NIRA総合研究開発機構

概要

 NIRA総合研究開発機構では、「第3回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)」を実施した。本調査は政治・経済・社会に関連する人々の意識を定点観測することを目的としている。今回の調査は第3回目となる。調査は202534日(火)~202536日(木)にかけてWeb上で行われ、有効回答数は1,552であった。
 この速報で示されている数値は、すべてウエイトによる補正をしたものである。「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人を母集団とみなして、性別、年齢(18~39歳、40~59歳、60歳以上の3段階)、都市規模(21大都市に居住しているか否か)の3属性で、レイキング法によって補正した。
 また、この速報のグラフ中の数字はすべて四捨五入したものである。そのため、グラフ中の数字の合計が100%にならなかったり、本文中の数字と一致しなかったりすることがある。
 この調査のローデータは、2026年1月頃を目途にNIRA総研のホームページより公開予定である。

INDEX

ポイント

●ポピュリスト志向を持つ人は約26%となり、2024年調査の約23%から増加した。これは、主にシニア層で増加したことによる(図1-4-2、図4-2-1)。

●日本の経済状況について、1年前と比べた現在の状況を「悪くなっている」と回答した人の割合は62%であった(図2-1-1)。また、510年後、日本の経済状況が悪くなると回答した人の割合は64%であった(図2-2-1)。日本経済について、昨年との比較でも今後の見通しでも、過半数が悲観的な見方をしている。

●在留外国人が増えることで「治安が悪くなる」と考える人は61%であった。また、雇用への影響についても、「人手不足が解消される」と考える人は26%であるのに対し、「日本人の雇用機会を奪う」と考える人は35%と、好意的でない考えにやや寄っている(図2-9-2)。

●政策に関して、「国債の発行は抑制すべきだ」という考え方を支持する人は44%と、「国債を発行しても問題ない」という考え方を支持する人の18%よりも多い(図3-2-1)。

●現在の生活に満足している人(「満足している」と「まあ満足している」の合計)は42%で、不満な人(「不満だ」と「やや不満だ」の合計)は33%であった。2024年調査よりも満足度は低下している。特に、若い層で不満な人が大きく増加している(図3-9-2、図4-5-1

図表

図1-1-1 投票予定政党
図1-1-2 長期的党派性
図1-1-3 年齢別の長期的党派性
図1-1-4 職の有無別の長期的党派性
図1-1-5 自公連立と野党の関係
図1-2-1 諸外国への親近感
図1-3-1 組織などへの信頼
図1-4-1 政治的有効性感覚、ポピュリズム態度、政治関心
図1-4-2 ポピュリスト志向に該当する人の割合(%)
図2-1-1 世帯の家計状況、日本の経済状況の変化(1年前との比較)
図2-2-1 世帯の家計状況、日本の経済状況の見通し
図2-3-1 個人を取り巻く変化への見通し
図2-4-1 日本社会を取り巻く変化への見通し
図2-5-1 デジタル化や技術革新の影響に関する認識
図2-6-1 直近の通常の1週間の生活時間
図2-7-1 接触した情報メディア
図2-7-2 接触時間が最も長かった情報メディア
図2-8-1 地域、ボランティア、副業に関する活動状況
図2-9-1 外国人との交流
図2-9-2 在留外国人への考え
図2-9-3 A 社会の多様性が増す/ B 日本の伝統が失われる
図2-9-4 A 人手不足が解消される/ B 日本人の雇用機会を奪う
図2-9-5 A 治安が悪くなる/ B 治安に影響はない
図2-9-6 国全体の生産性が A 上がる/ B 下がる
図2-9-7 外国人の受け入れ
図2-9-8 外国人の受け入れ(属性別)
図3-1-1 社会に対する考え方
図3-2-1 政策等に対する考え方
図3-3-1 理想の社会
図3-4-1 公的サービスの対象
図3-5-1 公的サービスへの負担
図3-6-1 公的サービスの理解
図3-6-2 公的サービスへの満足度
図3-6-3 質や給付を充実させたいと思う公的給付・公共サービス
図3-6-4 公的サービスについて、負担が増えても良いと思うもの(いくつでも)
図3-6-5 質や給付を充実させたい公的サービスに、負担をしてもよいと回答した人の割合
図3-7-1 公的サービスの水準
図3-8-1 生き方の選択と社会への参加
図3-8-2 中核層の割合
図3-8-3 年齢階層別にみたパーソナリティ
図3-8-4 シュワルツの価値観
図3-9-1 生活満足度
図3-9-2 年齢階層別の生活満足度
図3-9-3 世帯年収別の生活満足度
図3-9-4 年齢、世帯収入、生活満足度のクロス集計
図3-10-1 社会階層意識
図3-10-2 世帯年収別の社会階層意識
図3-10-3 65歳を基準とした年齢階層別の社会階層意識
図3-10-4 年齢、世帯収入、社会階層意識のクロス集計
図4-1-1 短期的な政党支持
図4-1-2 長期的党派性
図4-2-1 ポピュリスト志向
図4-3-1 世帯の家計状況、日本の経済状況の変化(1年前との比較)
図4-3-2 世帯の家計状況、日本の経済状況の見通し
図4-4-1 中核層の割合
図4-5-1 生活満足度
図4-6-1 社会階層意識

Ⅰ 2025年の人々の意識

1.政治分野

1.1 支持政党:長期的な党派性は自民19%、無党派層44%

Q12.もし、この週末に選挙があるとしたら、あなたは、どの政党に投票したいと思いますか。

Q13.多くの人が「長期的に見ると、自分は△△党寄りだ」とお考えのようです。短期的に他の政党へ投票することはもちろんあり得るとして、長い目で見ると、あなたは「何党寄り」でしょうか。

Q14.現在、衆議院では連立与党(自民党と公明党)の議席は過半数を下回り、与党だけでは予算や法案を成立させることができません。政府与党はどのようにすればよいと思いますか。1つ選んでください。

(1)個別の議案ごとに野党と協議する。
(2)立憲民主党と大連立政権を結成する。
(3)日本維新の会または国民民主党を連立与党に加える。
(4)立憲民主党をはじめとする野党連合に政権を譲る。

 Q12は、この週末に選挙があったとした場合の投票予定政党、つまりは短期的な支持政党を、また、Q13は長期的な党派性を聞いている。投票予定政党の質問では、自民党を支持する人が16%、次いで、国民民主党が15%、立憲民主党が14%、日本維新の会が6%となった(図1-1-1)。他方、長期的な党派性の質問では、自民党を支持する人が19%と最も多く、次いで、国民民主党と立憲民主党がともに8%、日本維新の会が5%であった(図1-1-2)。

 次に、長期的党派性を年齢別にクロス集計すると、加齢に伴い、自民党支持の割合は高く、他方、無党派層の割合は低くなっている(図1-1-3)

 また、立憲民主党は60歳以上、国民民主党は1839歳と4059歳の層から多くの支持を得ている。

 次に、長期的党派性を、回答者が就業しているか否かでクロス集計すると、就業の状態によって大きな違いが見られたのは、国民民主党への支持である(図1-1-4)。国民民主党の支持率は、就業していない回答者の中では5%であるのに対して、就業している回答者の中では10%と、およそ倍の違いがある。仕事をして給料を得る中で、税制に不満を持つ層が国民民主党の支持層となっていることがうかがえる。

