「東アジア海」の信頼醸成

 本報告書は、領土問題や歴史問題などを抱える東アジア地域において、「海」を共有するという視点からそれら地域の信頼醸成の必要性と可能性、そして、実現への方途を追究すべく、教科書分析など実証的な検証を行ったものである。研究全体としては、その他に東アジア地域のマクロ経済分析、世論調査のクロス・カントリー分析(アジア・バロメータ分析)が実施されたが、これらの成果は、既に個別の論文として公表されているので、本報告書では概要のみを掲載した(第3章)。

 第1章の教科書の記述分析では、東アジアの各国・地域におけるアイデンティティーの形成に重要な歴史・地理・国語の中等教育の教科書を取り上げ、「海」との距離感の把握を目的とした定性分析を行った。教科書分析は、「海」の概念には「領海」という対立的な概念を想起する記述が大半を占めるものの、一部の国々では環境保全・国際協調の場としての「共通の海」の役割にも触れている教科書も見受けられたことが報告された。

 また、第2章には「視座の提供」として、上記の検証結果を7人の学識経験者に提示し、東アジア地域における信頼醸成実現に向けた政策的な議論をしていただいた。

<目次>
概要
発刊に寄せて (小池洋次)
報告書要約
地図−東アジア「海」の信頼醸成のために
序章
東アジアの信頼醸成に向けて (川勝平太)
第1章   東アジアの教科書における「海」の分析(記述・地図)
 序節   教科書から読む海洋観の形成−概論 (福島安紀子・齋藤智之)
 第1節   大洋州諸国 (松島泰勝)
 第2節   ニュージーランド (アレキサンダー・ベネット)
 第3節   オーストラリア (竹田いさみ・永野隆行)
 第4節   インドネシア (岡本正明)
 第5節   マレーシア・シンガポール・ブルネイ (小牧利寿)
 第6節   ベトナム (菊池誠一)
 第7節   タイ (宮田敏之)
 第8節   フィリピン (森 壮也)
 第9節   極東ロシア (夏井重雄)
 第10節   台湾 (山ア直也)
 第11節   中国 (劉 建輝)
 第12節   韓国 (李 王ヘンに向淑・濱田 陽)
 第13節   日本 (福島安紀子・齋藤智之)
第2章   東アジア「海」を通じた信頼醸成の構築−視座の提供
 第1節   マクロ経済データから読む信頼醸成の可能性 (江崎光男)
 第2節   アジアバロメーター調査からみた東アジアの価値観と相互信頼 (田中明彦)
 第3節   中国・台湾からの視座 (国分良成)
 第4節   ロシアからの視座 (袴田茂樹)
 第5節   東南アジアにおける海洋安全保障からの視座 (竹田いさみ)
 第6節   アジア太平洋からの視座 (山本吉宣)
 第7節   アジアに共通する価値 (西原春夫)
第3章   本研究の第1、第2の柱の概要
 第1節   東アジア地域のマクロ経済分析 (片岡光彦)
 第2節   「東アジア地域の多様性を共通性から見た信頼醸成の可能性 −アジアバロメーター2004年調査結果からの一考察」の概要 (福島安紀子・岡部美砂)
『「東アジア海」の信頼醸成』表紙

  NIRA刊
  2007年11月15日発行
  A5版・356ページ
  ISBN978-4-7955-5436-8


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