2025.10.15 政治制度海外動向 研究報告書 山のあなたに「幸」は住むのか?第2章 スウェーデン―すべての人のwell-beingを目指す包摂型社会― 高橋美恵子 「国民の家(Folkhemmet)」の理念を基に、100年にわたり階級差の撤廃と包摂型社会の実現を目指して発展してきたスウェーデン。その社会の特徴として、参加型の平等社会、尊厳ある共生社会、子どもの権利重視、環境との調和の4つが挙げられる。1970年代以降、個人別課税や男性の育児休業導入などにより男女平等を推進し、主権者教育やエビデンスに基づく政策形成が民主主義と挑戦文化を支えてきた。難民・移民の統合や再挑戦を可能にする仕組みも整備され、人々に安心と満足をもたらしている。日本の社会や政策課題を考える上で、スウェーデンの事例は重要な示唆を与えるものだ。 詳細を見る
2025.09.30 政治制度海外動向 研究報告書 山のあなたに「幸」は住むのか?第1章 日本人は「不幸せ」なのか―国際指標を読み解く― 谷口将紀 宇田川淑恵 日本は長寿や治安、食文化や自然環境に恵まれている一方で、国際的な幸福度調査での順位は高くない。その背景には、欧米中心の評価項目や日本人の謙虚な回答傾向にあると考えられる。また、GDPなどの経済指標だけでは幸福度を説明できず、社会的つながりや精神的健康、ワークライフバランスといった要因もウェルビーイングには重要となる。ランキングの文化的背景に留意しながら、日本の現状を踏まえた課題を検討し、労働環境改善や賃金引き上げ、社会参画促進を通じて多様な幸福を尊重する社会づくりが求められる。 詳細を見る
2025.09.30 政治制度海外動向 研究報告書 山のあなたに「幸」は住むのか?第5章 日本人は「幸せ」なのか―「みんなのほんとうのさいわい」とは― 水島治郎 「何を幸福と考えるのか」をめぐっては、国や地域よってとらえ方に違いがあるのではないか。日本人は、個人の幸福追求といった西洋由来の幸せよりも、周囲との調和を重視する「協調的幸福感」を志向することが複数の研究で実証されている。他者との関係性や調和を基盤に、自分だけでなく周囲と共に幸せを感じる傾向がある。しかし、近年は、「孤立」や「孤食」が増加しており、人々の幸福感が低下していることが明らかとなっている。日本の幸福観の本質とはなにか。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が示した他者と分かち合う営みとしての幸福に触れながら、再検討する。 詳細を見る
2025.06.17 政治制度海外動向 研究報告書 国際コンファレンス動画「いま、責任ある行動とは何かを考える」 NIRA総研 2025年4月26日に開催した国際コンファレンス「いま、責任ある行動とは何かを考える―ヨーロッパと日本の視点から」の動画を公開。世界の民主主義が揺らぐ中、責任ある行動とは何か、そして国際秩序における責任の枠組みとは何か、についてグローバルな視点から議論する。パネル1は、ラファエル・ランギヨン氏、高江可奈子氏、マリー・エリフ氏が議論。モデレーターはジル・カンパニョーロ氏、アドリエンヌ・サラ氏。パネル2は、市原 麻衣子氏、瀧川 裕英氏、イザベル・ジロドゥ氏が議論。モデレーターは渡辺靖氏。 詳細を見る
2025.06.05 政治制度海外動向 わたしの構想 No.77 トランプ2.0の実相を理解し、戦略を立てよ 谷口将紀 平松彩子 志賀俊之 橋本努 大橋弘 峯村健司 第2次トランプ政権が発足して数か月が経過し、「トランプ2.0」の内実が明らかになってきた。政権のとった政策の中でも広く国際的に衝撃を与えたのは高い関税である。同盟国ですら標的とした高関税はいったいどのような理念に基づくのか。背景にはどのような政治過程があるのか。また、トランプ政権の高関税による負の影響を最小限に抑えるために、日本はどのような戦略をとるべきだろうか。米国の政治、経済、外交をよく知る専門家に話を聞いた。 詳細を見る
2025.05.15 政治制度 研究報告書 コロナ禍の経験から何を学ぶか 宇野重規 重田園江 渡辺靖 NIRA総研 コロナ禍は、人々の行動の自由はどこまで制約できるのかという根本的な問いに対し、社会的な合意が必要があることを明らかにした。行政は、国民の反応を注視しながら政策運営を行うが、人々の意識は、科学的知見に基づいている必要がある。しかし現実には、メディアが発信する情報や、精神主義といった「日本人の思考の癖」によって左右されることも多い。各分野の専門家による考察は、次のパンデミックに備えるために何をすべきかを示唆している。 詳細を見る
2025.03.31 政治制度 NIRAオピニオン No.80 人口減少時代、国と地方の財政の新たな役割分担とは 宇野重規 赤井伸郎 砂原庸介 沼尾波子 人口減少時代における国と地方の役割と財政責任のあり方について、持続可能な制度設計を提案する。基本的な方向性として、国は標準的な公共サービスの責任を持ち、その財源を全額保障する一方、地方自治体は上乗せ・独自サービスに限定的責任を負う(限界的財政責任)べきである。財政調整、義務教育、社会保障、デジタル化の各分野に焦点を当て、財源の配分と役割分担の明確化、国と地方との協議制度の実質化、地域間格差の是正と官民連携の強化を通じた改革の方向性を提示する。 詳細を見る
2025.03.25 政治制度 研究報告書 NIRA基本調査2024 谷口将紀 井上敦 竹中勇貴 2024年に実施したNIRA基本調査の結果をもとに、サンプルに含まれるバイアスと人々の意識変化を詳細に分析した。サンプルのバイアスとして際立ったのは、インターネット調査における高学歴の回答者の多さ、誠実に回答しない人の回答による影響であった。また、2023年から2024年にかけての人々の意識の変化では、政治家への不信感の強まり、家計の厳しさの継続、児童手当の所得制限付き給付への支持拡大などが確認された。 詳細を見る
2025.03.13 政治制度 研究報告書 AIは民主主義を深化させるか?〔Ⅱ〕 谷口将紀 竹中勇貴 政治的な議論の場に生成AIは活用できるのか。北海道東神楽町におけるChatGPTを使った住民ワークショップから見えてきたのは、参加者が生成AIのアウトプットを見ることによって、自らの発想・アイディアを発展させることができるという効果であった。同時に、生成AIは「地域の雰囲気」のような言語化しにくい政策知識を扱うことは得意ではないなど、課題もある。本報告書では、生成AIの可能性、リスク、そしてリスクを踏まえて実践すべきことをまとめている。 詳細を見る
2025.03.04 政治制度 研究報告書 NIRAフォーラム2025動画「伝わる政策、信頼できる政府をつくる」 NIRA総研 2025年2月1日に開催したNIRAフォーラム2025「伝わる政策、信頼できる政府をつくる」の動画を公開。政府からの情報発信は一方的でわかりにくいことが多く、政策の意図や内容が十分に伝わってこない。政府の声が人々に届かないという課題をどう解決するのか、また、どうすれば、政府と人々との間の心理的な溝を埋め、信頼が築けるのかーこれらの問いに向き合い、齋藤健氏、竹下隆一郎氏、長野智子氏、金丸恭文氏、柳川範之氏が議論した。モデレーターは谷口将紀氏。 詳細を見る