 Q14では、現在の少数与党の状況の中で、自公連立がどのように動くべきか尋ねている。その結果を、長期的に支持する政党別に集計した(図1-1-5

 自民党の支持者の中では、「個別の議案ごとに野党と協議する」と回答した人が最も多く、68%であった。次いで、「日本維新の会または国民民主党を連立与党に加える」が21%、「立憲民主党との大連立政権を結成する」が7%であった。

 立憲民主党の支持者の中では、政府与党が「個別の議案ごとに野党と協議する」と回答した人が52%と最も多かったが、次に多かったのは「立憲民主党をはじめとする野党連合に政権を譲る」で27%、「立憲民主党と大連立を形成する」で17%であった。立憲民主党支持者の中では、大連立よりも政権交代を望む人が多い。

 日本維新の会の支持者の中では、政府与党が「個別の議案ごとに野党と協議する」を選んだ人が45%と、他の政党の支持者と比べて少なく、「日本維新の会または国民民主党を連立与党に加える」を選んだ人が41%という結果になった。立憲民主党や国民民主党と比べて、自民党との連立を支持する人が多い。

 国民民主党の支持者の中では、政府与党が「個別の議案ごとに野党と協議する」と回答した人が64%であり、「日本維新の会または国民民主党を連立与党に加える」を選択した人は26%にとどまっている。自民党・公明党とともに連立に入るのではなく、議案ごとに協議をすべきだと考えている人が多い。

1.2 諸外国への親近感:回答者の多くが、ロシアや中国に親しみを感じていない

Q15.下にある5つの国について、あなたは親しみを感じますか、それとも感じませんか。それぞれの国について1つずつ選んでください。

(1)アメリカ
(2)ロシア
(3)中国
(4)韓国
(5)インド

 アメリカに対して「親しみを感じる」あるいは「どちらかといえば親しみを感じる」と答えた人の合計は54%、続いてインドが32%、韓国が30%、中国が6%、ロシアが4%であった(図1-2-1)。回答者多くが、ロシアや中国に親しみを感じていない。

1.3 組織・人などへの信頼度と理由:政治家を信頼する人は20%程度

Q16.あなたは、次にあげる日本のメディア、組織をどの程度信頼しますか。「信頼する」「どちらかといえば信頼する」「どちらかといえば信頼しない」「信頼しない」のいずれかでお答え下さい。

(1)新聞
(2)テレビ
(3)インターネットメディア(ニュースアプリ・サイトやブログなど)
(4)SNS(X(旧ツイッター)・インスタグラム、Youtubeなど)
(5)警察
(6)裁判所
(7)政府
(8)国会
(9)地方自治体
(10)ボランティア団体・NPO
(11)政治家
(12)家族
(13)学者・研究者

 「信頼する」あるいは「どちらかといえば信頼する」と答えた人の割合を見ると、「家族」が89%、「学者・研究者」が71%、「裁判所」が70%、「新聞」が71%、「警察」が67%、「テレビ」が60%、「地方自治体」が57%、「ボランティア団体・NPO」が50%、「政府」が41%、「インターネットメディア」が40%、「国会」が38%、「SNS」が22%であった。「政治家」を支持する人は20%程度であった(図1-3-1)。

 「国会」を信頼する人は38%であったのに対し、「政治家」を信頼する人は20%と大きな差があり、回答者が両者を異なるものとして認識していることが分かる。

1.4 政治的有効性感覚とポピュリズム態度:ポピュリスト志向を持つ人は約26%

Q17.次の意見について、あなたはどう思いますか。それぞれの項目について1つずつ、あてはまるものを選択してください。

(1)今の政治家は、あまり私たちのことを考えていない
(2)国会議員は、おおざっぱに言って当選したらすぐ国民のことを考えなくなる
(3)自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない
(4)政治とか政府とかは、あまりに複雑なので、自分には何をやっているのかよく理解できないことがある
(5)自分は、政治に関心がある方である
(6)日本をとりまく国際問題に関心がある方である
(7)いまの政党や政治家は腐敗しきっており、人びとの敵をやっつける強い指導者が必要だ

 本設問では、政治的有効性感覚やポピュリズム態度などを聞いている(図1-4-1)。

 「国会議員は、おおざっぱに言って当選したらすぐ国民のことを考えなくなる」という項目に、「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」という人は合計で79%、同様に、「今の政治家は、あまり私たちのことを考えていない」と思う人は78%、「自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない」と思う人は68%であった。全体として政治的有効性感覚についてはネガティブな意識となっている。

 「政党や政治家は腐敗しており敵をやっつける強い指導者が必要だ」という項目に肯定的に回答した人の合計は、57%であった。

 政治関心については、一般的な形で「自分に、政治に関心がある方である」という質問と、国際問題に焦点を当てた「日本をとりまく国際問題に関心がある方である」という質問をしている。「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」と答えた人の合計は、国際問題の方が52%と多く、一般的な政治関心の37%を大きく上回っていた。

 ポピュリスト志向を持つ人を、谷口(2024)と同様に、「いまの政党や政治家は腐敗しきっており、人びとの敵をやっつける強い指導者が必要」であり、かつ「政策を決定する際には、ふつうの人びとの意見を優先するべきだ」と考える人と定義する。その上で、その割合をみると、ポピュリスト志向を持つ人は約26%であった(図1-4-2)。

2.経済分野

2.1 世帯の家計状況、日本の経済状況の変化:「悪くなった」という人がほぼ半数

Q18.現在の(1)あなたの世帯の家計状況と、(2)日本の経済状況は、1年前と比べてどうなっていると思いますか。

 1年前と比べた現在の状況について、世帯の家計状況は「変わらない」と回答した人と「悪くなっている」と回答した人の割合がともに48%で大きい(図2-1-1)。

 また、日本の経済状況については、1年前と比べた現在の状況を「悪くなっている」と回答した人の割合が62%と、過半数に上る。

 いずれの観点でも、「悪くなった」という人がほぼ半数を占めた。

2.2 世帯の家計状況、日本の経済状況の見通し:過半数が悲観的な見方

Q18.5~10年後の(1)あなたの世帯の家計状況と、(2)日本経済の見通しは、現在と比べてどうなっていると思いますか。

 世帯の家計状況の見通しについて、現在と比べて510年後は「悪くなっている」と回答した人の割合が56%で最も大きく、次いで「変わらない」が39%となる。一方、「良くなっている」と回答した人の割合は5%にとどまる(図2-2-1)。

 また、日本の経済状況の見通しについても、全体として悲観視する人が多く、現在と比べて510年後は「悪くなっている」と回答した人の割合が64%に上る。「良くなっている」と回答した人の割合はわずか5%にとどまる。

 いずれの観点でも、過半数が悲観的な見方をしている。

2.3 個人を取り巻く状況への見通し:介護と経済的困窮への不安が特に大きい

Q19.5~10年後において、あなたご自身に、以下のことは起こりそうだと思いますか。AとBのどちらに近いかお答えください。

1
A:経済的に困窮する
B:経済的に余裕がある

2
A:心身の病気や障がいがある
B:心身の病気や障がいがない

3
A:子や孫などが十分な教育・保育を受けられない
B:子や孫などが十分な教育・保育を受けられる

4
A:快適な住宅に住めない
B:快適な住宅に住める

5
A:家族に介護が必要である
B:家族に介護が不要である

 5~10年後における個人を取り巻く状況への見通しを見ると、「家族に介護が必要である」という状況が起こると思う人が多い(図2-3-1)。この見通しを持つ人の割合(「Aに近い」と「どちらかといえばAに近い」の合計。以下同)は48%と、半数近くに上る。また、経済状況に関して、「経済的に困窮する」と考える人の割合は42%で、「経済的に余裕がある」と考える人の割合(22%)と比べて2倍近い水準となる。介護と経済的困窮への不安が特に大きいことが分かる。

