English version NIRAオピニオンNo.44 2019.03.28 「フリーワーカー」に対する法政策はどうあるべきか この記事は分で読めます シェア Tweet 大内伸哉 神戸大学大学院法学研究科教授 概要 デジタライゼーションが進む産業社会で求められるのは、AIやロボットに代替されない、イノベーションを生みだす創造性をもつ人材だ。こうした人材は、雇用労働者のように時間や場所に拘束され、指揮監督を受けた就業環境ではなく、特定の企業に帰属せず、ICT(情報通信技術)を活用して自由に場所や時間を選択して能力をフルに発揮できる就業環境を求める。このように企業に雇われずに個人で働く人材(本稿では、これを「フリーワーカー」と呼ぶこととする)は、これまでは特段の政策的サポートの対象とされてこなかった。フリーワーカーは、雇用労働者とは異なりまだ少数派だし、自由な働き方ゆえ自己責任に委ねてよく、政府による保護の必要はないと考えられてきたからだ。しかし、デジタル社会の到来により、多くの人がネットを活用してフリーワーカーとして働くようになると、この働き方のもつ経済リスクを自己責任として放置するのではなく、むしろそれをできるだけ取り除くことが、産業政策的な観点からも、また国民の職業選択の自由の保障という観点からも望ましい。フリーワーカーをめぐる政策課題は、労働法、競争法、社会保障法、税法等の多くの分野にまたがるので、分野横断的に知見を結集して取り組んでいくことが必要だ。 PDFで読む INDEX はじめに独立して働くとは、どういうことか フリーワーカーには、なぜ労働法が適用されないのか 多様なフリーワーカー フリーワーカーは、今後増加する シェアリング・エコノミーの後押しも フリーワーカーに対する政策は、どのようなものか 今後の検討課題 はじめに独立して働くとは、どういうことか テレビ局のアナウンサー(局アナ)が、退職してフリーのアナウンサーになるのは、よく聞く話だ。局アナは、放送会社に帰属し、企業に雇われている雇用労働者なのに対して、フリーのアナウンサーは、個人事業主と呼ばれることが多い(どこかの芸能事務所に所属することもある)。個人事業主は税法で使われることの多い概念であることからもわかるように、会社員からフリーになったときに最初に感じるのは、税金関係の変化だ。所得の種類は給与所得から事業所得になり、源泉徴収はされず確定申告が必要となる。必要経費の控除は給与所得のときのような限定がなくなる。消費税や個人事業税がかかることもある。 また、加入する社会保険制度の種類も変わる。医療は、健康保険から国民健康保険に移り(ただし、2年間の任意継続は可能)、これまではなかった被扶養者の保険料が課されることになる。年金は、1階建て部分の国民年金が、第2号被保険者から第1号被保険者に変更となり、2階建て部分の厚生年金から外れる。扶養されている配偶者も、保険料負担のない第3号被保険者から、負担のある第1号被保険者に移行する。医療と年金のいずれも、会社による保険料の半額負担がなくなるし、給料からの天引きがされなくなるので、自分で納付することが必要となる。 さらに、フリーで働いて生計を立てるためには、仕事を受注しなければならない。局アナ時代に会社と結んでいたのは労働契約だが、フリーになると仕事の発注者(会社または個人)と業務委託契約(注1)を結ぶことになる。労働契約であれば、契約内容がどうであれ、労働法により最低限の内容は保障されていた。例えば契約の条項に盛り込まなくても、時間外労働に対する割増賃金(労働基準法37条)や年次有給休暇(同39条)の権利は保障されていたし、賃金も最低賃金額未満になることはなかった(最低賃金法4条)。ところが、業務委託契約となると、こうした労働法上の保護は、一部の例外(注2)を除くと一切適用されなくなる。これは、フリーになることの最も大きな影響だろう。 フリーワーカーには、なぜ労働法が適用されないのか では、どうして、フリーのアナウンサーになると労働法が適用されないのだろうか。それに対する形式的な答えは、「労働者ではないから」だが、実質面に踏み込んで答えると、フリーのアナウンサーは、会社に使用される局アナと異なり、「誰からも指揮命令を受けないで働くから」となる。 指揮命令を受けないとは、①仕事の諾否の自由があり(気に入らない仕事を断ることができる)、②時間的拘束性や場所的拘束性はなく(いつでも、どこでも、自分の選択で働くことができる)、③業務の遂行過程で指揮監督を受けない(自分のやり方で仕事を進めることができる)ことなどを意味する。これは自由な働き方であり、だからこそ法による保護は不要とされて、合意した契約内容に拘束されるなどの契約法の一般原則が適用されるのだ。 