大久保敏弘
慶應義塾大学経済学部教授/NIRA総合研究開発機構上席研究員
NIRA総合研究開発機構

概要

 慶應義塾大学経済学部大久保敏弘研究室、(公財)NIRA総合研究開発機構では、「第10回テレワーク(注1)に関する就業者実態調査(注2)」を実施した。本調査は、ポスト・コロナに向けた模索が始まっている中、全国の就業者の働き方、生活、意識の変化や、業務への影響等を捉えることを目的に実施したものである。調査は20231027日(金)~2023124日(月)にかけて行われた。回収数は10,726件であり、うち過去の同調査からの継続回答は8,142件である。速報結果は以下のとおり。

INDEX

ポイント

202310月時点の全国の就業者のテレワーク利用率は13%(東京圏22%)となった。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと変更された20235月以降も、テレワーク利用率は安定的に推移している。

●悪天候・災害、交通障害、家庭の事情が生じた時のテレワーク利用率は10%前後となった。

●新型コロナウイルスの感染拡大の出来事がなく通常通り勤務していた場合の仕事の成果を100としたとき、テレワーク利用者のうち、100と回答した人の割合が20206月から202310月にかけて大きく増加した。

●生成AI(例:ChatGPT)を定期的に仕事で利用している人は12%、1度でも利用したことがある人を含めると19%となった。

●生成AI利用者は、男性、若年層、高学歴者に多く、職業別では、農林水産技術者、研究者、経営・業務コンサルタント、情報処理・通信等技術者に多い。

●生成AI利用者のなかで、仕事効率が「向上した」と回答した人は64%に上った。「変わらない」は24%、「悪化した」は12%であった。仕事効率の変化は、大学卒と大学卒以外の人で大きな違いが見られなかった。

●新型コロナ禍で悪化した人々のメンタルヘルスは、20219月にかけて大きく改善し、20219月以降も緩やかに改善している。

物価高対策として、「必要」との回答が多かったのは、企業による賃金の引き上げ、政府による消費税・所得税減税、輸入依存から自給自足への転換、消費者の節約や賢い買い物だった。

図表

図1 全国および東京圏のテレワーク利用率の推移
図1-1-1 居住地域別でみたテレワーク利用率の推移
図1-1-2 居住都道府県別でみたテレワーク利用率の推移-新型コロナウイルス感染拡大前、第1回緊急事態宣言時、直近時点の比較-
図1-2-1 産業別でみたテレワーク利用率の推移
図1-2-2 産業別(抜粋)でみたテレワーク利用率の推移(詳細)
図1-3-1 職業別でみたテレワーク利用率の推移
図1-3-2 職業別でみたテレワーク利用率の推移(詳細)
図1-4 災害、交通障害、家庭の事情が生じた時のテレワーク利用率
図2-1 通常の職場で勤務している人の出社頻度の推移
図2-2 テレワーク利用者のテレワーク利用頻度の推移
図3-1 仕事の効率(2023年10月、テレワーク利用別)
図3-2 仕事の効率(2020年6月、テレワーク利用別)
図4-1 ICTツールの活用状況の推移(テレワーク利用別)
図4-2 目的別にみたICTツールの活用状況の推移(テレワーク利用者)
図5-1 生成AIの利用頻度
図5-2 生成AI利用者の特徴
図5-3 生成AIを定期的に仕事で利用している人の用途
図5-4 生成AI利用者の用途(産業別)
図5-5 生成AI利用者の仕事効率の変化
図5-6 生成AI利用者の仕事効率の変化(学歴別)
図6-1 2019年度国民生活基礎調査のK6の合計点の分布(12歳以上)
図6-2 2019年度国民生活基礎調査のK6の合計点の分布 有業人員(15歳以上)
図6-3 K6の推移
図7 物価高への対応に関する意識

Ⅰ 調査結果

1.テレワーク利用率の推移

Q3.あなたは以下の時期に通常業務でテレワークを利用していましたか。(1つだけ)