 他方、心身の病気や障がいについては見通しが分かれる。「どちらともいえない」が37%で、ポジティブあるいはネガティブな見通しを持つ人の割合はそれぞれ30%前後となっている。

 また、居住環境、教育・保育についても、「どちらともいえない」が最多を占める中で、ポジティブ、ネガティブそれぞれの見通しを持つ人の割合がおよそ2030%となっている。

2.4 日本社会を取り巻く状況への見通し:物価高騰による生活苦が圧倒的に高い

Q20.5~10年後の日本について、あなたは以下のことが起こると思いますか。それとも起こらないと思いますか。

510年後の日本は・・・
(1)物価が上がって生活が苦しくなる
(2)より高齢まで健康でいられるようになる
(3)十分な年金や医療サービスを受けられなくなる
(4)コロナのような感染症が再び世界的に流行する
(5)生活を揺るがすような異常気象や大規模災害が発生する
(6)近隣諸国で武力衝突が起きる
(7)国内の治安が悪くなる

 5~10年後における日本社会を取り巻く状況への見通しを見ると、特に起こりそうだと思われている事項(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」の合計で見る。以下同)は、物価高騰による生活苦が他の項目と比べて圧倒的に高く、80%に上る(図2-4-1)。これは起こらないと思う人(「そう思わない」と「どちらかと言えばそう思わない」の合計)がほとんどいない。

 また、他の心配事についても起こると考える人は多く、異常気象や大規模災害の発生は66%、十分な年金や医療サービスを受けられなくなることは64%、国内の治安悪化は60%、近隣諸国での武力衝突は55%と、過半数を上回る。

 一方で、より高齢まで健康でいられるようになるという点に関しては、考えが割れている。「どちらともいえない」が最も多いながらも、起こると思う、思わないともに、回答した人の割合がそれぞれ30%弱となっている。

 なお、異常気象や大規模災害の発生については、20241月に行った前回のインターネット調査における同割合が81%で最も高かったことと比べると、15%ポイント近く減少した。前回は調査直前の202411日に能登半島地震が発生したことから、災害リスクに対する認識が高まっていたと考えられるが、震災から1年が経ち、その認識が薄れている可能性が考えられる。

2.5 デジタル化や技術革新の影響に関する認識:恩恵よりは負の側面を懸念

Q23.デジタル化や技術革新によって、次のようなことが起こりそうだと思いますか。

(1)自分や家族ができる新たな仕事が生まれる
(2)自分や家族の仕事がなくなる
(3)コミュニケーションや人間関係が希薄になる
(4)生活が便利になる
(5)情報漏えい、不正アクセス等のセキュリティ被害が増える
(6)うその情報が増えて、だまされやすくなる
(7)富む人と貧しい人の所得格差が拡大する

 デジタル化や技術革新の影響に関する認識を見ると、起こりそうだ(「とても起こりそう」と「起こりそう」の合計、以下同)として回答の割合が大きかった事項には、科学技術がもたらす負の影響に関する内容が並ぶ(図2-5-1)。恩恵よりは負の側面を懸念しているといえる。

 具体的には、「セキュリティ被害の増加」「うその情報の増加」「所得格差の拡大」「コミュニケーションや人間関係の希薄化」である。特に「セキュリティ被害」「うその情報の増加」「所得格差の拡大」は、80%以上の人が起こりそうだと考えている。また、「自分や家族の仕事がなくなる」と回答した人の割合は、「自分や家族ができる新たな仕事が生まれる」と回答した人の割合よりも大きい。

 科学技術がもたらす正の影響については、新たな仕事が生まれる他に、「生活が便利になる」という事項もたずねた。これが起こりそうだと思う人の割合は67%と過半数を超えるが、全体としてはネガティブな認識が目立つ結果となった。

2.6 生活時間:テレワークの利用は限定的、自己研鑽には時間を割かず

Q24.直近の「通常の一週間」(注1※1)でどれくらいの時間、以下のことをしましたか。

(1)労働(残業、副業含む)<就業者のみ>
(2)テレワークによる労働(注12)<就業者のみ>
(3)家事・育児・介護
(4)学習・自己啓発・訓練(注13
(5)新聞、テレビ、雑誌、ネットニュースなど情報メディアとの接触

 直近の「通常の一週間」の生活時間を見ると、就業者のうち、テレワークを少しでも利用した人の割合は23%である(図2-6-1)。

 また、学習・自己啓発・訓練の時間をみると、ゼロの人の割合が最も大きく59%、次いで、週14時間(1日に1530分)の人の割合が27%となり、多くの人が自己研鑽には時間を割いていないことがわかる。

 さらに、情報メディアとの接触時間は、週529時間(1日に13時間前後)の人の割合が40%、週14時間(1日に1530分)の人の割合が38%で、合わせて80%近くを占めている。

 なお、上記の「(1)労働(残業、副業含む)」と「(2)テレワークによる労働」は、就業者のみに聞いた設問である。

2.7 情報メディア:若年層はSNS、シニア層はテレビとの接触時間が長い

Q25.①直近の「通常の一週間」で、接触した情報メディアとして該当するものをすべて選んでください。②その中で、最も接触時間が長かったメディアをひとつ選んでください。

 直近の1週間で情報メディアと接触した人のうち、接触したメディアとして挙げる割合が高いのは、テレビの77%、インターネットメディアの74%であった。X(旧ツイッター)・インスタグラム、YouTubeなどのSNSに接触した人の割合は50%、新聞は40%となっている(図2-7-1)。

 次に、最も接触時間が長かったメディアでは、テレビが最多で、全体の50%であった(図2-7-2)。それを、年齢階層別に見ると、1839歳ではSNSが最多の45%となる。一方、4059歳および60歳以上の年代ではテレビが最多で、それぞれ43%68%である。このように、年齢によるメディア接触傾向の違いが顕著に表れており、若年層はSNS、シニア層はテレビとの接触時間が長いことがわかる。

 また、インターネットメディアは全体としての接触率は高いものの、最も接触時間が長かったメディアとして選ばれる割合は23%と比較的低くなった。インターネットメディアは、多くの利用者にとっては主たるメディアではなく、他のメディアを補完する形で利用されているものと考えられる。

2.8 地域、ボランティア、副業に関する活動状況:全体として低調

Q26.この1年間で以下の活動を何日ぐらいしましたか。行った活動の目的が、複数の活動に当てはまる場合は当てはまる活動それぞれについて、この1年間にしたものとしてお答えください。

(1)地域コミュニティとのかかわり(例:自治会の行事、学校行事、地域サークルなど)
(2)ボランティア活動
(4)副業※就業者のみ

 地域コミュニティ、ボランティア、副業に関する活動状況を見ると、この1年間で行ったことがある人の割合が最も大きい活動は、地域コミュニティとのかかわりで26%、ボランティア活動は11%、副業は12%と、全体として低調である(図2-8-1)。

2.9 外国人に対する意識:治安悪化への懸念が顕著

Q26.この1年間で以下の活動を何日ぐらいしましたか。行った活動の目的が、複数の活動に当てはまる場合は当てはまる活動それぞれについて、この1年間にしたものとしてお答えください。