一方、労働契約では、労働者は会社と自由対等な関係にある契約当事者とはみられないため、法による保護が必要とされる。法が介入して契約法の一般原則が修正され、労働者が同意した内容に関係なく、法律が定めた最低限の労働条件は保障されることになるのだ。 多様なフリーワーカー このように、労働法では、その適用の可否を決める上で、指揮命令を受けているかどうかが重要なポイントとなる。しかし、フリーワーカーが、指揮命令を受けていないというだけで、法による保護を受けないとする現行法の取り扱いには、今後は再検討の余地が十分にある。その理由は、フリーワーカーのなかにも多様なタイプが存在するようになり、その要保護性も一様ではなくなってきているからだ。 例えば、局アナが独立してフリーになるのは、経験を積んでスキルを向上させ、名も売れたことによって、会社の看板がなくても、自分で仕事を受注できる見通しが立った場合が多いだろう。このように「ハイスキル」で独立して働くのが、これまでの典型的なフリーワーカーだ。医師、弁護士、デザイナーなどもこのカテゴリーに含まれる。 一方、最近では、インターネット上でプラットフォーマーが仲介役として仕事のマッチングをするクラウドソーシングという形態が増えている。このサービスを利用して働くクラウドワーカーも、フリーワーカーの一種だ。このうち、専業のクラウドワーカーについては、収入が極端に低く、取引先との関係で交渉力が弱く、要保護性のある働き方をしているという調査結果もある(注3)。自由を享受できるかどうかは、交渉力に左右される面があり、フリーであっても、生活が苦しければ、仕事の諾否の自由は実質的にはないこともあろう。 このように、フリーワーカーのなかには、医師、弁護士といったハイスキル層(プロフェッショナル層)もあれば、クラウドワーカーに比較的多く含まれていると推測できるロースキル層もあるし、その中間に「フリーランス」と呼ばれることの多いミドルスキル層もある。 法的な要保護性を考えた場合、ハイスキルのフリーワーカーの要保護性は低いだろうが、ロースキルのフリーワーカーは、たとえ指揮命令を受けて働いていないとしても、要保護性は決して低いとはいえないだろう。 フリーワーカーは、今後増加する ところで、現在の就業者の大多数は、雇用労働者であり、フリーワーカーは、就業者の8%程度しかいない。この数字をみると、これまでの法制度が、雇用労働者を中心に構築されてきたことにはやむを得ない面がある。ただ、現在進行中の技術革新の影響を考慮に入れると、労働需要の面でも、労働供給の面でも、雇用労働者からフリーワーカーへのシフトは進んでいくと予想できる。このことは、すでに拙稿「AI時代の雇用の流動化に備えよ」(NIRAオピニオンペーパーNo.27、2016年12月)(注4)でも触れているが、ここでも簡単に確認しておくことにしよう。 第4次産業革命を経て、これからの産業社会は、あらゆるヒトやモノに関するデータがデジタル化されてコンピュータによって処理可能となるデジタル社会となる。IoT(モノのインターネット、Internet of Things)により大量のデータが集積され(ビッグデータ)、AI(人工知能)の分析から新たな価値が生み出され、その影響は産業界全般に及ぶようになる。 こうした変化は、企業における業務編成にも影響を及ぼす。労働者が企業内で担ってきた作業は、AIやロボット(事務系ロボットであるRPAも含む)により代替され、人間に残されるのは、機械では対応しにくい非定型的な作業が中心となる。非定型的な作業での生産性は、イノベーションを生みだす創造性と強く関係するため、こうした能力を持つ人材(プロ人材)への需要が高まる。プロ人材が創造的な能力を発揮するには、雇用労働者のように時間的、場所的に拘束され、指揮監督を受ける環境は適さない。つまり今後は、ICT(情報通信技術)を活用したテレワークなどによって、特定の企業に帰属せず、フリーワーカーとして働くことを希望するプロ人材が増えると予想される。一方、企業もICTを活用することで、そうした人材とのマッチングが容易になるため、労働契約を結んで組織内に抱え込まなくても、業務請負契約で発注するなど別の方法をとるようになるだろう。その際には、前述のような、プラットフォーマーを介したマッチングサービスが多用されるだろう。 シェアリング・エコノミーの後押しも フリーワーカーを考える際に、もうひとつ注目されるのが、シェアリング・エコノミーの広がりである。ウーバー・テクノロジーズのようなプラットフォーマーが仲介し、スマートフォン(スマホ)のアプリケーションを活用して、個人がライドシェアサービスを展開するのが、その典型例だ。