(1)2023102週目(109日~15日)
(2)
20236月(新型コロナウイルス感染症の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へと変更された後)
(3)20234月(新型コロナウイルス感染症の位置づけが、「5類」へと変更される前)

 全国のテレワーク利用率の推移は、第1回目の緊急事態宣言が出された202045月は25%まで大幅に上昇したが、20206月の緊急事態宣言の解除後には17%に急速に低下した。その後、202212月までおおむね横ばいで推移した。20233月には13%まで低下し、それ以降は安定的に推移している(注3)。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと変更された20235月以降も、テレワーク利用率は安定的に推移していることから、底打ち状態になったことが示唆される。東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のテレワーク利用率(居住地ベース)も、全国と同様の動きを示し、直近で22%となった。

   図1 全国および東京圏のテレワーク利用率の推移  
    (クリックすると拡大します。)rp322401_data01.png

1.1. 居住地域別、都道府県別でみたテレワーク利用率の推移

 居住地域別にテレワーク利用率をみると(図表1-1-1)、20233月に低下し、その後、安定的に推移する傾向は東京圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)、京阪神(京都府・大阪府・兵庫県)、その他の地域のいずれでもみられる。

   図1-1-1 居住地域別でみたテレワーク利用率の推移  
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 図1-1-2は居住都道府県別にテレワーク利用率をみたものである。コロナ禍前の20201月、全国的にテレワーク利用が最も進んだ1回目の緊急事態宣言時の202045月、直近の202310月の3時点の結果を示している。1回目の緊急事態宣言時にテレワーク利用率が伸びた大都市圏で、ピーク時からのテレワーク利用率の低下が目立つ。

   図1-1-2 居住都道府県別でみたテレワーク利用率の推移
―新型コロナウイルス感染拡大前、第1回緊急事態宣言時、直近時点の比較―  
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1.2. 産業別でみたテレワーク利用率の推移

 産業別に推移をみると(図1-2-1)、2023年10月時点でテレワーク利用率が高い産業は、「通信情報業」、「情報サービス・調査業」、「金融・保険業」、「製造業」となった。他方、テレワーク利用率が低い産業として、「公務」、「飲食業・宿泊業」、「医療・福祉」があげられる。

 時系列で詳しくみると(図1-2-2)、「通信情報業」を除き、産業間のテレワーク利用率の差が徐々に縮まってきていることがわかる。

   図1-2-2 産業別(抜粋)でみたテレワーク利用率の推移(詳細)  
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1.3. 職業別でみたテレワーク利用率の推移

 職業別に推移をみると(図1-3-1(注4)202310月時点でテレワーク利用率が高い職業は、「管理的職業」、「専門的・技術的職業」、「事務」となった。他方、テレワーク利用率が低い職業として、「その他の職業」、「サービス職業」、「販売」、があげられる(注5)

 時系列で詳しくみると(図1-3-2)、2023年以降、特に管理的職業のテレワーク利用率の低下が進み、職業間のテレワーク利用率の差が徐々に縮まってきている。

   図1-3-2 職業別でみたテレワーク利用率の推移(詳細)  
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1.4. 悪天候・災害、交通障害、家庭の事情が生じた時のテレワーク利用率

 悪天候・災害、交通障害、家庭の事情が生じた時のテレワーク利用率をみると(図1-4)、いずれも10%前後となった。これらの中では、悪天候・災害時のテレワーク利用率が比較的高い。また、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと変更された20235月の前後で比べても、大きな違いはみられない。

2.通常の職場での勤務とテレワークによる勤務の頻度の推移

Q4.あなたは以下の時期に、通常の職場に出勤しての勤務とテレワーク勤務を、どのぐらいの頻度で行いましたか。なお「通常の職場に出勤しての業務」には「自営業など通常の職場と自宅が同じ場合」も含みます。

 通常の職場で勤務している人(テレワーク利用者含む)の出社頻度の推移をみると(図2-1)、20233月以降、「週5日以上」の割合が若干増加しているが、目立った変化はみられない。

