総合研究開発機構(NIRA) : 出版物情報
マルチメディアの将来像と地域活性化効果

概要研究要旨目次
題 名マルチメディアの将来像と地域活性化効果
副 題
機 関(株)CAD計画研究所
発 行平成5年6月発行
版 頁B5・140P
種 別助成研究
分 野通信・情報(通信)
ISBN

【 概 要 】
マルチメディアとは、コンピュータ等の融合により頭脳と双方向性を持つテレビのことである。本書は、暮らしの豊かさが求められる時代でのメディアへの要請、マルチメディアが生活者優先社会としての地域活性化に貢献できるための緊急課題について考察している。

【 研究要旨 】
マルチメディアは、コンピュータ、テレビ、電話の融合として登場した全く新しいメディアである。マルチメディアは、それぞれのメディア特性を引き継ぎながら、(1)各種情報資源のデジタル統合(2)個人を主人公とした受信者優先性(3)自然で全体的なコミュニケーションを実現するインタラクティブ性(4)自由な空間・時間軸の獲得−という新しいメディア特性をもって、次代の基幹メディアとなろうとしている。
マルチメディアは、登場しつつあるパッケージ型の孤立した形から、社会全体に広がるネットワーク・システムへと展開することによって、その真価を発揮するが、そのための基本問題は、(1)技術の標準化(2)生活者の視点に立ったマルチ・データベースの構築(3)コンピュータを意識させない簡易な操作性の確立−の3点にある。
マルチメディアが生み出す社会は、放送・映画産業、出版・印刷産業を巻き込んだ新たな情報産業を生み出すとともに、(1)新しい科学・技術の展開(2)誰もが創造者となれる芸術世界の到来(3)学習者優先社会の実現(4)エンターテイメント分野の成長をもたらす。また、バーチャル・リアリティ(仮想現実感)はマルチメディア技術の現時点での最高度な凝縮体であり、(1)仮想の空間とのリアルな対話(2)究極のヒューマン・インターフェース(3)臨場感通信会議(4)消費者優先の生産・消費の再結合などはマルチメディア全般に普遍化され、人間の体験、認識、表現を豊かにするだろう。
先進諸国は急速な成長から穏やかな成長へと転換している。こうした社会変化の中で、人々の価値観も、物質的な豊かさの追求から暮らしの豊かさの追求へと変化している。マルチメディアは、(1)個人の暮らしを原点とした「プロシューマー」社会(2)消費者側から生産と消費を再統合する「プロシューマー」社会(3)職・住・遊・学を再統合する「グループウェア」社会(4)個人体験を豊かにする社会(5)多様な社会参画を可能とする社会―の実現をもって、時代の要請に応える新しいメディアと言える。
さらに、マルチメディアは、まず、住民生活支援ツール、個性豊かな地域社会建設ツールとして、また消費者優先社会の訪れに対する企業の対応として立ち上がると見られ、生活者優先社会としての地域の活性化に貢献する。そのためには(1)情報基盤としての広帯域通信網の確立(2)通信と放送の境目が消えることに対する法令整備(3)マルチメディア研究開発・生産拠点整備などが緊急の課題となっている。群馬県におけるバックオフィス構想、マルチメディア・ビジネスリゾート構想は、その一つである。マルチメディアはまた、消費者優先社会建設のツールとして地球環境問題の改善に、生涯学習のツールとして南北格差の解消に力を発揮し得るメディアでもある。