そこでのドライバーは、自分の空いている時間と自らの所有する(ないし賃借した)車を使って、タクシーと類似の運送サービスを提供する。 ライドシェアサービスだけでなく、かつてはアナログ的な方法で提供されていたサービスが、いまやネットやスマホを活用して提供され、ビジネスとして広がっている。その背景には、通信環境の改善やPC・スマホなどのコモディティ化といった事情がある。 またサービス業だけでなく、製造業でも、3Dプリンターの登場により、状況は大きく変わっている。個人の嗜好が多様化し、大量生産が求められなくなると、大きな工場がなくてもビジネスを行うことができる。 このように個人が、企業に所属せずに、先端技術を活用しながら、創造性と専門性を武器として働くようになるのが、これからの産業社会だ。これもフリーワーカーが増加すると考えられる要因だ。 フリーワーカーに対する政策は、どのようなものか このようにフリーワーカーが増加するならば、これまでは雇用労働者と比べて政策面での注目度が低かったフリーワーカーをターゲットとした政策を考えていく必要がある。実際、ここ数年間で、いくつかの政策提言がなされている。以下では、とくに注目されるものをみておこう。 まず経済産業省『「雇用関係によらない働き方」に関する研究会報告書(2017年3月)』は、今後の政策として「収入途絶・減少リスク」への対処を重点とすべきとし、具体的には「教育訓練」「働き手の環境整備」「企業の活用促進」を柱とすべきと提言している。 また、連合総研の報告書(2017年12月)(注5)は、個人請負業者とクラウドワーカーに対する今後の法的・政策的課題として、①労基法上の労働者性の判断基準の見直し、②労働組合法上の労働者概念の拡大、③非雇用就業者の最低報酬額規制、④非雇用就業者のスキルアップの支援と公正な評価の確保、⑤クラウドソーシング事業者による紛争解決、⑥労働組合・同業者団体・ネットワークの重要な役割と集団的規制の可能性、⑦クラウドソーシング事業者の役割と利用規約の法的規制を挙げている。 2018年に入ってからは、公正取引委員会競争政策研究センター『人材と競争政策に関する検討会報告書(2018年2月)』が、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)における、主として人材獲得市場をめぐる問題を検討するなかで、優越的地位の濫用の観点から、取引上の地位が優越している発注者が役務提供者に不当に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題となり得るとして、フリーワーカーへの同法の適用可能性を指摘している。 さらに、厚生労働省『「雇用類似の働き方に関する検討会」報告書(2018年3月)』は、これまでの類似の報告書(「平成26年度 今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会」報告書など)の内容を踏まえた上で、新たに雇用類似の働き方をする者の政策課題として、①契約条件の明示、②契約内容の決定・変更・終了のルールの明確化、契約の履行確保、③報酬額の適正化、④スキルアップやキャリアアップ、⑤出産、育児、介護等との両立、⑥発注者からのセクシュアルハラスメント等の防止、⑦仕事が原因で負傷しまたは疾病にかかった場合、仕事が打ち切られた場合の支援、⑧紛争が生じた際の相談窓口等といった項目を挙げている。そして、これらの政策課題について、現在、検討を継続中である(注6)。 筆者自身も、次のような政策提言をしている(注7)。 まずフリーワーカー(そこでは「自営的就労者」という言葉を使用)には、自営とは名ばかりで実態は雇用の「偽装自営業者」、指揮命令を受けないという意味では独立しているが、特定の企業に経済的に依存している点で労働者に準じる存在である「準従属労働者」、そのいずれでもない「真正な自営的就労者」の3つがあると分類した上で、「偽装自営業者」は法的には労働者として扱えばよいのに対して、残りの2つは新たなアプローチで政策的に対応することが必要であると指摘した。そして、「準従属労働者」は労働者に準じる存在としての扱いを検討する必要があるとし、「真正な自営的就労者」は、産業政策の点から、その抱える経済的なリスクが過大なものとならず、安心してこの働き方を選択できるようにする必要があり、具体的には、契約内容の適正化、セーフティーネットの再編、自営に必要な職業訓練、同業者の連帯(共助)の4つの政策の柱を提言した。 