   図2-1 通常の職場で勤務している人の出社頻度の推移  
    (クリックすると拡大します。)rp322401_data02-1.png

 テレワーク利用者のテレワーク利用頻度の推移については(図2-2)、20233月時点で「週5日以上」の割合が若干減少したが4月には回復しており、20221月以降、目立った変化はみられない。

   図2-2 テレワーク利用者のテレワーク利用頻度の推移  
    (クリックすると拡大します。)rp322401_data02-2.png

3.仕事の効率の変化

Q6.新型コロナウイルスの感染拡大の出来事がなく2023102週目(109日~15日)に通常通りの勤務をしていた場合を想像してください。通常通りの勤務に比べて、時間あたりの仕事のパフォーマンス(仕事の効率)はどのように変化したと思いますか。通常通り勤務していた場合の仕事の成果を100とした場合の数字でお答えください。たとえば、仕事のパフォーマンスが1.3倍になれば「130」、半分になれば「50」となります。上限を「200」としてお答えください。

 Q6の回答の分布をテレワーク利用別にみると、図3-1のようになった。テレワーク利用者は、テレワークを利用していない人に比べて、100と回答した人の割合は低く、6090110120と回答した人の割合が高くなっている。テレワークにより、仕事を効率的にできる人と、そうではない人がいることが伺える(注6)

 なお、過去の20206月と比較すると(図3-2)、6090の人が減少した現在では、コロナ禍初期よりも、テレワークにより仕事を効率的に進める人の割合が高まっていることがわかる。

4.ICTツールの活用状況

Q7.2023102週目(109日~15日)で、あなたは、通常の職場に出勤しての勤務やテレワークで、以下のどのICTツールを利用していましたか。なお「通常の職場に出勤しての業務」には「自営業など通常の職場と自宅が同じ場合」も含みます。(いくつでも)

 選択肢に提示したICTツールを少なくとも1つは利用している人の割合(「ICT利用率」、以下同)をテレワーク利用別にみると(図4-1)、テレワーク利用者はICT利用率が顕著に高い(注7)(注8)。しかし、テレワークを利用していない人も、職場のデジタル化や、テレワーク利用者とのコミュニケーションにICTツールは有用であり、一定程度、利用していることがわかる。推移をみると、テレワーク利用者もテレワークを利用していない人も、大きな変化はみられない。

 次にテレワーク利用者のICTツール利用率をツールの目的別にみると(図4-2)、コミュニケーションツールの利用率が最も高く、次に共同作業ツール、業務管理ツールが続いた。オフィス・現場の自動化ツールは、20206月時点はその利用率が5%と極めて低かったが、上昇傾向がみられ202310月時点で20%を超えた。

5.生成AIの活用状況

Q10.仕事で生成AI(例:ChatGPT)を利用したことがありますか。利用したことがある場合は、およその利用頻度をお答えください。(1つだけ)

Q11.仕事で生成AIをどのようなことに利用しましたか。生成AIを利用したことがない人は、仕事で利用するとなった場合に、実際に使いそうなことをお選びください。(あてはまるものすべて)

Q12.生成AIを利用すると、利用しない場合と比べて、時間あたりの仕事のパフォーマンス(仕事の効率)はどのように変化したと思いますか。生成AIを利用したことがない人は、仕事で利用するとなった場合のことを想定してお答えください。

 生成AIの利用状況をみると、定期的に仕事で利用している人(「ほぼ毎日利用している」、「週に1回程度利用している」、「2週間に1回程度利用している」、「月に1回程度利用している」、以下同)12%いままで1度でも利用したことがある人を含めると19%となった(図5-1)。このうち、ほぼ毎日利用している人は1%、週に1回程度利用している人は4%と、日ごろから仕事で頻繁に生成AIを利用している人は5%である。