(3)外国人との交流(注2)

 この1年間で外国人との交流があった人の割合は9%であり、全く交流していない人が9割に上る(図2-9-1)。

Q21.在留外国人(旅行以外の目的で、日本に長期間滞在する外国籍の人)が増えることを、あなたはどのように考えますか。

(1)
A:社会の多様性が増す
B:日本の伝統が失われる

(2)
A:人手不足が解消される
B:日本人の雇用機会を奪う

(3)
A:治安が悪くなる
B:治安に影響はない

(4)
A
:国全体の生産性が上がる
B:国全体の生産性が下がる

 在留外国人が増えることに対する考えを見ると、「治安が悪くなる」と考える人が多い(図2-9-2)。この考えを持つ人の割合(「Aに近い」と「どちらかといえばAに近い」の合計。以下同)は61%と過半数に上り、「治安に影響はない」と考える人と比べて圧倒的に多い。治安悪化への懸念が顕著である。

 在留外国人の増加による雇用への影響については、「どちらともいえない」人が最も多いが、人手不足が解消されると考える人より、日本人の雇用が奪われると考える人の方が多い。また、国全体の生産性との関連についても、「どちらともいえない」人が過半数に上る中で、生産性が上がると考える人より、下がると考える人の方が多く、全体の多数派ではないものの好意的でない考えにやや寄っている。

 なお、社会・文化の変容との関連では、在留外国人の増加によって「社会の多様性が増す」と考える人の割合が40%近くとなり、「日本の伝統が失われる」と考える人よりもやや多い。

 長期的に支持する政党ごとに、それぞれの項目への回答を集計した(図2-9-32-9-42-9-52-9-6)。ここでは、主要なカテゴリとして、自民、立憲、維新、国民、そして無党派層と無回答者を取り上げている。

 4つの図からは、まず党派性によらず、外国人が増えることに対して治安の悪化を懸念する人が多数派を占めていることが分かる。治安に影響はないと回答した人は、最も多い維新支持のグループでも12%にすぎない。

 国民民主党の支持者は、どの項目についても外国人の増加に対して強くネガティブな意識を持っている。外国人が増えることによって、「治安が悪くなる」は77%、「日本の伝統が失われる」は52%、「日本人の雇用機会を奪う」は50%、「生産性が下がる」は35%となった。

 自民、立憲、維新の支持者は、項目によっては、外国人が増えることに対して必ずしもネガティブではない。維新支持者の54%は外国人が増えることで社会の多様性が増すと考え、立憲支持者の37%は人手不足が解消されると考えている。自民支持者の中では、国全体の生産性が上がると考えている人が31%とやや多い。これらの政党の支持者の中には、外国人の流入に必ずしも否定的でない人も存在するが、その理由は支持政党によって違うことが分かる。

Q22.あなたの住む地域に、どのくらいの外国人が住むことを受け入れられますか。住民の何%程度かをお答えください。

 自分の住む地域にどのくらいの外国人が住むことを許容できるかについて、最も多いのは「3%未満」(0%を除く)で、これを選んだ人の割合は26%である(図2-9-7)。次いで「5%10%未満」で22%、「3%5%未満」で20%となっている。これらを合わせると、全体の68%が「3%10%未満」の受け入れを想定していることが分かる。

 2020年の国勢調査によると、人口当たり外国人の割合が3%未満の市区町村が全体の9割以上を占めている。また、人口当たり外国人割合が10%を超える市区町村はほとんどなく、最も多いところでも20%を切る。今回の調査結果は、外国人の割合が現状維持か、現状よりやや多くなる程度まで受け入れられる人が多いと解釈できる。

 なお、「0%(全く許容できない)」と答えた人の割合が11%と、極端に排外的な考えの人が少なからずいる点も注目される。

 次に、性別で見ると、男性は女性よりも、「0%」と回答する割合がやや高い傾向にある(図2-9-8)。

 また、年齢階層別では、若い層ほど「0%」と回答する割合が高い一方で、「20%以上」とする割合も高く、世代内での意識の2極化が比較的大きいことがうかがえる。

 学歴別に見ると、大学卒以上の人はそうではない人と比べて、「3%未満」とする割合がやや低い一方で、「0%」「3%5%未満」「5%10%未満」を選ぶ割合がやや高い。ただし、全体として大きな差は見られず、学歴による受け入れ姿勢の違いは限定的である。

 世帯年収別に見ると、年収の高い層ほど、「5%10%未満」「10%20%未満」「20%以上」とする回答が増える傾向が見られ、外国人の受け入れに寛容な傾向が見られる。

 居住地域別に見ると、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、以下同)は「0%」と回答する割合がやや高い一方、その他の地域は「5%以上」を選ぶ割合がやや高いが、いずれも大きな違いは見られない。

 居住自治体の外国人比率(5分位)別に見ると、外国人比率が高い地域(第4及び第5分位)で、「5%以上」を選ぶ割合が高く、比較的高い受け入れ割合を示す回答が多い。外国人が多く住む地域では、外国人と共生してきた経験が、人々の外国人に対する受容度を一定程度高めている可能性がある。他方で、外国人比率が最も高い地域(第5分位)では、「0%」とする回答が他と比べて最も高くなっており、寛容な態度と排他的な態度をもつ人々が併存している様子も見て取れる。

3.社会分野

3.1 社会に対する考え方:将来世代のことを考えて行動すべきという人は46%

Q27.あなたは以下の意見について、どのように考えますか。

(1)努力をして働けば、豊かな暮らしができる
(2)大多数の市民は善良だ
(3)一般論として、たいていの人は信頼できる
(4)今生きている人々の負担となっても、将来世代のことを考えて行動すべきである

 各質問に「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」と回答した人の割合は、「大多数の市民は善良だ」が48%、「今生きている人々の負担となっても、将来世代のことを考えて行動すべきである」が46%、「一般論として、たいていの人は信頼できる」が41%、「努力をして働けば、豊かな暮らしができる」が37%であった(図3-1-1)。

3.2 政策に対する考え方:「国債の発行は抑制すべきだ」という考え方を支持する人は44%

Q28.以下の争点について、あなたのお考えはAとBのどちらに近いでしょうか。

(1)
A:日本は財政赤字の懸念はなく、国債を発行しても問題ない
B:日本の財政赤字は危機的水準であるので、国債の発行は抑制すべきだ

(2)
A
:もし所得税を1割増やすなら、所得のある人全員の税率を10%ずつ引き上げるべきだ
Bもし所得税を1割増やすなら、高額所得者の税率の引き上げ幅をより大きくすべきだ

(3)
A
:政策を決定する際は、専門家が議論した結果を優先するべきだ
B:政策を決定する際は、ふつうの人びとの意見を優先するべきだ

(4)
A
:働いている人は、チャンスがあれば、転職する方がよい
B:働いている人は、同じ企業に長く勤める方がよい

(5)
A
:老後の生活は自助努力でまかなうのが基本で、国による生活保障は最低限にとどめるべきだ
B:すべての人が充実した老後を暮らせるように、国は十分な生活保障を行うべきだ

 国債の発行について、「国債を発行しても問題ない」という考え方を支持する人は18%、他方、「国債の発行は抑制すべきだ」と考える人は44%であった(図3-2-1)。所得税を増やす場合に、累進的にではなく一律に増やすことを支持する人は17%、累進的な課税を支持する人は46%であった。

