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PAPERS研究の成果

OPINION PAPER NIRAオピニオンペーパー

日本が抱える重要課題について、変化の激しい今だからこそ求められる未来志向の政策提案を、
研究プロジェクトを率いる研究者が発信します。

ISSN 2436-2212

コロナショックが加速させる格差拡大

新型コロナは全ての人に襲いかかる脅威だが、その影響は平等ではない。2020年6月に行った就業者実態調査を分析すると、特定の業種や職種に負の影響が集中し、所得の低い人ほど経済的打撃が大きい。さらに、デジタル技術を使ったテレワークなどの働き方が加速したが、所得の低い人ほどこの波に乗り遅れている実態も浮き彫りとなった。所得格差とデジタル格差の負の連鎖を断ち切るには、短期、中期、長期の視点から政策を講じる必要がありそうだ。

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スウェーデンはなぜロックダウンしなかったのか

コロナ禍の初期、ロックダウン政策を選ばず国民の自主性に任せる緩やかな対策をとったスウェーデンは、諸外国から非難を浴びた。独自路線の真意と国内世論が支持した背景を、駐日スウェーデン大使や現地で働く医師のインタビュー等から探ると、専門家の考えを尊重する憲法上の規定や、歴史的に醸成された政府に対する国民の信頼、自主性を重んじる国民性が見えてきた。多面的な研究と併せて他国の対応から知見を得ることは我が国にとっても有益だ。

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「AI人材」育成の真価は課題設定能力

AI人材の教育が注目されている。技術革命の進化と浸透の歴史的なパターンを見ると、技術者としてだけではなく、課題設定能力が高い人材の育成が必要なことがわかる。それは、ペインポイントを徹底的にユーザー目線で深堀する能力をもつ人材だ。産業界のリソースが潤沢なシリコンバレーでは、こうしたハイレベルの人材を育成するためにトップ大学との産学連携が行われている。このような動きを知った上で、AI人材育成について議論することが望ましい。

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新たな国際秩序の形成と日本の政策ビジョン

日本は、国際社会の構造の変化に加え、国内で財政の持続性など多くの課題を抱えている。多国間主義を支持する以上、国内政策の課題に対しても、世界共通の利益と個別の利益を一致させる方策を実現する必要がある。そのために、グローバルな視点から長期的で分野横断的な経済社会ビジョンを作る必要がある。さらに、市民の間ではこれまでの代議制民主主義への信頼が低下している。今後、市民自らが政策を議論し、政府に代替案を示す仕組み作りが重要だ。

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フリーワーカーの時代に備えよ

会社に行かなくてもリモートワークで仕事ができようになり、インターネット上のプラットフォームで仕事を請け負うギグワーカーなども含めて、フリーワーカーが増えている。しかし、現行の労働法制・保険制度は終身雇用を前提としており、雇用者ではないフリーワーカーはコロナ禍でも契約、所得減少のリスクに直面した。プラットフォームを含めた契約の適正化、所得リスクへの対処、経済的自立などについて、法制面から精緻に課題を提示する。

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エビデンスからみた新型コロナへの対応

2020年、未知のウイルスが世界を襲った。日本初の緊急事態宣言を経てもなお新型コロナに関する情報が錯綜する中、医療の専門家たちに最新のエビデンスに基づく知見を語ってもらった。重症化のメカニズムや自然免疫との関係、治療薬・ワクチン開発の現状評価、出口戦略等について活発な議論がなされ、感染状況のデータを全国レベルで即時に把握できるシステムの構築や、地域ごとに重症度を区別し受け入れる病床の体制整備など、重要な課題を提示する。

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テレワークを感染症対策では終わらせない

新型コロナの感染を防ぐ手段としてテレワークが注目されているが、誰もが利用できるわけではない。2020年4月に行った就業者実態調査の分析では、コロナ禍でのテレワークの利用は、平均的には伸びたが、業種などによる違いが大きい。感染症対策としての一律のテレワーク推政策は、一部の業種では経済と両立せず、矛盾をはらむ。テレワークを長期的に活用するためには、業種や職業ごとに課題を把握し、きめ細かなテレワーク環境の改善が求められる。

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COVID-19によるパンデミックの経済的影響への対応

COVID-19により、世界の国々はどのような影響を受けたのか。NIRA総研とドイツ日本研究所は、米、中、独、スウェーデン、EUの専門家を招いてウェブ会議を開催し、各国の経済的影響と対策の他、格差問題、専門家の役割など、多岐にわたるテーマで議論を行った。国家間で対応力に差がある一方、経済の相互依存度が高いため、経済的影響は各国で似通っていることがわかった。世界規模の課題解決には、国際協調と対話が重要であることが強く認識された。

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整合性のある政策論議を

現在、日本は低成長と人口減少という新たなフェーズへゆるやかに移行している。この転換期を乗り越えるためには、整合性のある政策が必要だ。しかし、政府が公表している経済財政試算は期間や前提が体系化されておらず、一貫性があるとは言い難い。そこでNIRA総研は、政府の経済前提を用いて、将来の財政状況を試算した。その結果、政府の債務残高は上昇を続け、今の政策では、財政の持続可能性は十分に確保されていないことが明らかとなった。

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「フリーワーカー」に対する法政策はどうあるべきか

AIやロボットが人間の仕事を奪うようになっても、創造性が必要な仕事は人間に残され、「フリーワーカー」としてその能力を発揮する人材の需要は高まるのではないか。こうした予測に端を発し、企業に属さず場所や時間を自由に選択する働き方を法的に検討した。フリーワーカーは労働法の対象外だが、疾病により収入が途絶えるなどの経済リスクは自己責任で放置するのではなく、働き方に中立な制度へ再編する必要があるのではないか、議論すべきだ。

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