 次に、生成AIを定期的に仕事で利用している人の割合を生成AI利用率とし、属性ごとに同割合を確認する(図5-2)。性別では、女性よりも男性の方が高い。年齢階層別では、若い層ほど高い。学歴別では、学歴が高い人ほど高い。職業別にみると、生成AI利用率が高い職業は、「農林水産技術者」、「研究者」、「経営・業務コンサルタント」、「情報処理・通信等技術者」が特に高く、「農林水産技術者」は著しい。他方、生成AI利用率が低い職業として、「飲食物調理、接客従事者」、「生産工程従事者」、「商品販売・営業職・販売類似職業従事者」、「運搬・清掃・包装等従事者」があげられる。最後に、産業別でみると、生成AI利用率が高い産業は、「電気・ガス・水道・熱供給業」、「通信情報業」、「農業・漁業・林業・水産業」、「情報サービス・調査業」があげられる。他方、生成AI利用率が低い産業として、「卸売・小売業」、「医療・福祉」、「公務」、「飲食業・宿泊業」があげられる。

 次に、生成AIを定期的に仕事で利用している人に限定して、全体では「情報収集・検索」、「文章生成」、「文章校正、編集」、「プログラムコードの生成」のために利用している人が比較的多いことがわかる(図5-3)。一方で、産業別では用途が異なっている(図5-4)。例えば、他産業と比べて、不動産では、「情報収集・検索」、「文章生成」のために利用されている。また、「情報サービス・調査業」では、「プログラムコードの生成」のために利用されている。飲食・宿泊業では、「文章要約」、「アイデア生成」、「行動や計画に関する提案」、「人的管理」で利用されている。

 最後に、生成AIを定期的に仕事で利用している人に限定して、仕事効率の変化についてみると、就業者の64%は「効率向上」と回答し、「変わらない」は24%、「効率悪化」は12%であった(図5-5)。また、平均的には18%の効率向上となった(注9)。また、学歴別に仕事効率の変化をみると、大学卒と大学卒以外の人で大きな違いはない(図5-6)。このことは、生成AIは就業者の知識やスキルに関係なく、仕事の効率を高めるものかもしれないことを示唆している。

   図5-5 生成AI利用者の仕事効率の変化  
    (クリックすると拡大します。)rp322401_data05-5.png

6.メンタルヘルス

 就業者のメンタルヘルスについて調べた。ここでは、メンタルヘルスを測定するための指標として、K6を用いる。K6は得点が高いほど、メンタルヘルスが悪いと解釈できる指標であり、詳細については脚注を参照されたい(注10)

 新型コロナウイルス感染拡大前の日本のメンタルヘルスの状態は、『2019年度国民生活基礎調査』の結果で確認できる(注11)K6の合計点(12歳以上)の得点分布を確認すると、図6-1のようになり、04点が68%59点が17%1014点が7%15点以上が2%であった。また、同調査のK6の合計点の分布を、本調査のサンプルと同様、有業人員(15歳以上)に限定した場合は04点が70%59点が18%1014点が7%15点以上が2%であり(図6-2)K6の得点分布は図6-1で示した12歳以上の結果とほとんど変わらない(注12)

 次に、本調査において計測した20203月~202310月の間のK6の得点分布を確認する(図6-3)。その結果、20203月から20219月にかけて、K6の得点が低い人の割合が増え、メンタルヘルスが大きく改善していることがわかる。20219月以降の変化は小さいが、202310月時点では、04点の割合が最も高くなり、1014点の割合が最も低くなっており、メンタルヘルスは緩やかに改善していることが示唆される。

7.物価高への対応に関する意識

Q18.現在、日本で物価高が進んでいます。物価高への対応として、以下は必要と思いますか。

 Q18の回答結果を必要(「とても必要」、「多少必要」)の回答が多い項目からみると(図7)、企業による賃金の引き上げ、政府による消費税・所得税減税、および輸入依存から自給自足への転換、消費者の節約や賢い買い物だった。主に家計の収入や消費との関連が強いものが多い。一方、必要との回答が少なかった項目として、政府によるデジタル化の加速、日本銀行によるに円安の是正や利子率の上昇があげられる。これらの項目は「どちらともいえない」の回答が比較的多くなっている。