 政策決定について「専門家が議論した結果を優先するべき」という考え方に近い人は18%、「ふつうの人びとの意見を優先するべきだ」という考え方に近い人は38%であった。

 労働者は「チャンスがあれば、転職する方がよい」と回答した人の割合は35%であり、同じ企業に長く勤める方がよい」と回答した人の割合の17%より多くなっている。「どちらともいえない」と回答した人が49%とかなり多くなっていることも指摘できる。

 老後の生活に対する国の生活保障は「最低限にとどめるべきだ」という考え方の人は18%であるのに対して、「国は十分な生活保障を行うべきだ」とした人の割合は43%であった。

3.3 社会に対する考え方:自由か平等かなど基本的なスタンスにおける人々の意見は分かれている

Q29.あなたが理想とする日本の社会は、以下のAとBのどちらに近いと思いますか。それぞれの項目について、AとBのどちらに近いかお選び下さい。

(1)
A:働いた成果とあまり関係なく、貧富の差が少ない平等な社会
B:自由に競争し、成果に応じて分配される社会

(2)
A
:税負担は大きいが、福祉などの行政サービスが充実した社会
B:福祉などの行政サービスを必要最小限に絞り、税負担の少ない社会

(3)
A
:行政機関による多面的な規制を通じて、国民生活の安全や経済の安定を守る社会
B:規制を可能な限り排除し、民間の自由な活動と自己責任にゆだねる社会

(4)
A
:経済成長を重んじ、公共投資や公共事業を盛んに行う社会
B:財政規律を重んじ、国や地方自治体の借金を大きくしない社会

(5)
A
:国民一人一人が「個人の利益」を優先する社会
B:国民一人一人が「公共の利益」を優先する社会

 理想的な社会として、「平等」な社会を選んだ人は26%であるのに対し、「自由」な社会を選んだ人は33%と若干多かった(図3-3-1)。また、行政サービスの観点で、税負担が大きくても行政サービスが充実した社会を理想とする人が33%であり、行政サービスを最小限にする代わりに税負担を少なくする社会を理想とする人の22%よりも多くなった。

 また、規制によって国民の安全や経済を守る社会に肯定的な人は39%と、規制を排して民間の活動と自己責任に委ねる社会を選んだ人の15%より多かった。

 公共事業による経済成長を重視する人と、財政規律を重視する人は、それぞれ25%27%であり、かなり拮抗していた。

 「個人の利益」を優先する社会と「公共の利益」を優先する社会では、23%ずつとほとんど同じ割合であった。

 このように、自由か平等か、充実した行政か最小限の行政か、また、成長か財政規律かといった基本的なスタンスにおける人々の意見が分かれている。

3.4 普遍主義と選別主義:全体として選別主義を支持する人が多い

Q30.政府が給付を行うときには
A:政府のお金を効率的に使うため、所得や資産が一定の基準に満たない人だけに給付を行うべき
B:必要な人に行き届かないことを防ぐため、対象者全員に給付を行い、所得や資産の多い人には税金を負担してもらうべき
という2つの考え方があります。
次の5つの事業について、あなたはAとBのどちらの考え方に近いでしょうか。それぞれについて1つずつ選択してください。

(1)物価高対策のために給付金を支給すること
(2)保育園や幼稚園の利用料を無料にすること
(3)職業訓練、学びなおしなどスキルアップのための補助金を支給すること
(4)ひと月に支払った医療費が上限額を超えたときに、その超えた金額を払い戻すこと
(5)新型コロナウイルス感染症流行のように社会全体の経済活動が大きく打撃を受けたときに、給付金を支給すること

 本設問では、公的サービスの給付について、所得制限を設けるべきか(選別主義)、対象者全員に給付を行うべきか(普遍主義)を聞いている(図3-4-1)。

 選別主義的な考え方に賛成した人は、高額医療費の払い戻しが最も多く44%であった。

 次いで、物価高対策のための給付金で42%、保育園や幼稚園の無償化と、新型コロナウイルス感染症のようなケースにおける給付金で40%、スキルアップのための補助金で38%であった。

 全体として、選別主義を支持する人が多いことが指摘できる。

3.5 公的サービスの費用負担:大学の授業料や子育て支援では応益負担への支持が高い

Q31.次の公共サービスを充実させるための費用の負担の割合はどのようにすべきだと思いますか。あなたのお考えに近いものを1つ選んでください。

(1)
医療・介護
(2)子育て支援
(3)大学の授業料
(4)防衛

 公共サービスの負担のあり方について、応益負担(そのサービスを利用する人が全額を負担すべきだ)、定率負担(国民全員がそれぞれの所得に対して等しい税率で負担すべきだ)、応能負担(所得の多い人ほど税率が高くなるようにしつつ、国民全員が負担すべきだ)、一律負担(国民全員がそれぞれ等しい金額を負担すべきだ)の4つから選んでもらう質問である。

 すべてのサービスに共通して、応能負担を支持する人が最も多かった(図3-5-1)。そのうち大学の授業料や子育て支援では、他のサービスと比較して応益負担への支持が高く、大学授業料では30%、子育て支援では18%であった。

 医療や介護については、応能負担を支持する意見が最も多く、防衛は、国民全員が定額を負担すべきだという選択肢を選んだ人が最も多かった。

3.6 公的サービスへの知識・満足・負担:給付の増加は望むが負担はしたくない

Q32.以下の公的サービスについて、あなたはよく知っていますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障がい者支援(保険料・サービスの質・障がい者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)税制(税率、累進課税、年収の壁など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)

 公的サービスの内容について「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した人が最も多かったのは年金制度と医療サービスであり、それぞれ50%46%であった(図3-6-1)。次いで、「税制」「学校教育」「生活支援」「介護・障がい者支援」「子育て支援」となり、およそ30%強の人が知っていると回答した。

Q33.以下の公的サービスや制度について、あなたはどのくらい満足していますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障がい者支援(保険料・サービスの質・障がい者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)税制(税率、累進課税、年収の壁など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)

 人々が最も満足している公的サービスは(「とても満足している」と「やや満足している」の合計)、「医療サービス」で34%と突出していた(図3-6-2)。

 満足していないと回答した人をみると、ほとんどの項目で2割程度だったが、突出して多かった項目は「年金制度」の45%と「税制」の41%だった。

Q34.以下の公的給付や公共サービスのうち、質や給付を充実させたいものはどれでしょうか。当てはまると思うものすべてを「1.該当するもの」から選んでください(複数回答可)。そのうち、最も優先度の高いものを1つだけ、「2.最も優先度の高いもの」から選んでください(1つだけ)

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障がい者支援(保険料・サービスの質・障がい者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)公共安全(警察、消防など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)
(11)該当するものはない

 質や給付を充実させたい公的給付や公共サービスを複数回答可能の形式で聞いたところ、13%の人が「該当するものはない」と回答し、残りの87%の人が1つ以上の公的サービスを選択した(図3-6-3)。

 充実させたいと考える項目として回答が多かったのは、「医療サービス」の59%と「年金制度」の58%であり、「緊急時・災害時の支援」の45%がそれに続いた。最も低いのは「雇用支援」で、24%であった。

 また、その中から最も優先度の高い公的給付や公共サービスを1つだけ選ぶ設問では、複数回答形式の回答傾向との違いがややみられた。最も優先度の高い項目は「年金制度」の27%で、その次に「医療サービス」の18%、「緊急時・災害時の支援」の9%となった。

