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PAPERS研究の成果

OPINION PAPER NIRAオピニオンペーパー

日本が抱える重要課題について、変化の激しい今だからこそ求められる未来志向の政策提案を、
研究プロジェクトを率いる研究者が発信します。

ISSN 2436-2212

大きく進捗したキャッシュレス決済

コロナ禍を経て、日本のキャッシュレス化が大きく進んだ。5年前の調査では、約5割だった決済額比率が、今や7割を超えている。その背景にあるのが、QRコードなどのコード決済等が、どの年齢層・所得層でも、そして全国に万遍なく普及したことだ。特に、若者層にコード決済等が広まった。また、課題だった低所得層にもクレジットカード決済が浸透し、低所得層のキャッシュレス化の遅れは解消されつつある。

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政治不信は民主主義をどう変えるのか

日本では自由と平等では自由を選択する人が多い。自己と他者が等しく一定の社会規範を遵守することを前提にした自由であり、政府の公正さへの関心が強い。特に、社会的・経済的に不安定な立場にある人は政府への信頼が低く、直接的な強いリーダーシップを望む。このような政府への不信は、ポピュリズムの温床になり得る。人々にレファレンスポイントとなる情報を多く提供・発信し、日本の状況を相対化してゆくことが求められる。

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脱炭素社会実現に向けたグリーンジョブの推進

先進国では地球温暖化対策が進み、日本も脱炭素社会実現に注力している。しかし、労働時間の10%以上をグリーンジョブに充てている就業者の割合は16%と、同割合が高い欧州の国に比べると低く、改善の余地がある。グリーンジョブに従事する人は、賃金、仕事満足度が高いが、必要なスキルが高度なため訓練が欠かせない。政府には、グリーンジョブに求められる訓練メニューを明らかにし、就業者へのリスキルの機会とインセンティブの付与が求められる。

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地方分権改革の30年を振り返る

地方分権改革が始まってから30年になる。自治体の自主性、自立性が着実に大きくなっているという意見がある一方、コロナ禍などの緊急時対応やDXなどにおいてむしろ国の役割を強化すべきという主張や、個別法令や計画策定などを通じて、実質的に国のコントロールが残っていることを問題視する考えもある。議論の焦点は、国と自治体の役割分担をいかに再定義し、その上で両者の関係をより円滑なものにしていくかにあるだろう。

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日本人の価値観に合った政策展開を

政策に対する評価は、人々の価値観の影響を受ける。緊急事態の時に、政策に従った行動を、国民が納得してとるには、日本人の価値観に合った政策を展開する必要がある。その前提となるのが、科学的な知見に基づいた世論の形成だ。それには、国民のデータリテラシーの向上が求められる。科学的な裏付けがなくても印象的な映像などは個人の価値観を変えうるため、複雑な情報を分かりやすく伝えるメディアや、専門家たちの意見を総合化する人材の役割も不可欠だ。

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失業なき労働移動を実現するために

グローバル時代にふさわしい活力ある雇用社会への転換が求められている。切り札となるのは「失業なき労働移動」だ。リスキリング教育を伴うことによって賃金を上げる方向で移動できるという視点を持ち、労働移動を積極的にとらえることが必要である。労働者が主体的に希望する仕事を選び、望む人が移動できる社会を目指す。これは政労使の共通の見解であり、産官学や地域の関係者も含めて、実現に向けた共通のビジョンを描くことが大切である。

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少子化政策に関する合意形成は可能か

少子化政策に必要な資金について、人びとが自ら負担することを納得した上で合意に達するには、熟議が不可欠である。それでは、どうすれば熟議を経た政策決定の仕組みができるか。人びとが共通認識・当事者意識を持つように新たな視点から問題を設定する「アジェンダ設定」、IT技術を活用して他人の意見へのフィードバックを可能にするといった「熟議プラットフォーム」の再構築、そして野党の弱さをはじめとする既存の統治システムの再考が必要とされる。

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SNS時代の政策決定メカニズム

SNSの発達により、政策当局者は人々の声を直接聞けるようになった。しかし、SNS上の意見は社会の意見から乖離し、人権侵害や虚偽情報による制脳的な事態が懸念される。人々の声を的確に政策に反映させるには、データに基づききめ細かい国民像を描くとともに、政策決定プロセスを理解し、人々の問題意識を政策決定者に咀嚼可能な形で伝える「ソーシャルセクター」の存在が不可欠だ。

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なぜ、人々の声は政府に届かないのか

2023年2月、NIRAフォーラム2023を開催した。社会全体のパイが増えない中、今の政治には痛みを分かち合う厳しい決定が求められる。人々と政治が社会に対して責任ある方策を共に見出すための政策共創の場が重要だ。「熟議民主主義」を根付かせ議論のプロセスを見直す一方、政治は政党間で競争し、意思決定の透明性と説明責任を高める。この2つの仕組みづくりに同時に取り組むことこそが、民主主義のサステイナビリティーを保つための道だ。

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大きく前進するデジタル経済をどう計測するか

デジタル経済が浸透するなか、無料のデジタルサービスを経済活動としてどう捉えるか。「デジタル経済の計測」が国内外で議論されている。企業がデジタルサービスを有料化した場合の市場規模を消費者の支払い意思額から試算すると、10種類のデジタルサービスでおよそ9,000億円程度となった。正確な統計がなければ国の現状はわからず、統計の衰退は国の衰退につながる。既存統計を維持しつつ、デジタル経済を計測する新たな統計の構築が喫緊の課題だ。

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