 不必要(「あまり必要ない」、「全く必要ない」)の回答が比較的多かった項目は、消費税・所得税減税、低所得者への支援など分配に関する政策であり、今後議論が必要な点と言える。

   図7 物価高への対応に関する意識  
    (クリックすると拡大します。)rp322401_data07.png

参考文献

川上憲人(2007)「全国調査におけるK6調査票による心の健康状態の分布と関連要因」『平成18年度政策科学総合研究事業(統計情報総合)研究事業「国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究」分担研究書』13-21
Furukawa, T.A., Kawakami, N., Saitoh, M., Ono, Y., Nakane, Y., Nakamura, Y., Tachimori, H., Iwata, N., Uda, H., Nakane, H., Watanabe, M., Naganuma, Y., Hatah, Y., Kobayashi, M., Miyake, Y., Takeshima, T., Kikkawa, T. (2008 “The performance of the Japanese version of the K6 and K10 in the World Mental Health Survey Japan,” International Journal of Methods in Psychiatric Research, 17 3, 152–158.
Kessler, R. C., P. R. Barker, L. J. Colpe, J. F. Epstein, J. C. Gfroerer, E. Hiripi, M. J. Howes, S. T. Normand, R. W. Mandersheid, E. E. Walters, and A. M. Zaslavsky. (2003 “Screening for Serious Mental Illness in the General Population,” Archives of General Psychiatry, 60, 184-189.
Okubo, T. (2022. Telework in the Spread of COVID-19. Information Economics and Policy, 100987.
Okubo, T., Inoue, A., & Sekijima, K. (2021. Teleworker performance in the COVID-19 era in Japan. Asian Economic Papers, 202, 175-192.

Ⅱ 調査概要

1.調査の趣旨・目的

 テレワークに関する就業者実態調査は、ポスト・コロナに向けた模索が始まっている中、全国の就業者の働き方、生活、意識の変化や、業務への影響等の実態を捉えることを目的としたものである。同一の就業者に対する追跡調査を行うことにより、新型コロナウイルス感染症が、働き方や生活などに与える影響をより正確に把握することができる。

 本調査は、20204月、6月、12月、20214月、9月、20222月、5月、12月、20233月に実施した調査に続く、第10回目の調査となる。就業者の働き方や生活の変化を捉え、災害や感染症による被害を受けても、1人ひとりが能力を十分に発揮して働くことができる社会に向けての課題を分析できる調査設計にしている。

2.調査名

 第10回テレワークに関する就業者実態調査

3.主な調査項目

 ・テレワークの利用状況、利用頻度、利用の障害、ICT利用状況
 ・仕事の効率性
 ・AI、テレワークが仕事に及ぼす影響
 ・会社・経営組織の動向
 ・仕事・生活の変化
 ・メンタルの状態・コロナに対する意識
 ・満足度、幸福度
 ・政策への賛否
 ・生成AIの利用状況、利用用途、仕事効率の変化
 ・物価高への対応
 ・その他個人属性

4.調査期間

 2023年1027日(金)~2023124日(月)

5.調査方法

1)実施方法:インターネット調査(スクリーニング調査・本調査)。回収目標数を10,000サンプルとして、過去の調査と同様のスクリーニング調査、割付を行ったうえで、配信し、回収した(注13)
2)調査機関:株式会社日経リサーチ
3)調査対象者:調査会社に登録しているインターネット調査登録モニター
4)調査対象:
(ア)第1回から第9回調査の回答者
(イ)第10回調査から参加する就業者

6.回収数

 総数:10,726
 うち、過去の調査からの継続回答は8,142件、本調査から参加する新規回答は2,584件。

7.回答者の属性

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8.研究体制

大久保敏弘 慶應義塾大学経済学部教授/NIRA総研上席研究員
加藤究   フューチャー株式会社シニアアーキテクト/NIRA総研上席研究員
神田玲子  NIRA総研理事・研究調査部長
井上敦   NIRA総研研究コーディネーター・研究員
関島梢恵  NIRA総研研究コーディネーター・研究員
鈴木壮介  NIRA総研研究コーディネーター・研究員