Q35.Q34で質や給付を充実させたいとお答えになった公的給付や公共サービスについて、自身の税・社会保険料の負担が増えてもよいと思うものはどれでしょうか。あてはまると思うものをすべてお選びください。(いくつでも)

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障がい者支援(保険料・サービスの質・障がい者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)公共安全(警察、消防など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)
(11)該当するものはない

 Q34で質や給付を充実させたいと回答した公的給付や公的サービスについて、自身の税・社会保険料の負担が増えてもよいと思うかを聞いた。Q34で質や給付を充実させたい公的サービスを1つでも選んだ回答者の中で、負担が増えてもいいと答えた人の割合を公的サービスの種類ごとに示している(図3-6-4)。

 最も多いのは、「該当するものはない」で44%であった。また、負担が増えてもよいとされた公的サービスのうち、最も多く選ばれたのは、「医療サービス」で22%、次いで「緊急時・災害時の支援」で17%、「年金制度」で16%だった。一方、最も少なかったものは、「雇用支援」で3%だった。

 また、質や給付を充実させたいと回答した人のうち、負担をしてもよいと回答した人の割合を公的サービスの種類ごとに示した(図3-6-5)。全体的に、給付の増加は望むが負担はしたくない、という傾向が見られる。個別サービスごとにみると、負担してもよいと答えた人が多かったものは、「緊急時・災害時の支援」が33%、「防衛」が32%、であった。負担してもよいと考える人が最も少ないのは「雇用支援」の10%であった。

3.7 全国一律か、地域の実情を反映するか:公共サービスの種類によらず、全国一律を支持する人が半数以上

Q36.以下の公的サービスについて、全国一律であるべきか、それとも地域の実情を反映して違いがあるべきか、あなたはどちらが望ましいと考えますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障がい者支援(保険料・サービスの質・障がい者手当など)
(3)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(4)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(5)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(6)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(7)公共安全(警察、消防など)
(8)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(9)デジタル技術を使った行政手続き
(10)国土保全(森林・河川の管理など)

 本設問では、種々の公的サービスについて、全国一律であるべきか、地域の実情を反映して違いがあるべきかを聞いた(図3-7-1)。全体としては、公共サービスの種類によらず、全国一律を支持する人が半数以上を占めていることが分かる。全国一律であるべきと考える人が最も多かったのは、「公共安全」(警察、消防など)で、71%であった。他方、全国一律を支持する人が最も少なかったのは、「国土保全」である(58%)。都市部か過疎地域かなど、地域の特性によって森林や河川の管理のあり方は大きく異なるため、全国一律である必要はないと考える人が多くなったと考えられる。

 近年、自治体共通のシステムを構築し、すべての自治体で行政手続きのデジタル化を進めようという動きがあることを踏まえ、今回の調査では「デジタル技術を使った行政手続き」という項目を入れている。全国一律であることを求める人は、全体の65%であり、今回調査の対象とした公共サービスの中では中間的な順位となった。ただし、「地域の実情を反映して違いがあるべき」と回答した人の割合は最も少なく(12%)、その分、「どちらともいえない」という人が他の項目より多くなっている(23%)。

3.8 人々の社会意識:中核層は20%を占める

Q37.あなたは以下についてどのくらいあてはまりますか。

(1)人生で難しい問題に直面しても、自分なりに積極的に解決していく
(2)社会をよりよくするため、私は社会における問題に関与したい
(3)将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい
(4)新聞や自治体の広報誌を読む
(5)子どもや若者が対象となる政策や制度については子どもや若者の意見を聴くようにすべきだと思う
(6)少子化対策で現役世代の人が優遇されるのは不公平だと思う
(7)世間一般の意見に合わせていないと心配になる
(8)集団の中で、自分の意見が多数派の意見と異なる場合、自分の意見を主張せずに多数派に合わせる

 あてはまると回答(「よくあてはまる」と「ややあてはまる」の合計)した人は、「子供や若者が対象となる政策や制度については子どもや若者の意見を聴くようにすべきだと思う」の項目で53%であった(図3-8-1)。若い世代の意見を聞くことに積極的な人が過半数となっている。

 「人生で難しい問題に直面しても、自分なりに積極的に解決していく」の項目では50%、「集団の中で、自分の意見が多数派の意見と異なる場合、自分の意見を主張せずに多数派に合わせる」「将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい」は21%、「世間一般の意見に合わせていないと心配になる」は16%だった。

 またNIRA総研では、自らの生き方を主体的に選択し、かつ、積極的に社会を支えるという自負と責任感を持った人々を「中核層」と定義している。本調査では、Q37の(1)、(2)について、両方とも「よくあてはまる」または「ややあてはまる」と答えた人を中核層とした(注3)。今回の調査では中核層が20%を占めた(図3-8-2)。

Q38.あなたは以下についてどのくらいあてはまりますか。次のことばがあなた自身にどのくらいあてはまるかについて、もっとも適切なものを選んでください。

(1)活発で外向的だと思う
(2)他人に不満を持ち、もめごとを起こしやすいと思う
(3)しっかりしていて、自分に厳しいと思う
(4)心配性で、うろたえやすいと思う
(5)新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う
(6)ひかえめで、おとなしいと思う
(7)人に気をつかう、やさしい人間だと思う
(8)だらしなく、うっかりしていると思う
(9)冷静で、気分が安定していると思う
(10)発想力に欠けた、平凡な人間だと思う

 本調査では心理学で用いられている「Big Five」とよばれるパーソナリティの理論に基づいて測定結果の比較を行った。Big Fiveはパーソナリティを外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性の5つの因子で構成したパーソナリティ理論である(Goldberg, 1990(注4)。外向性は質問の(1)と(6)、協調性は(2)と(7)、勤勉性は(3)と(8)、神経症傾向は(4)と(9)、開放性は(5)と(10)の回答から尺度を算出している。

 年齢階層別にみると、60歳以上の人々は神経症傾向が低く情緒が安定している(図3-8-3)。一方で、1839歳の人々は勤勉性が他の年代と比較すると若干低い。

Q39.次のような人は、あなたにどれくらい似ていますか。「とても似ている」から「全く似ていない」までの中から選んでください。

(1)親や年長者には常に敬意を払うべきで、素直であることが重要と考えている人
(2)伝統を大切にすべきで、何かをするときは自分の慣れ親しんだやり方が最善と考える人
(3)周りの人が心身共に満たされていることを願い、人助けをたいへん重視している人
(4)世界の全員が等しく扱われ、人生で平等な機会を持つべきだと考えている人
(5)何事にも関心を持ち、あらゆる物事を理解したいと思う人
(6)リスクを取るのが好きで、常に冒険をするチャンスを探している人
(7)喜びが感じられることを大切にし、あらゆる機会を捉えて楽しもうとする人
(8)大成功をおさめて、人々に感銘を与えたい人
(9)責任者になって、自分の言う通りになるよう指示をしたい
(10)混乱を嫌い、物事がきれいに整っていることを重視する人

 本設問では、心理学や社会学で用いられるシュワルツ(Schwartz)の価値観理論に基づいた10項目(調和、伝統、慈善、普遍主義、自主、刺激、享楽、達成、権勢、安全)(注5)について尋ねた(図3-8-4)。