【 目 次 】
エグゼクティブ・サマリー
要約
第1章 マルチメディア技術登場の道程と意義
第1節 コンピュータ、テレビ、電話の統合へ
1.3大情報技術のメディア特性と融合への道程
(1)コンピュータ-エンドユーザーを指向する統合メディアへ
(2)テレビ-対話性を持った総合的な画像メディアへ
(3)電話-広帯域で多様なパーソナルメディアへ
2.融合から統合へ-新しいメディアとしての登場
第2節 マルチメディアのメディア特性と発展の方向
1.様々な姿をとって立ち上がり始めたマルチメディア
(1)疑似的ないし端緒的なシステム
(2)ネットワークを前提としない独立システム-CD-I
(3)システム・ネットワーク化をめざすDVI
2.マルチメディアのメディア特性
(1)すべての基盤-各種情報資源のデジタル統合
(2)送り手優先から受信者優先へ-個人を主人公としたメディア
(3)インタラクティビティ-自然なコミュニケーションを実現
(4)自由な時間・空間軸の獲得-「いま」「ここ」を超えるメディア
第2章 話題の新技術から基幹メディアへ
第1節 マルチメディア社会形成への技術課題
1.マルチメディア社会の一日
2.社会の基幹メディアとなるための基本課題
(1)急がれる基本技術の標準化
(2)生活者の視点に立ったマルチ・データベースの構築
(3)コンピュータを意識させない簡易な操作性の確立
3.マルチメディア基本技術の展望と課題
(1)認識・入力・表示-インターフェイス技術
(2)データ圧縮・高速情報処理と大容量記憶・蓄積技術
(3)光ファイバー通信と衛星電送に収斂される電送技術
第2節 マルチメディア社会へと向かう社会各層の動き
1.融合を開始したコンピュータ産業、放送・映画産業、印刷・出版産業
(1)現実化するネグロポンテの予言
(2)通産省「人間情報社会」がめざすもの
(3)電子出版のとらえ方と将来展望
2.科学、芸術、教育、エンターテイメント分野での動き
(1)開き始めた新しい科学・技術
(2)誰もが創造者となれる芸術世界の到来
(3)学習者優先社会-新の渉外学習社会の実現へ
(4)まず立ち上がり始めるエンターテイメント分野
第3節 バーチャル・リアリティ(仮想現実感)
1.マルチメディア技術の高度な凝縮体
(1)仮想の空間とのリアルな対話
(2)究極のヒューマン・インターフェース
(3)臨場感通信会議とスコープハンド
(4)消費者優先の生産・消費の再結合
2.バーチャル・リアリティの世界を覗く
(1)医療分野
(2)科学・工学分野
(3)シミュレータの拡大とその意味
3.バーチャル・リアリティが開く世界
(1)シミュレータの拡大がもたらす都市づくりへの展開
(2)生体系との「交感」がもたらす認識と表現の拡張
第3章 マルチメディア登場を促す社会編かと与えられた課題
第1節 コミュニケーション技術史上のマルチメディア
1.はじめに視線の一致ありき
2.マルチメディアに至るコミュニケーション技術の変遷
(1)造形芸術および文字の発生-獲得された原初のマルチメディア
(2)活字印刷-複製技術メディアの確立
(3)情報革命-20世紀のメディアに託された夢
3.20世紀の夢を超える存在として
第2節 時代の要請-暮らしの豊かさの追及とマルチメディア
1.マルチメディア登場を促す社会ニーズの変化
(1)急成長の終息-生産優先から個人生活優先へ
(2)切実に求められ始めた暮らしの豊かさの追及
2.メディアに向けられた時代の要請
(1)個人の暮らしを原点に-ボロードキャッチ社会の実現
(2)消費と生産の再統合を求めて-プロシューマー社会の実現
(3)職・住・遊・学の融合-グループウェア社会の実現
(4)個人体験を豊にする社会の実現
(5)多様な参画を可能とする社会の実現
3.時代の要請に応えきるための条件
第3節 マルチメディアが変える地域像・世界像
1.マルチメディアが変える地域像
(1)生活者優先社会としての地域の再建
(2)集中を促すマスメディア、分散を促すマルチメディア
(3)マルチメディアとコミュニティ-電話を引き継いだ課題
2.マルチメディアが進める暮らしのグローバリズム
(1)電子メディアで結ばれた世界
(2)地球環境問題へのマルチメディアのアプローチ
(3)南北格差の解消へ-まずは相互理解と生涯学習から
3.認識と表現の拡張-コミュニケーション革命の可能性
(1)タイムマシンあるいは「どこでもドア」の現実性
(2)マルチメディア-自由のテクノロジー
第4章 暮らし豊かな地域社会の建設とマルチメディア
第1節 マルチメディアと地域社会を考える基本視点
1.中・長期的展望と立ち上がり期における課題
(1)マルチメディアに寄せられた地域活性化の期待
(2)地域からの立ち上げ野方向とシステムの基本形
2.克服すべき阻害要因と緊急を要する整備課題
(1)「ニューメディア」ブームの顛末に学ぶ
(2)緊急を要する基本的整備課題
第2節 地域社会へのマルチメディア導入の例示
1.暮らしの豊かさを実現するツールとして
(1)日常的な生活支援ツールとして
(2)多様な社会階層の社会参画を促すツールとして
(3)過疎振興、長寿社会建設に向けたツールとして
2.個性豊かな地域社会建設のツールとして
(1)地域個性発信のツールとして
(2)東京一極集中是正のツールとして
(3)自治体活性化のツールとして
第3節 群馬の地域産業政策とマルチメディア
1.マルチメディア立ち上がり期における群馬の特性
(1)群馬の地域特性に適う情報開発機能の性格
(2)「新ぐんま2010」とマルチメディア
2.群馬バックオフィス構想とマルチメディア
(1)群馬バックオフィス構想の概要
(2)群馬県が目指す機能複合とマルチメディア
(3)マルチメディア技術開発拠点立地促進の提案
3.マルチメディア・ビジネスリゾート構想の提案
(1)最適候補地としての北陸新幹線新安中駅周辺地域
(2)想定される施設の概要
おわりに
イングリッシュサマリー



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