9.外部資金

 本調査研究は科研費(基盤研究B「ポストコロナの世界経済とデジタル経済:国際貿易・空間経済学・災害の経済による分析」研究代表者:大久保敏弘23H00821)の補助を受けている。

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2024)「第10回テレワークに関する就業者実態調査(速報)」

脚注
1 本調査での「テレワーク」とは、インターネットやメールなどのICT(情報通信技術)を利用した、場所などにとらわれない柔軟な働き方としている。通常の勤務地(自社および顧客客先、出先など)に行かずに、自宅やサテライトオフィス、カフェ、一般公共施設など、職場以外の場所で一定時間働くことを指す。具体的には、在宅勤務、モバイル勤務、施設利用型勤務などが該当する。ただし、移動交通機関内や外回り、顧客先などでのICT利用は含まない。また、回答者が個人事業者・小規模事業者等の場合には、SOHOや内職副業型(独立自営の度合いの業務が薄いもの)の勤務もテレワークに含まれる。第1回調査の20203月時点では就業している人のみを対象としたが、第210回調査では、継続回答者で失業した人も含まれる。なお、国土交通省の「テレワーク人口実態調査」や総務省の「通信利用動向調査」におけるテレワークの定義ではICTを利用した普段の勤務地とは別の場所で仕事をすることとしている。同調査では自社の他事業所や顧客先、外回りでの利用、移動中の交通機関、駅構内、空港内でのPCやモバイル端末利用も含まれている。
2 この調査研究は科研費(基盤研究B「ポストコロナの世界経済とデジタル経済:国際貿易・空間経済学・災害の経済による分析」研究代表者:大久保敏弘23H00821)の補助を受けている。
3 各時期の詳細結果については、202013月は第1回調査、46月の結果は第2回調査、912月の結果は第3回調査、202114月は第4回調査、79月は第5回調査、202112月~20221月は第6回調査、202235月は第7回調査、812月は第8回調査、20233月は第9回調査の報告書を参照されたい。第1回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2020)「新型コロナウイルスの感染拡大がテレワークを活用した働き方、生活・意識などに及ぼす影響に関するアンケート調査結果に関する報告書」2回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2020「第2回テレワークに関する就業者実態調査報告書」3回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2021「第3回テレワークに関する就業者実態調査報告書」4回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2021「第4回テレワークに関する就業者実態調査報告書」5回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2021「第5回テレワークに関する就業者実態調査報告(速報)」6回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2022「第6回テレワークに関する就業者実態調査報告(速報)」7回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2022「第7回テレワークに関する就業者実態調査(速報)-『ウクライナ危機をめぐる安全保障に関する意識調査』を含む-」8回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2023「第8回テレワークに関する就業者実態調査報告(速報)-『ウクライナ危機をめぐる安全保障に関する意識調査』を含む-」9回調査結果:大久保敏弘・NIRA総合研究開発機構(2023「第9回テレワークに関する就業者実態調査報告(速報)」
4 詳細なテレワーク利用の要因分析に関してはOkubo2022)を参照。
5 「その他の職業」には、保安、農林漁業、生産工程、輸送・機械運転、建設・採掘、運搬・清掃・包装等、分類不能の職業に従事する者が含まれている。
6 詳細はOkubo, Inoue and Sekijima2021)を参照のこと。
7 回答者はあくまで就業者本人の利用状況を回答しており、会社・組織を代表しての回答ではない。