 「自分がどのような人に似ているか」という質問に対して、自分に似ていると回答(「とても似ている」「似ている」「まあまあ似ている」の合計)した人が多かった項目は、「混乱を嫌い、物事がきれいに整っていることを重視する人(安全)」が60%、次に「世界の全員が等しく扱われ、人生で平等な機会を持つべきだと考えている人(普遍主義)」が56%、「親や年長者には常に敬意を払うべきで、素直であることが重要と考えている人(調和)」が55%、「喜びが感じられることを大切にし、あらゆる機会を捉えて楽しもうとする人(享楽)」が49%だった。

 また、「似ていない」「全く似ていない」と答えた人が最も多かった項目は、「責任者になって、自分の言うとおりになるように指示したい人(権勢)」(58%)、「リスクを取るのが好きで、常に冒険をするチャンスを探している人(刺激)」(57%)、「大成功をおさめて、人々に感銘を与えたい人(達成)」(53%)だった。

3.9 生活の満足度:若い層ほど、生活に満足していない人が多い

Q40.あなたは、全体として見ると、現在の生活にどの程度満足していますか。

 生活の満足度に関しては、「満足」と回答した人(「満足している」と「まあ満足している」の合計)は42%で、「不満」と回答した人(「不満だ」と「やや不満だ」の合計)は33%であった(図3-9-1)。

 生活満足度を年齢階層別にみると、60歳以上の人たちの56%が「満足している」あるいは「まあ満足している」と回答している。1839歳の回答者と4059歳の回答者では、それぞれ32%35%と、60歳以上の人よりは低い。若い層ほど、生活に満足していない人が多い(図3-9-2)。

 世帯年収別にみると、1,000万円以上の階層において生活に満足している人の割合が最も多く、60%を占めた(図3-9-3)。世帯年収が低くなるほど、不満に感じる人が増える傾向も見られる。

 400万円未満という所得層には、低所得の現役世代と年金生活の高齢者が混在していると考えられる。そこで、年齢(65歳以上か否か)と世帯収入の2属性で、生活満足度とのクロス集計を行った(図3-9-4)。世帯収入と生活満足度の関係は、64歳以下においては見られたが、65歳以上においてはそれほど明確に見られない。年齢が高い層は、収入に関係なく全体的に生活満足度が高いことが分かる。特に、4,000万円未満の層で比較すると、64歳以下の場合、「満足している」と「まあ満足している」の合計は25%であるのに対し、65歳以上だと55%に及ぶ。

3.10 社会階層意識:「中の下」あるいは「下」と回答した人が50%

Q41.仮に現在の日本の社会全体を、以下の5つの層に分けるとすれば、あなた自身は、どれに入ると思いますか。

(1)上
(2)中の上
(3)中の中
(4)中の下
(5)下

 社会階層意識について、「上」が1%、「中の上」が10%、「中の中」が36%、「中の下」が36%、「中の下」が14%、「下」が14%であった(図3-10-1)。

 世帯年収別に社会階層意識の分布をみると、世帯年収が上がるにつれて上位の階層を選ぶ割合が大きくなる(図3-10-2)。1,000万円以上の回答者は、それ以外の回答者に比べて「上」あるいは「中の上」を選ぶ割合が際立って多い。

 回答者を64歳以下と65歳以上で分け、社会階層意識の分布をみると、64歳以下で「下」を選択する人は16%で、65歳以上で「下」を選択した8%2倍であった。その分、65歳以上では、「中と中」「中の下」を選択した人が多い。「上」と「中の上」を選択した人の割合は、64歳以下でも65歳以上でも変わらなかった(図3-10-3)。

 64歳以下と65歳以上で分けて、世帯年収別に社会階層意識の分布をみると(図3-10-4)、64歳以下でも65歳以上でも、1,000万円以上となると社会階層意識が「上」または「中の上」と考える人が特に多くなることが分かる。

Ⅱ 昨年調査との比較

1.支持政党:自民党・公明党・日本維新の会が支持を減らし、国民民主党支持と無党派が増加

 短期的な政党支持を昨年調査の結果と比較すると、自民党が19%から16%3%ポイント減少、立憲民主党が10%から14%4%ポイント増加、日本維新の会が15%から6%9%ポイント減少、国民民主党が4%から15%11%ポイント増加している。「投票所で棄権する」という人は7%のまま変化がなく、「投票に行かない」という人は26%から25%1%ポイント減少している(図4-1-1)。

 長期的な党派性を昨年調査の結果と比較すると、自民党が22%から19%3%ポイント減少、立憲民主党が8%のまま変化なし、日本維新の会が9%から5%4%ポイント増加、国民民主党が2%から8%6%ポイント増加している。また、無党派層も39%から44%5%ポイント増加している(図4-1-2)。

2.ポピュリスト志向:ポピュリスト志向を持つ人は増加

 前述の1.4と同じ定義でポピュリスト志向を持つ人の割合を昨年調査と比較すると、2024年調査では23%であったのに対し、今年の調査では27%となっており、ポピュリスト志向を持つ人は増加している(図4-2-1)。

 年齢別に見ると、ポピュリスト志向を持つ人は、1839歳では19%で大きく変わらず、4059歳では21%から25%4%ポイント増加し、60歳以上では25%から33%8%ポイント増加した。年齢層が高くなるほど、ポピュリスト志向を持つ人が大きく増加している。

3.世帯の家計状況、日本の経済状況の変化:厳しいとする見方は一段と進む

 世帯の家計状況について、「悪くなっている」と回答した人の割合は2024年の41%から7%ポイント増加し、2025年には48%となった(図4-3-1)。世帯の家計状況について、厳しいとする見方は一段と進んでいる。

 一方、日本の経済状況の変化については、1年前と比べた現在の状況を「悪くなっている」と回答した人の割合が62%と、2024年と比べると3%ポイント減少した。

 また、510年後の家計については、「悪くなっている」と回答した人の割合は、2024年の47%から2025年には56%へと、9%ポイント増加した(図4-3-2)。

 日本の経済状況の見通しについても、「悪くなっている」と回答した人の割合は2024年の59%から、2025年には64%へと、5%ポイント増加した。

 長期的には、家計状況、日本経済ともに悲観的な見方が強まっている。

4.中核層:安定して20%ほど存在

 3.8と同じ定義で、中核層の割合を昨年調査と比較すると、2024年、2025年ともに安定して20%ほど存在している(図4-4-1(注6)

 社会階層意識ごとに中核層の割合の変化を見ると、社会階層意識が「上」「中の上」では37%から30%7%ポイント減少し、「中」では20%から21%と大きな変化がなく、「中の下」「下」では13%から16%3%ポイント増加している。社会階層意識が高い層では中核層が減少し、社会階層意識が低い層では中核層が増加している。

5.生活満足度:生活への満足度は低下

 生活満足度について、「満足している」と「まあ満足している」の合計は、2024年は59%であったが2025年は42%に減少した(図4-5-1)。「やや不満だ」と「不満だ」の合計は、昨年は28%であったが33%に増加した。生活への満足度は低下している。

 年齢階層別に満足している人の変化を見ると、1839歳では42%から33%9%ポイント減少し、4059歳では58%から34%24%ポイント減少し、60歳以上では60%から55%5%ポイント減少した。1839歳と4059歳の層において不満な人が大きく増加した一方で、60歳以上においては、それほど大きな変化が見られなかった。

 また、「どちらともいえない」の割合はどの年齢層でもそれほど大きくは変化しておらず、満足している人が減少した分、不満な人が増加した形となっている。

6.社会階層意識:全体として社会階層意識が低下

 社会階層意識について、2024年調査と2025年調査の結果を比べると、「上」「中の上」が15%から11%に、「中」が49%から40%に減少し、「中の下」「下」が36%から49%に増加した(図4-6-1)。全体として社会階層意識を低めに回答する人が増加した。

