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NIRAオピニオンペーパー

財政と金融の協調―緩和長期化のもとでのリスクと意義を考察する―

NIRAオピニオンペーパーNo.41 2019/01発行
宮尾龍蔵(東京大学教授)


 日本銀行が掲げる2%物価安定目標の達成には、まだ相応の時間がかかるとみられており、金融緩和の長期化は、財政規律を低下させて最終的には財政従属による高インフレ(財政インフレ)をもたらす、将来の出口の際の国民負担を増大させる、といった懸念が表明されてきた。財政と金融が協調するもとで、積極緩和がもたらすリスクと意義はどのように評価すべきなのだろうか。
 本稿では、まず財政インフレの懸念について、「マネタリストの不快な算術モデル」に基づき理論的に検討する。いくつかのシナリオを想定して、積極緩和によるメリット(通貨発行益の増大、金利の抑制、経済成長の改善)とデメリット(財政赤字の増加)の両方について比較考量を行い、前者のメリットには政府債務・G D P 比率の伸びを抑制して財政インフレ・レジームへの移行を遅らせる効果があることを定量的に示す。出口の際の財政負担についても、再投資の期間や金利正常化後のバランスシート規模によっては、当初の損失をその後の利益が上回る可能性がある。財政政策と金融政策の協調は、大規模緩和の前提である政府と日銀の「共同声明」で包括的に記されており、今後も堅持していかなくてはならない。

○現在の金融緩和は長期化する可能性が高い
○緩和長期化による財政への影響:財政規律低下による高インフレと将来の国民負担への懸念
○財政インフレの理論的基礎:「マネタリストの不快な算術モデル」
○「マネタリストの不快な算術モデル」に基づくシミュレーション
○財政規律の現状:歳入と歳出のバランスは改善し、金利と成長率の関係も逆転
○第2の懸念:金融緩和の出口の際に国民負担は発生するか
○現状の財政と金融の協調をどう評価すべきか

<関連研究>
マクロ経済政策運営と財政規律に関する研究(Ⅱ)(2016年6月~2018年11月)

<関連頁>
金融政策はジレンマを乗り越えられるか―均衡利子率の推計から示唆されること―(NIRAオピニオンペーパーNo.38)
ICTの進展と金融政策運営(NIRAオピニオンペーパーNo.33)
財政・金融政策運営をセットで分析する意義―「シムズ提案」から学ぶべきこと―(NIRAオピニオンペーパーNo.30)
不安定な海外経済動向とマクロ政策運営(NIRAオピニオンペーパーNo.23)

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