8 選択肢に示したICTツールは以下のとおりである。(1)コミュニケーションツールとして、テレビ会議・Web会議、チャットやSNSによる社内情報共有、(2)共同作業ツールとして、ファイル共有・共同作業、リモートアクセス、タスク・プロジェクト管理、(3)業務管理ツールとして、電子決裁、勤怠管理グループウェア、従業員のメンタルヘルスチェック、生産管理・販売管理・在庫管理、営業管理、採用管理、人事管理、会計管理、(4)オフィス・現場の自動化ツールとして、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、バーチャルオフィス、非接触型テクノロジー、自動翻訳、BIツール、画像認識・画像解析ツールが含まれる。なお、非接触型テクノロジーの選択肢は第3回調査以降、自動翻訳、BIツール、画像認識・画像解析ツールは第5回調査(20219月実施)以降で追加された選択肢である。
9 「30%以上の効率向上(悪化)」と答えると+30-30)、「2029%の効率向上(悪化)」は+24.5-24.5)、「1019%の効率向上(悪化)」は+14.5-14.5)、「59%の効率向上(悪化)」は+7-7)、「5%未満の効率向上(悪化)」は+2.5-2.5)、「変わらない」は0として算出した。
10 K6はKessler et al. 2003)で開発された尺度で、精神疾患をスクリーニングすることを目的として開発されたものである。日本語版はFurukawa et al. 2008)で開発されている。設問項目は、「神経過敏に感じましたか」、「絶望的だと感じましたか」、「そわそわ、落ち着かなく感じましたか」、「気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか」、「何をするのも骨折りだと感じましたか」、「自分は価値のない人間だと感じましたか」の6つの設問から構成されており、5段階のスケールで回答する形式となっている。各設問の回答を「まったくない」(0点)、「少しだけ」(1点)、「ときどき」(2点)、「たいてい」(3点)、「いつも」(4点)で点数化し、単純合計によって得点を算出する。厚生労働省『国民生活基礎調査』にも利用されており、メンタルヘルスを測定する指標として広く利用されている。『国民生活基礎調査』の詳細は、厚生労働省ウェブページ『国民生活基礎調査』で確認できる。なお、川上(2007)では、59点は「心理的ストレス相当」、1012点は「気分・不安障害相当」、13点以上は「重症精神障害相当」と区分している。川上憲人(2007)「全国調査におけるK6調査票による心の健康状態の分布と関連要因」『平成18年度政策科学総合研究事業(統計情報総合)研究事業「国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究」分担研究書』13-21.また、厚生労働省「健康日本21(第2次)」では、「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少」の目標値として、厚生労働省『国民生活基礎調査』において、20歳以上のK6の合計点における10点以上の割合を9.4%2022年度)と設定している。
11 2019年は大規模調査が実施されており、K6の設問が含まれる健康票については、平成27年国勢調査区のうち後置番号1及び8から層化無作為抽出した5,530地区内の全ての世帯(約30万世帯)および世帯員(約72万人)を調査客体としている。同調査は全国の世帯および世帯員を対象としており、就業していない人や、15歳以下の人も含まれている。そのため、本報告書で使用しているデータとは、想定しているサンプルの母集団が異なるため、分布を直接比較できないことに留意する必要がある。
12 『2019年度国民生活基礎調査』では、20195月中に全く仕事をしなかった場合であっても、次のような場合は有業としている。そのため、有業人員(15歳以上)に限定した場合の結果は、想定しているサンプルの母集団が本報告書で使用しているデータのサンプルの母集団と極めて近いといえる。(1)雇用者であって、20195月中に給料・賃金の支払いを受けたか、又は受けることになっていた場合(例えば、病気で休んでいる場合)(2)自営業者であって、自ら仕事をしなかったが、20195月中に事業は経営されていた場合(3)自営業主の家族であって、その経営する事業を手伝っていた場合(4)職場の就業規則などで定められている育児(介護)休業期間中であった場合
13 第1回調査では、全国の15歳以上の就業者を母集団とし、株式会社日経リサーチの提携モニターを対象にスクリーニング調査を実施し、就業者に該当する者のみが回答した。2019年度の総務省『労働力調査』の結果に基づき、性別、年齢(6区分)、地域(5区分)に応じて割り付け、回収目標数の10,000サンプルとなるよう調査を実施した。

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