 年齢別に見ると、1839歳では「上」「中の上」が17%から10%7%ポイント減少し、「中」が46%から38%8%ポイント減少し、「中の下」「下」が37%から52%15%ポイント増加した。また、4059歳では「上」「中の上」が16%から11%5%ポイント減少し、「中」が50%から39%11%ポイント減少し、「中の下」「下」が34%から50%16%ポイント増加した。さらに、60歳以上では、「上」「中の上」が13%から11%2%ポイント減少し、「中」が51%から41%10%ポイント減少し、「中の下」「下」が37%から47%10%ポイント増加した。

 このように、どの年齢層でも、「上」「中の上」「中」が減少する一方、「中の下」「下」が増加している。

参考文献

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中井遼(2022)「政治的左右と価値観の相関:欧州社会調査と世界価値観調査のシュワルツ価値理論設問を用いた国際比較」『北九州市立大学法政論集』49 (3, 4): 57-94。
Goldberg, Lewis R. 1990. “An Alternative “Description of Personality”: The Big-Five Factor Structure.” Journal of Personality and Social Psychology 59 (6): 1216-29.
Gosling, Samuel D., Peter J. Rentfrow, and William B. Swann Jr. 2003. “A Very Brief Measure of the Big-Five Personality Domains.” Journal of Research in Personality 37 (6): 504-28.
Sandy, Carson J., Samuel D. Gosling, Shalom H. Schwartz, and Tim Koelkebeck. 2017. “The Development and Validation of Brief and Ultra-Brief Measures of Values.” Journal of Personality Assessment 99 (5): 545-55.

Ⅲ 調査の概要

1.調査の趣旨・目的

 本調査は政治・経済・社会に関連する人々の意識を定点観測することを目的にしている。NIRA総研がオリジナルで設計した質問に加え、国勢調査や各種大規模社会調査と同様の質問も取り入れ、比較可能性の高い調査設計を目指している。

2.調査名

3回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)

3.調査期間

2025年34日(火)~202536日(木)

4.調査方法

・実施方法:インターネット調査
・調査機関:株式会社クロスマーケティング
・調査対象者:18歳以上の日本人

5.有効回答

1,552(2,000回収)

6.本報告書の集計方法

 集計結果の代表性を保つために、本速報では総務省「国勢調査(2020年)」を母集団とみなして、サンプリングバイアスを補正するために母集団ウエイトを作成した。具体的には、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人に限定した性別(男性、女性)、年齢階層(1839歳、4059歳、60歳以上の3階層)、都市規模(21大都市か否か)の分布をもとに、レイキング法によりウエイトを作成した。この速報の集計結果は、上述した母集団ウエイトを用いて集計したものである。

7.研究体制

谷口将紀     NIRA総研理事長/東京大学公共政策大学院教授
神田玲子     NIRA総研理事・研究調査部長
井上敦      NIRA総研主任研究員
関島梢恵     NIRA総研主任研究員
宇田川淑恵    NIRA総研研究コーディネーター・研究員
竹中勇貴     NIRA総研研究コーディネーター・研究員(※調査実施責任者)

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)NIRA総合研究開発機構(2025)「第3回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)(速報)

脚注
1 ※1 「通常の一週間」とは、休暇や休日、祝日、病気などによって生活時間が大きく変わらなかった1週間のことを指す。
※2 「テレワーク」とはインターネットやメールなどのICT(情報通信技術)を利用した、場所などにとらわれない柔軟な働き方としている。在宅勤務、モバイル勤務、施設利用型勤務などが該当する。ただし、移動交通機関内や外回り、顧客先などでのICT利用は含まない。
※3 仕事・学業として行うものを除き、知識・教養を高めることや、仕事に役立てる(技術・資格取得を含む)ことなどを目的とした時間を回答いただいた。学生が授業・予習・復習として行うものや社会人の職場研修は除く。クラブ活動や部活動は含める。
1 ※1 「通常の一週間」とは、休暇や休日、祝日、病気などによって生活時間が大きく変わらなかった1週間のことを指す。
※2 「テレワーク」とはインターネットやメールなどのICT(情報通信技術)を利用した、場所などにとらわれない柔軟な働き方としている。在宅勤務、モバイル勤務、施設利用型勤務などが該当する。ただし、移動交通機関内や外回り、顧客先などでのICT利用は含まない。
※3 仕事・学業として行うものを除き、知識・教養を高めることや、仕事に役立てる(技術・資格取得を含む)ことなどを目的とした時間を回答いただいた。学生が授業・予習・復習として行うものや社会人の職場研修は除く。クラブ活動や部活動は含める。

2 交流とは、ちょっとした会話から一緒に仕事をするまで、あらゆるものを含む。 2 交流とは、ちょっとした会話から一緒に仕事をするまで、あらゆるものを含む。
3 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では、同じ質問に対し、「強く/まあ/少しそう思う、どちらでもない、少し/おおよそ/全く違うと思う」の7点尺度で聞いており、両方の質問に「強く/まあ/少しそう思う」と答えた人を中核層としている。同調査では、中核層は34%であった。 3 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では、同じ質問に対し、「強く/まあ/少しそう思う、どちらでもない、少し/おおよそ/全く違うと思う」の7点尺度で聞いており、両方の質問に「強く/まあ/少しそう思う」と答えた人を中核層としている。同調査では、中核層は34%であった。
4 本調査では、Big Five10項目の設問で測定するTen Item Personality InventoryTIPI)(Gosling et al., 2003)の日本語版であるTIPI-J(小塩ら, 2012)を用いた(各因子に対して2項目の設問からなる)。いずれの尺度も、各項目につき、7件法で回答を求めている。各因子のスコアは、Gosling et al.2003)に基づき、必要な項目について反転処理をしたうえで、各因子に対応する項目の回答結果を加算して、加算した項目数で割ることで算出した。いずれの因子も、値が大きいほど、その傾向が強くなることを意味している。 4 本調査では、Big Five10項目の設問で測定するTen Item Personality InventoryTIPI)(Gosling et al., 2003)の日本語版であるTIPI-J(小塩ら, 2012)を用いた(各因子に対して2項目の設問からなる)。いずれの尺度も、各項目につき、7件法で回答を求めている。各因子のスコアは、Gosling et al.2003)に基づき、必要な項目について反転処理をしたうえで、各因子に対応する項目の回答結果を加算して、加算した項目数で割ることで算出した。いずれの因子も、値が大きいほど、その傾向が強くなることを意味している。
5 シュワルツの価値観理論を基に作成された個人の価値タイプを10項目で測定するTen Item Values Inventory (TIVI)(Sandy at al. 2016)を日本語に訳し、本調査に用いた。他に個人の価値タイプを20項目で測定するTwenty Item Values Inventory (TwIVI)がある。10項目の日本語訳は中井(2022)を参考とした。 5 シュワルツの価値観理論を基に作成された個人の価値タイプを10項目で測定するTen Item Values Inventory (TIVI)(Sandy at al. 2016)を日本語に訳し、本調査に用いた。他に個人の価値タイプを20項目で測定するTwenty Item Values Inventory (TwIVI)がある。10項目の日本語訳は中井(2022)を参考とした。
6 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では中核層は34%であった。 6 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では中核層は34%であった。

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