生源寺眞一
東京大学大学院農学生命科学研究科教授

概要

 担い手の創出・支援を柱として2007年にスタートした農政改革に、大きな揺り戻しの波が襲っている。同年7月の参院選で圧勝した民主党が、選挙向けマニフェストにすべての販売農家を対象とする戸別所得補償制度なる提案を掲げていたことが、揺り戻しの発端である。ここは農村部の有権者の投票行動に関する詳細な分析に待つべきであろうが、巷間伝えられているのは、農政改革を小規模農家切捨てだとして批判した民主党の姿勢が、農村の投票に強く影響したとする見立てである。

INDEX

目次

はじめに
経済成長と農業の適応
土地利用型農業の構造問題
経営安定対策の導入
担い手の創出と立体的な規模拡大
農業と国民をつなぐ好循環
むすびに代えて



図表

表1 農業就業人口割合の推移
表2 要因別にみた潰廃面積
表3 農業生産指数の推移
図1 農家1戸当たり経営耕地面積の推移
表4 農家のタイプ別にみた農家所得
表5 年齢階層別基幹的農業従事者(2006年)
図2 稲作の規模と平均費用(2005年)
表6 稲の作付規模と環境保全型農業の取り組み割合(2000年)

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)生源寺眞一(2008)「農業担い手政策の課題」NIRAモノグラフシリーズNo.24

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