[ゲスト]
森信茂樹
中央大学法科大学院教授

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.59  2011.01

財政再建が迫る社会保障と税制の改革

概要

 本格的な財政再建に向けて、消費税改革と社会保障改革が喫緊の課題である。社会保障と税の一体改革をどのように進めて行くべきか。税制の第一人者であり、この分野について幅広く研究されている、中央大学法科大学院教授の森信茂樹氏にお聞きした。

対談のポイント

●本格的な財政再建に向けて、消費税改革と社会保障改革が喫緊の課題である。財政再建の第一歩として、歳出削減で得られた財源にあわせてマニフェストを縮小すべきである。
●実現可能な消費税率の範囲内での現実的な社会保障制度を設計していくべきである。
●福祉から就労支援への転換が必要である。そのためには「勤労税額控除」を導入すべきである。
●所得税制改革と地方税制改革を併せて行い、消費税との間で適切なバランスを図っていくべきである。
●消費税はすべての経済活動(生産、消費)にかかる「付加価値税」であり、所得税に比べ様々なメリットを有する優れた税制であることを、国民にしっかり説明していく必要がある。その上で、消費税改革の「成案」についての議論を早急に開始すべきである。

森信茂樹(もりのぶ しげき)
京都大学法学部卒。法学博士(租税法)。1973年大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、財務総合政策研究所長などを歴任するかたわら、大阪大学教授、東京大学客員教授、プリンストン大学講師、コロンビア・ロースクール客員研究員などを務める。現職は、中央大学法科大学院教授、東京財団上席研究員、ジャパン・タックス・インスティチュート所長、政府税制調査会専門家委員会特別委員等。主な著書に『日本の税制 何が問題か』[2010]岩波書店、『金融所得一体課税の推進と日本版IRAの提案』[2010]金融財政事情研究会、『給付つき税額控除』[2008]中央経済社(共著)、『抜本的税制改革と消費税』[2007]大蔵財務協会等多数。

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