この4つの柱のうち、契約内容の適正化は、上記のさまざまな政策提言においても度々議論されている論点の1つだ。契約内容の適正化は、指揮命令関係にあるかどうかに関係なく、個人が安心して働くことができるようにするために必要なルールだからだろう。特に前述のように、フリーワーカーのなかには、必ずしも要保護性が低いといえないカテゴリーの者がいることを考慮すると、こうしたルールを定立する必要性は高いだろう。この点では、前記の公正取引委員会の報告書でも指摘されている独占禁止法の適用可能性は、特に重要な検討課題となっていくだろう(注8)。 今後の検討課題 前述のように、AIやロボットなどの先端技術の発展による産業構造の変化に伴い、フリーワーカーの労働需要は高まるはずだ。それにもかかわらず、もし今後フリーワーカーが増えないとすれば、それは新たな産業構造の変化に対応する労働供給が追い付いていないことを意味する。働く側からしても、いつ、どこで、何を、どのようにして働くかについて指揮命令を受けるといった雇用労働者の拘束性から解放されたフリーワーカーの働き方は、より自由で自己実現をしやすい望ましいものなのに、そうした働き方を選択する自由を十分に享受できていないことになる。つまり、フリーワーカーに対する政策的サポートは、産業政策的な観点からみると、新たな産業構造の変化に対応する労働供給の体制を整えることを意味するし、同時に、働き手である国民に対しては、職業選択の自由を保障する基盤を作ることを意味する。 現時点でフリーワーカーとして働く人材が少ない原因は必ずしも明確ではないが、もしそれが法制度的な原因によるものだとすれば、その原因を取り除くための何らかの対応が必要となろう。 例えば、「はじめに」でみたように、フリーワーカーと雇用労働者とでは、租税や社会保障における位置づけの違いや、労働法の適用の有無という違いがある。この違いがフリーワーカーとしての働き方を選択する上で影響を及ぼしている可能性もある。また、現在の制度のなかに、雇用労働者としての働き方へと過剰に誘導する仕組みがある可能性もある。もしそうだとすれば、それを働き方により中立的な制度に再編する必要がないかを検討する必要があるだろう。 以上の問題意識に基づき、NIRAの本研究会(「個人自営業者の就労をめぐる政策課題に関する研究」プロジェクト)では、フリーワーカーをめぐる問題について、まずフリーワーカーという働き方に影響を与える法制度や雇用慣行(特に既存の法制度が雇用形態にどのように及ぼしているかについて)を、既存の調査結果も参考にしながら、経済学の観点から究明し、現在の日本における政策課題を析出する。そしてそれを踏まえて、関連する法分野(租税法、社会保障法、経済法、労働法など)の専門家により、多角的なアプローチで解決策の提案を試みる(注9)。 なお、フリーワーカーは前述のように多様だが、本プロジェクトでは、デジタライゼーションの進行が及ぼす影響に着目することが政策上の最優先課題であるという認識の下、ICTを活用して働くフリーワーカーに焦点をあてることとする(注10)。 各分野の専門家である研究会メンバーの意見は、随時、NIRAオピニオンペーパーで紹介する予定である。 コラム1 フリーワーカーとは 本稿では、雇われずに(独立して)個人で働く者で、従業員を雇用していない、すなわち労働法上の使用者ではない者を「フリーワーカー」と呼ぶ。一般には、こうした人たちの呼び方は、個人事業主以外にも、個人自営業者、フリーランス、インディペンデント・コントラクター(independent contractor)、個人請負業者、自営的就労者など多様だ。フリーワーカーは、フリーターと類似の言葉だが、そのほとんどが雇用労働者であるフリーターとは区別される。なお、フリーワーカーは、フリーターと同様、和製英語であり、英語では、"self-employed"(より厳密には、"unincorporated self-employed without employees")が最も近い概念だ。 コラム2 労働者とは 労働者の概念は法律により異なる。本稿で主として考慮しているのは、労働基準法上のものであり、それは「職業の種類を問わず、事業又は事務所……に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されている(9条)。この定義において重要なのは「使用される」という要件だ。この概念は、最低賃金法、労働安全衛生法などの他の法律でも同じだ。「使用される」との判断に最も関係するのが、指揮命令下にあるかどうかだ。