易
(5)実証分析−日韓貿易
第3節 アンケート調査にみる日中韓の貿易障壁
(1)対中国・対韓国輸出における貿易障壁
(2)中国・韓国からの輸入における制度的障害
第4節 日本のセーフガード問題
(1)日本のセーフガード発動の経緯
(2)セーフガードの得失
第2章 日本からみた北東アジア地域協力−成長ダイナミズムの取り込みを目指して
はじめに
第1節 北東アジア経済の台頭
(1)北東アジアへの経済重心シフト
(2)北東アジアの特性
第2節 日本にとっての北東アジア市場
(1)生産拠点としての北東アジア
(2)市場としての北東アジア
第3節 日本の産業構造転換と北東アジア
(1)産業構造転換の方向
(2)日本の産業構造転換と北東アジア
第4節 まとめ−日本と北東アジア地域協力の方向と課題
(1)北東アジア地域協力の戦略性
(2)域内協力の推進と日本の課題
第3章 激変する中国経済−WTO加盟と北東アジア
第1節 中国の開発戦略と3国協力の役割
(1)90年代の中国の経済開発
(2)第10次5カ年(十五)計画のフレームワーク
(3)第10次5カ年計画の産業開発重点分野
(4)開発における課題
(5)日中韓3国間協力の可能性
第2節 WTO加盟による中国経済の構造調整
(1)WTO加盟が中国経済に与える影響の予測
(2)産業構造調整の基本フレーム
(3)産業別構造調整策
(4)構造調整への企業の対応
(5)WTO加盟への全体的対応
第3節 中国の産業政策と日本・韓国
(1)1990年代の中国の産業政策
(2)2000年以降の産業政策
(3)日本との経済関係
(4)韓国との経済関係
まとめ
第4章 韓国からみた北東アジア地域協力−開放小経済の戦略的イニシアティブ
はじめに
第1節 ポスト通貨金融危機の韓国経済と地域協力
(1)開放経済体系の完成
(2)自由貿易戦略と地域主義
(3)「太陽政策」と地域主義
第2節 韓国の構造転換と北東アジア市場
(1)IT産業と北東アジア市場
(2)既存製造業の再構築と北東アジア
(3)センター機能強化構想と北東アジア
(4)中国のWTO加盟と韓国(1)−貿易の拡大
(5)中国のWTO加盟と韓国(2)−直接投資交流の増大と多国籍企業誘致競争
第3節 域内協力の推進と韓国イニシアチブへの課題
第5章 加速する日本企業の中国進出
第1節 自動車産業の中国・韓国との貿易・投資
(1)世界自動車市場に占めるアジア市場の位置づけ
(2)韓国の自動車産業と貿易・投資上の課題
(3)中国の自動車産業と貿易・投資上の課題
(4)アジア広域自由貿易圏へのシナリオ
第2節 電機産業における日中韓協力をさぐる
(1)世界の電機産業における日中韓の位置づけ
(2)アジアにおける日中韓等の主要企業動向
(3)日本の電機産業
第6章 日中韓貿易・投資の未来像−協力の可能性を探る
第1節 日中
(1)日中貿易・投資の伸び予想
(2)日中サービス貿易
(3)日本企業からみた中国市場
(4)産業別日中経済交流の将来展望
(5)香港の機能
(6)対中ODA考
第2節 日韓
(1)日韓貿易・投資の伸び予想
(2)日韓サービス貿易
(3)日本企業からみた韓国企業
(4)都市間交流/文化交流
第3節 日中韓協力
(1)個別産業分野での協力可能性
(2)東アジア経済圏
(3)エネルギー・鉱物資源
(4)環境保全・海洋開発
(5)東アジアの安全保障/北朝鮮
付注:中国のWTO加盟のインパクトのモデル推計結果
資料:中国,日本,韓国間の貿易関係の強化に関する報告書及び政策提言(2001年11月4日,3国首脳会談提出)
1 日中韓共同研究の歴史的背景
2 共同研究の要約
3 共同政策提言



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