一方、労働組合法上の労働者の概念は、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」と定義されており(3条)、その範囲は、労働基準法の労働者概念より広いと解されている。 コラム3 フリーワーカーに関する統計 総務省統計局が発表する「労働力調査」によると、2017年(平均)の「就業者」の総数6,530万人のうち、「自営業主(個人経営の事業を営んでいる者)」は528万人、「雇用者(会社、団体、官公庁又は自営業主や個人家庭に雇われて給料・賃金を得ている者及び会社、団体の役員)」は5,819万人(役員を除くと5,469万人)であり、割合でいうと前者が8.1%、後者が89.1%となる。 またクラウドソーシングの大手であるランサーズの「フリーランス実態調査2018年版」によれば、副業で働く人も含めた広義のフリーランスは1,119万人いるとされ、その内訳は「副業系すきまワーカー」(常時雇用されているが副業としてフリーランスの仕事をこなすワーカー)が454万人と最も多く、次いで「自営業系独立オーナー」(個人事業主・法人経営者で、1人で経営をしている)が322万人、「複業系パラレルワーカー」(雇用形態に関係なく2社以上の企業と契約ベースで仕事をこなすワーカー)が290万人、「自由業系フリーワーカー」(特定の勤務先はないが独立したプロフェッショナル)が53万人となっている。そして、前年度に比較すると、「複業系パラレルワーカー」の伸びが大きいとされている。 大内伸哉(おおうち しんや)神戸大学大学院法学研究科教授。博士(法学)(東京大学)。専門は労働法と雇用政策。 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)大内伸哉 (2019) 「「フリーワーカー」に対する法政策はどうあるべきか」NIRAオピニオンペーパーNo.44 脚注 1 契約の名称や種類はこれに限らないが、いずれにせよ労働契約以外の契約である。 2 家内労働者に該当すれば家内労働法が適用されるし、1人親方などには労災保険の特別加入が認められる。 3 連合総研(2017)『働き方の多様化と法的保護のあり方〜個人請負就業者とクラウドワーカーの就業実態から〜(「曖昧な雇用関係」の実態と課題に関する調査研究報告書)』,2017年12月 4 大内伸哉(2016)「AI 時代の雇用の流動化に備えよ」『NIRAオピニオンペーパー』No. 27,2016年12月 5 前掲注3参照。 6 このほか、厚生労働大臣の懇談会「働き方の未来2035〜一人ひとりが輝くために〜」(2016年8 月)も参照。 7 前掲注4、拙著『AI 時代の働き方と法―2035年の労働法を考える』弘文堂,2017年1 月,pp. 185 以下を参照。 8 独占禁止法の優越的地位の濫用を制限する規定(2条9項5号)やこの規範内容を具体化した下請法(下請代金支払遅延等防止法)の規制は、これまでは主として法人事業者をターゲットとしたものだったが、個人で働くフリーワーカーにも適用可能なものだし、またこれらの規定にみられる発想を取り込んで、フリーワーカー独自の契約ルールのあり方を検討することもできるだろう。そのほかにも、現代の契約法のなかには、古典的な契約とは異なり、企業と個人という、非対等な関係で締結される契約の分析が発達してきており(消費者契約法、特定商取引に関する法律など)、これも今後のフリーワーカーの契約ルールを考えていく上で参考になるだろう。 9 外国の動向も重要な参考資料として考慮されることになろう。とくに政策的な面での研究が進んでいるのは、E U だ。例えば、Eurofound からは、いくつかの注目すべき報告書が提出されている(一例として、Eurofound(2018) Automation, digitisation and platforms: Implications for work and employment, Publications Office of the European Union, Luxembourg.)。また、実態に関する調査は、アメリカ、EU、OECDなどで、次々と発表されている。 10 その意味で、本プロジェクトは、NIRAの先行プロジェクトである「AIと働き方に関する研究」の延長線上にある。 ※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp シェア Tweet 関連公表物 フリーワーカーの時代に備えよ 大内伸哉 池田千鶴 江口匡太 中益陽子 渕圭吾 ©公益財団法人NIRA総合研究開発機構発行人:牛尾治朗※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